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○「第1の権力」マスメディアを支配する政治権力 »
2008/6/12
「○〜語りつごう戦争を知らない人たちへ〜(二)」
雨の神宮外苑
「学徒出陣」
56年目の証言
昭和18年(1943年)10月21日、
いまはJリーグサッカーで賑わう明治神宮外苑の国立競技場で
若者75,000人が終結する出来事があった。
あいにくの雨だったが、戦況の悪化に伴って、
20歳以上の学生の兵役免除がとかれ、
戦地に赴くことになった25,000人の学生の出陣壮行会が行われたのだった。
国立近代美術館フィルムセンターに、
文部省が制作しほとんど公開されたことのない15分の「壮行会」のフィルムがあり、
この番組に使用された。
その貴重な映像から取り込んだ写真と、
生き残った人たちの証言および見送った女子学生の証言を、
ピックアップして記録した。
--------------------------------------------------------------------------------
国立競技場に75,000人集まった学徒出陣壮行会
雨の神宮外苑での「学徒出陣」壮行会に、
送られる学徒25,000人、見送る女子学生ほか約50,000人の人々が集まった。
文部省から出された
壮行会の目的
は、
「学生たちを戦場に赴く決意を促し、
意識を昂揚する。」
にあった。
そのため大観衆が集められることになり、
女子学生や旧制高校生が動員されたのである。
この人たちはずぶぬれになりながら、スタンドからどのような気持ちで、見送ったのであろうか。
東條首相の訓示、出陣学生代表の答辞、最後に
「海行かば」
の大合唱で壮行会の幕を閉じた。
この壮行会に出た出陣学生のうち、
3,000人以上が戦死したといわれている。
東京帝国大学を先頭に行進
出陣学生1
女子学生の声援を今でも鮮明に覚えています。
入口から
「歩調とれ」
の号令で会場に入りました。
胸に残っているのは、女子学生 たちの
「がんばって下さい。」
「生きて帰ってきてください。」
の声援でした。
これで彼女らを護らなければならないという 気が起きました。
出陣学生2
とうとう来たかと思いました。
軍隊がイヤだから大学に入ったようなものだったから。
先輩から聞くと軍隊の厳しさは、人を 人間扱いしない。
教練の成績も悪かったし、軍隊にはできれば行きたくなかった。
みんなそうではなかったんですか。
学帽に、学生服、ゲートル、銃を持つ
<
出陣学生3
これから人殺しをしなければならないと思うと、
「締念」
でしたよ。
いま俺は、そういう時間と空間の流れの中にいるんだ。
俺はいやだというわけには行かない。
一つの諦めでした。
出陣学生4
軍隊は非合理でした。
上官が、2日目から訳もなく殴る。
人の能力をどうしたら引き出せるか、どうしたら敵に勝てるかというのは ほとんどなく、日本精神でひっぱたいて鍛えることしかないんですよ。
出陣学生5
沖縄戦で特攻隊員を命ぜられた。金属の骨に布を張った飛行機だった。
これしか残ってないから使ってやってくれという。
こんな捨石には、勝っても負けてもなりたくないですよね。
消耗品になるのは悲劇です。
出陣学生6
フィリピンのジャングルの中での経験ですが、
黄色い水というか泥水があちこちに流れているんです。
水のそばには必ず死体が あリました。
それも頭、手、足がばらばらになっているんです。
ダンテの
「地獄編」
を読みましたが、その地獄そのものでした。
真善美を追求する学生としては、あまりにかけ離れた世界でした。
雨の中の行進する足
着剣した三八式歩兵銃をかつぐ学生
出陣学生7
恥ずかしくない行為をしよう。
誰も死にたくないよと思っていた。
しかしこれも運命だからしょうがないという
人生観に なっていました。
出陣学生8
英文学者になるのが夢だった。
軍隊に行ってなければ、
好きな英語の勉強に打ち込んで、
その道のベテランになっていたかも しれない。
今言っても仕方のないことだけど。
孫たちに、
「戦争がなくて幸せだなあ。
何でもやりたいことができるんだから」
と言っています。
訓示する東條首相
東條首相訓示
「御国の若人たる諸君が勇躍学窓より征途につき、祖先の威風を昂揚し、仇なす敵を撃滅して、皇運を扶翼し奉るの日は こんにち来たのであります。」
出陣学生9
首相の訓示は忠君愛国をたたきこむ話で、またかという感じだった。
毎度同じ事を聞かされてうんざりだったですね。
出陣学生10
国の考え方が正しいという前提に立っていますから、
頼むよとの首相の言葉に対し、
死をもって報いようと思いましたね。
東大生による出征学生代表答辞
答辞内容
「生等(我ら)いまや見敵必殺の銃剣をひっさげ、積年忍苦の精進研鑚をあげて、
ことごとくこの光栄ある重任に捧げ、
挺身をもって頑敵を撃滅せん。
生等もとより生還を期せず。」
「海行かば」
の合唱
「海行かば水くかばね、山行かば草むすかばね……」
答辞を聞く出征学生
出陣学生11
答辞で、生還を期せず(生きて帰らない)をことさら高く読み上げたのは、個人としては違和感がありました。
戦争だから死ぬことはあるが、 できれば死なずに帰って、戦後の日本を建て直す努力をする方がよいわけで、死ぬことにこだわるのはおかしいと思いました。
東京都内30校以上の女子学生25,000人
見送った女子学生1
前途ある人たちが、どうして戦地に赴かなければならないのか。
聖戦という思想に染められていましたが、さめた気持ちで
これでいいのかという気持ちがありました。
歴史の大きな流れの中に巻き込まれた感じですね。
私は学生寮にいたため助かりましたが、家族は全員空襲でなくなりました。
見送った女子学生2
兄をスタンドから見送りました。
かなり寒かったんですが、雨でも傘をさしませんでした。
この人たちが、もし生還できたら いいのになあ、でも100%死ぬんだと思いました。
しかしそういう希望のもてる時代ではなかったですね。
兄は9ヵ月後 サイパンで戦死しました.
私が兄を見送れたのは、
運がよかったのかもしれないですね。
見送る女子学生を雨がぬらした
見送った女子学生3
56年前の出来事
ですが、鮮明に記憶しています。
あの日は、どしゃ降りの雨で、
頭から下着までずぶぬれでした。
会場全体が、
白と黒中心の全く色彩のない風景でした。
学生たちがゲートを出て行くとき、予期しない出来事が起こりました。
女子学生が出口にどーっとなだれを打って駆け寄ったん ですね。
いまから出陣する人に、
女が近寄るのは不謹慎であることはわかっていました。
ただ近づいて雨と涙で行ってらっしゃいと 言いたかったのです。
彼等は、手を振るでもなくただまっすぐ前を見て、
銃を背負って出て行きました。学生が出陣しなければ ならないのは、戦争は終わりですよ。
「一期一会」、
これで終わりだと思うから、タブーを犯したわけですね。
しかし、ほとんど 帰る希望のなかった学生たちへの餞になったと思います。
学帽をかぶった女子学生
見送った女子学生4
東京オリンピックの開会式で、
カラフルなユニホームを着た
アメリカ、イギリスの選手たちが
われわれにニコニコと手を振っている。
あの雨の学徒出陣壮行会と同じ競技場で。
これには大きな衝撃を受けました。
当時の、その落差の大きさ、大きなショックは、
体験者でなければわからない心の燃えでしたね。
失ったもの、悲しみの大きさが
すべての原点となって、
敗戦(20歳)から
55年の私を支えてきました。
皇居の前で
「天皇陛下万歳」
三唱
見送った女子学生5
出征直前、
婚約した彼が軍服で挨拶にきました。
初めて二人になったとき、彼は襟を正して言いました。
「この戦争は間違ってる。
国のためならともかく
天皇のために死ぬのはイヤだ」
と。
当時、日本は神国だ、天皇のために死ねとの教育でしたから、私は びっくりしました。
あの時、なぜ戦争がイヤなのかを聞かなかったのか。
そんなにイヤなら二人で死のうとなぜ言えなかったのか…。
出征を見送る ホームで、彼は笑っていたけど涙していました。
「どこへ連れて行かれるのかなあ」
それが最後でした。
彼は沖縄で死にました。
彼の気持ちを受け止められなかったのを今でも悔やんでます…。
いまの若い人たちに頼みます。世界中が平和になるような世界をつくってください。
Musasino Rest Gallery
所感:
出陣学生たちは、戦局の悪化に伴い、否応なしに戦場に駆り立てられたが、半世紀以上たった今の彼らの話の中には、軍隊には入りたくなかった、人殺しはしたくなかった、英文学者になろうと思っていたのになどいろいろだが、誰も、戦争などで死にたくはないという真実の思いが、にじみ出ているように思われる。
見送った女子学生たちの話は、この人たちは死ぬかもしれないという思い、見送った同じ場所で当時の敵国の人と競技することのギャップ感、現在70代後半と思われる当時の女子学生が、婚約した彼が、涙しながら出征していった気持ちを受け止められず、沖縄で死なしてしまったと、切々たる思いを吐露されているのには、かける言葉もない。
戦争体験者の高齢化が進み、「広島を語る会」も解散するに到った昨今、永遠の平和を護るために、世代を超えて戦争体験を伝える一助となることを期待したい。
参考
日中戦争
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1716.html
「きみはヒロシマを見たか」
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1758.html
A級戦犯は何を語ったのか
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1714.html
東条英機が発した
『戦陣訓』
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1835.html
〜生還者61年目の証言〜
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1764.html
日本外交
の
栄光と挫折
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1778.html
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1767.html
「あの日」
(沖縄戦と本土空爆)
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1756.html
〜日米戦の舞台・フィリピン〜
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1895.html
日米開戦
を回避せよ
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1831.html
一兵士
の従軍記録
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1795.html
子供から見た
戦争
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1790.html
不沈戦艦大和の最後
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1928.html
アメリカ被爆兵士の告白
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1957.html
ソ連対日参戦
http://blue.ap.teacup.com/97096856/2013.html
レイテ島の戦い
http://blue.ap.teacup.com/97096856/2135.html
そして日本は焦土となった
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1985.html
硫黄島玉砕
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1764.html
20世紀の
十大事件
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1813.html
昭和天皇
と
マッカーサー
会見の時
http://blue.ap.teacup.com/97096856/1707.html
投稿者: 一陣の風
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