(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第66弾です。)
http://www.tek.co.jp/p/index.html
昨日(4月30日)にガソリン税が復活することが決まりガソリン店頭価格が160円前後になるようだ。家計は税率値上げ(つまり増税)だけでなく、元々のガソリン価格の値上げ、更に食料品の値上げでトリプルパンチとなり、家計を直撃している。
更に国民を不安に陥れているのが後期高齢者医療制度で、もはや働けなくなった75歳以上のお年寄りからも厳しく保険料を取り立てようという政府の方針への反発がある。政府はもっと国民のためにお金を使うべきだというのが、現在の民意というものだろう。民意を無視しては福田政権の未来は無い。
一方、山口の補選の勝利で勢いを増す民主党は、国民のために様々な政策を前回の参議院選挙のマニュフェストに盛り込んでおり、暫定税率廃止なども加わり、必要な政策経費は20兆円に達している。当然のことながら、国民のための政策を実行してくれる政党に政権を取ってほしいというのが国民の願いだ。唯一、気がかりなのは民主党が財源をどのように確保しようというのかということだ。
「特別会計の内部留保を有効活用する」と言っているが、これはいわゆる「霞ヶ関埋蔵金」だ。それもよいのだが、肝心なことを忘れていませんかと言いたい。国は通貨発行特権を持っているのだ。経済をきちんと理解している人なら誰でも知っている常識だ。デフレに対しては、お金を刷って国民のために使わなければならない。それと反対にデフレの際、緊縮財政を行えば、世界大恐慌や昭和恐慌のように悲惨な結果を招く。
この常識を日本人に教えようと、海外から著名な経済学者が次々と訪れ「お金を刷りなさい」と提案しているのだが、日本の政治家はなかなか理解しないようだ。1999年にはプリンストン大学教授のクルーグマン(ノーベル賞に最も近い経済学者の一人と言われている)が『世界大不況への警告』(早川書房)の中で日本経済の現状が1970年代のベビーシッター協力組合で起こったことと、そっくりだという。
詳しくはこの本を読んで頂きたいが、この協力組合では、約150組みの夫婦からなり、ベビーシッターをお互いにしあうために、クーポン券を発行した。ベビーシッターをしてもらったときに、クーポン券を渡した。しばらくすると余り使わずに、将来に備えてどんどんクーポン券を貯め込む人がでてきた一方、逆にクーポン券が不足する人が出てくるようになり、それはだんだん使われなくなり、うまく機能しなくなった。
会員の多くが将来に備えできるだけ貯えておこうとしたからだ。いわば、景気後退、つまりデフレ状態なのである。役員達は、「構造改革」が必要だと言い、一ヶ月に二回外出することを義務づけた。しかしこの構造改革は失敗に終わった。経済学者は、もっと発行量を増やせばちゃんと機能するようになると予言し、実際発行量を増やしたら、正常に機能するようになったという。なぜ発行量を増やしたら皆が使うようになったのだろう。
それは、もうこれ以上貯めてもしょうがないほど、充分にクーポンを皆さんが入手したからである。つまり、デフレは構造改革では、解決できなかったが、単に発行量を増やすだけでちゃんとクーポンが流通するようになったということである。クーポン増発は「禁じ手」だろうか。そんなことはない。益あって害無しだ。この制度を円滑に運営するためには、不可欠の方法である。クーポンは少なすぎても、多すぎても機能しないのだ。
35頁『換言するならば、景気後退は、ただ紙幣を印刷することによって解決することができるのだ。景気後退は時として(ないしは常に)いとも簡単に解決可能な問題なのである。』クルーグマンによれば、日本の不況は、構造改革によっては、克服することはできないが、紙幣を印刷すれば簡単に解決する。
日本の政治家が、彼のアドバイスをすなおに受け入れてお金を刷っていたら、現在の日本経済の没落は無かった。繁栄しているときと没落しているときでは、それに対応した構造改革は全く正反対のものになる。繁栄しているときは、税収がどんどん増えるから財政を拡大できる。
税収が増えすぎるから、どうやって、増えすぎるのを抑えるか、つまりどう減税していくかを考えるのが構造改革だ。没落しているときは、税収が減るから、増税し、歳出削減をし、どうやって財源を確保するかばかり考えるから、国民生活は悲惨なものになる。経済を繁栄させる政治家か、没落させる政治家か、あなたはどちらを選びますか。
神州の泉