将来の陸自のトップエリートが
敵視戦略構想
あなたが、自衛隊幹部だったら、世界が平和ムードに包まれるのは承伏しがたいでしょうね。友好関係が強固なものになればなるほど削減の対象になるのは間違いないからです。そういう意味では、世界の軍隊幹部は利害関係を共通にしているともいえるでしょう。
米国が強引にヨーロッパでミサイル防衛構想を現実化しようとしたのも、もしかたしたら、ロシアが反発しロシア軍が活発化することをねらったのかもしれません。
東アジアでは、基本的にはロシアの脅威はなくなり、また、中国は世界経済に完全に組み込まれ、暴走の可能性は限りなく低くなっている。残された問題は北朝鮮ですが、ここも日中友好関係が強化されれば、中国から「使い捨て」にされる可能性が大きくなり、何らかの形で世界と妥協せざるを得なくなるだろう。
この状況は自衛隊にとっては嬉しいことではない。そこで、北朝鮮の脅威を過大視してミサイル防衛構想を取り入れつつ、中国の軍備拡大を誘っているのではないだろうか。ソ連なきいま、中国を軍備増強の口実にしようということだ。
そのことを窺わせるような資料(※1)がNPJに連載されている井上正信弁護士の「憲法9条と日本の安全を考える」というシリーズの「暴走を始めた自衛隊その4」(※2)で紹介されている。冒頭の図はその一つ。
同弁護士によると、この資料は、2004年7月26日から30日、陸自幹部学校で開かれた総合安全保障セミナーで使用されたもの。参加者は、49期指揮幕僚過程の学生と外部の参加者(松下政経塾、伊藤忠商事、三井物産エアロスペース、株式会社リコーなど)らしい。指揮幕僚過程は、30代前後の陸自若手幹部で、将来の陸自のトップエリートを養成する教育課程という。
このセミナーで 「今後の国際情勢を踏まえ、見通しうる将来において日本が採るべき安全保障戦略について考察せよ。この際、思考過程、国家目的、目標等を踏まえ、具体的政策提言を作成せよ」 という課題が出され、チームに分かれて、作成したもののようだ。
冒頭の図について、井上弁護士は次のように述べている。
【「支那封じ込め戦略」 と、中国を支那と呼称し (支那という熟語はパソコンではそのまま出てきません)、「暴戻支那 (中国)」 を封じ込めるため、「友邦インド」 と 「白熊ロシア」 が牽制 ・ 包囲する図を示しています (カギ括弧内の用語は資料をそのまま引用しています)。
「暴戻支那」 という用語は、戦前派の年輩者には分かる言葉ですが、1937年7月7日廬構橋事件の後始まった日中戦争において、同年8月15日、日本政府が発した開戦声明の中に 「支那軍の暴戻を膺懲し」 が登場します。その後日本で日中戦争遂行のスローガンとなったのが 「暴戻支那の膺懲」 でした。
時代錯誤といってすまされるものではありません。セミナーに参加した陸自隊員は、近い将来の陸上自衛隊を背負うことを託されたトップエリートなのです。彼らの安全保障戦略観に共通していることは、憲法改正により日本が強大な軍事国家となり、海外権益防護のため積極的に軍事力を行使すること、しかも極めて自己中心的な戦略を思い描いていることです。】
私たちは、自衛隊が何を考え、何をしようとしているのかをしっかりと見極めなければならない。親戚の中に自衛隊が多いケース、いわば自衛隊を「ファミリービジネス」化している家族も多いという。他方で、軍事のIT化が進み、産業界が軍備に何らかのの形で関わるケースも増えているはずだ。
自衛隊を削減しようと思えばいつでもできる体制、少なくともその体制だけは確立しておかなければならない。そのためには、政府内に「平和省」をつくるのも一つの方法ではないだろうか。※1:
http://www.news-pj.net/npj/9jo-anzen/pdf/shiryou-20080509.pdf
※2:
http://www.news-pj.net/npj/9jo-anzen/index.html
byヤメ蚊