米朝外交の裏と幻の「北の核」
拉致問題の真の解決とは何か。私が定義する。
@国会議員と政府職員の胸から青バッジを外すこと、
ANHKの報道番組から
救う会と家族会の出演を消すこと、
B北朝鮮と呼び捨てにするのではなく、
国名呼称を「北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国」と元に戻すこと、
C北朝鮮を仮想敵国として推進したMD配備計画を白紙撤回すること、
D拉致問題の真実を明らかにすること、
E日朝平和友好条約を締結して東京と平壌に大使館を設置すること、である。
Dの「真実の解明」とは、
安明進の素性と証言を検証することであり、特に安明進が言っていた「
蓮池薫は金正日政治軍事大学の教官だった」真偽を明らかにすること、
さらに蓮池薫夫妻に
横田めぐみに関わる全ての情報を隠さず公表させることである。
帰国した拉致被害者は真実を語っていない。彼らが真実を語らずに口を噤んでいるため、右翼がマスコミを占拠して好き放題に跳梁跋扈し、対北戦争世論を扇動するプロパガンダで世論を蹂躙してきた。
『世界』7月号の中に民主党の
岩国哲人http://www.iwakuni.ws/
(山崎拓の議連に参加)へのインタビュー記事があり、その中で聞き手の
岡本厚(『世界』編集長)がこう言っている。
「アメリカの
ヒル国務次官補なども、日本の言っている『拉致問題の解決』『進展』とは
具体的に何を指すのか、日本政府の関係者に尋ねてもいっこうに明確にならない、
これではアメリカとしても手の打ちようがない、と言っているとも聞きます」(P.150)。
これが真実だろう。私もヒルと同感であり、マスコミと
家族会と青バッジ議員は「拉致問題の解決」と執拗に強調するが、その
要求の中身は何なのか
具体的に明らかにしようとしない。
そして口を開けば
「北朝鮮は嘘つきだ」
「北朝鮮の言うことは一切信用できない」
「北朝鮮に対して日本の国の中が一つに纏まっていなければならない」
「北朝鮮に対する怒りを煮え滾らせろ」
と言い続けている。
要するに、最初から平和的な対話による問題解決は論の外
に置いていて、
北朝鮮の体制を圧力と武力で叩き潰すことしか頭にないのだ。
交渉の実務をやっているヒルが閉口するのも無理はない。ヒルの外交や六カ国協議は、相手の体制や政権を前提にした
対話による国家間交渉である。
金正日体制を認めようとしない
家族会や日本のマスコミ
とは立場が基本的に違う。
家族会や救う会の言う「問題解決」は
戦争による
北朝鮮の体制転覆と政権崩壊であり、イラクに対して遂行した「解決方法」を北朝鮮に対しても再現せよと言っているのと同じだ。
イラク戦争の失敗に懲りた米国がそれに同意できるはずがない。家族会やマスコミは拉致問題の現在進行をよく強調するが、日本人拉致事件が発生したのは1970年代であり、今から30年も前の話である。
北朝鮮は現在は拉致は行っておらず、過去の拉致については日本に謝罪をした。
北朝鮮が過去の拉致事件を正式に謝罪して、それを日本が受け入れたから、6年前に日朝平壌宣言が調印されたのである。
日本政府は日朝平壌宣言を反故にしておらず、同宣言は両国において有効であり、その前提である「北朝鮮の謝罪」を認め受け入れた事実は動いていない。
したがって
「拉致問題の解決」も、北朝鮮の謝罪を認め受け入れた立場、すなわち日朝平壌宣言の立場に基づいて残っている未解決の問題の解決を図る必要があり、それは、突き詰めれば、私が上げた@−Eの実行ということになるだろう。
拉致事件は過去の問題である。
われわれは過去に戻ることはできない。
北朝鮮と戦争ができない以上、
相手の立場も認めて関係を正常化するしかない。
相手の立場を認めるとは、
拉致事件の主犯責任者である金正日の立場を認めるということである。
北朝鮮は主権国家であり、
われわれは日本の法律を北朝鮮に適用することはできない。
現在は金正日の謝罪以上のものを得ることは不可能で、
北朝鮮の体制転覆や政権崩壊の可能性は客観的に皆無であり、
これ以上無理な強硬論で構えても時間を無駄にするだけだ。
むしろ
真に体制崩壊を狙うのであれば、北風ではなくて太陽の熱でコートを脱がせる戦略こそ合理的であり、ソ連や中国が変わったように情報と経済の力で変える方が得策だろう。独裁国家は外圧を逆に自己のエネルギーにする。
今日(6/27)の朝日新聞は2面の見出しに
「米、北朝鮮に根負け」と打っている。この指摘は当を得ている。結局、北朝鮮は前回の
カーター訪朝の前の核問題をめぐる米朝緊張に続き、これで二度、米国との外交戦に勝利した。もはや三度目はない。これが最後だ。
恐らく、ブッシュ大統領の任期中の今年か新政権になった来年には、
朝鮮戦争に終止符を打つ最終的な和平合意がなされ、
米朝が国交を結ぶだろう。
日本のマスコミは、6年前の拉致問題勃発以降、北朝鮮の瀬戸際外交は今度こそは失敗を余儀なくされ、米国を中心とする国際的圧力に耐えられず独裁政権は内部崩壊すると騒いだが、マスコミの無責任で没科学的な予想は完全に外れた。
右派の専門家の
伊豆見元が笑っているだろう。
私の予想は当たった。北朝鮮とはどの国も戦争はできないのである。必ず韓国が割って入る。韓国と戦争する決意がなければ北朝鮮とは戦争できない。米国ですらそれは同じだ。
米国の対北攻撃は、たとえ限定空爆のレベルでも、韓国が絶対に容認許可しない。
北朝鮮は韓国の一部であり、二国は一国のブラザーフッドであり、北朝鮮への攻撃は韓国への攻撃と等しい。その認識があるかどうかで予想の精度が分かれる。
開戦の決断が不可能である以上、戦争というオプションがない以上、北朝鮮との外交交渉で米国が譲歩せざるを得ない結末になることは分かりきっていた。
もともと
ケリーが核疑惑で北朝鮮を挑発した
6年前の原点が間違いだったのであり、
それは
ネオコンの
ボルトンと
アーミテージが
〔日本を改憲に向わせるための謀略〕
だったが、
イラク戦争の失敗でボスのラムズフェルドが失脚してネオコンがホワイトハウスの権力を失い、米国の北朝鮮外交の操縦桿をハーバード(国務省)系が握り直し、あとはスマートでナイスガイな外交官のヒルの独壇場だった。
朝日新聞は「根負け」と見出しを打ったが、
私が朝日新聞の編集委員なら
「米、太陽政策へと路線転換」と見出しを打つ。
米国が
金大中と
盧武鉉の「太陽政策」を引き継いだのであり、
カーター訪朝直後の米朝に時計の針が戻ったのであり、ネオコンの「悪の枢軸」論で捻じ曲げられた米国の東アジア外交が悪夢から覚めて正気に戻ったことを意味する。
北朝鮮に対しては「太陽政策」以外に有効な外交戦略はない。
内側から変えて行くしかなく、内側から国を開かせるしかない。
そして北朝鮮をどうするかは韓国が決めることだ。
他の外国が決めることではない。
北朝鮮の運命は韓国が責任を持つ。
今度の米国のテロ支援国家指定解除について、米国が北朝鮮の核保有を容認したとして
批判する声が一部に上がっている。
確かにそのように見える。
だが、私はこの核をめぐる米朝外交について別の見方をする。
結論から言おう。
北朝鮮は核兵器を未だ保有していない。2年前の10月の「核実験」は嘘だ。私は記事でそう暴露したが、読者は覚えているだろうか。
「核実験を成功させた」と口で言い、核兵器保有を偽装しているのである。米国はその真実を知っている。だから、今度の申告書の中に核兵器の記載がなくても米国は問題にしないのである。
何故なら、
北朝鮮が核実験をしたと言い、大気中の放射能測定の「エビデンス」を示し、北朝鮮の核保有を非難してきたのは他ならぬ米国だったからである。
すなわち私の分析では、
「北朝鮮の核」は両国ともが交渉で自らを有利にするべく作戦材料
にしたフィクションでありカードだった。
北朝鮮は、米国が北朝鮮が核兵器開発に成功していない事実を知っているということを知っている。
互いに手の内を読みながら、裏の裏で微妙な駆け引きを演じていたのであり、当事者以外は、皆、フィクションを信じて騙されていたのである。
北朝鮮は核兵器を持っていない。持っていると言ってもそれは嘘だ。虚勢だ。中国とロシアもそれを内密に知っているはずで、韓国政府も日本政府も米国から極秘裏に伝えられているだろう。
「北の核」は幻であり、外交のカードだった。無論、北朝鮮が平和主義の国家だから核武装しなかったのではない。
単に技術が未熟で、開発を続ける資金もなかったからであり、そして思惑どおり米国が「北の核」を既成事実にしてくれたから、だから敢えて本物を開発する必要がなかったのである。
外交には裏がある。表に出す情報とは別の裏の真実がある。狐と狸の化かし合いをするのが外交官である。外交官はポーカーフェースに長け、誰より口が堅くなければならない。
秘密を墓場に持って行ける男でなければ外交官は勤まらない。表面に出た情報で一喜一憂して騒ぐのはマスコミのやる事だ。裏を読まなくてはいけない。裏に真実がある。
確かに、これで北朝鮮は名目上「核保有国」としての地位の既成事実はできて、それを米国が容認するという奇妙な格好はできたが、「北の核」が幻である以上、米国にとっては物理的に何の不安も脅威もなく、米軍にとっての防衛上の意味はゼロなのである。
そして
外交官の使命は
一にも二にも自国の国民を戦争から守ること。
二国間関係を平和へ平和へ導くことである。

by thessalonike5
参考
検証・
拉致疑惑
粟田法和〔著〕
「日本のネオコン」である神道政治連盟と創価学会によって、
「北朝鮮」「拉致」「テロ」の言葉は、
国民を恐怖と怒りの洗脳に導いた。
それを暴力で解決することが、
あたかも「平和」な手段だという幻想を抱かせた。
自らの行動を省みるがいい。
話し合いをする相手国家を愚弄していなかったか?
相手を侮蔑する態度を持って
相手国家と話し合いなどできるはずもない。
それが、例え国際犯罪を行っている国であってもだ。
相手国家を敵視し、相手の喉元に剣を突きつけなかったか?
剣を突きつけたなら、それは交渉ではなく、脅迫だ。
・・・
戦争は必ず得する者がいて、
陰には抑圧されるものがいる。
国家が暴力を行うとき、
行おうとするときは、
必ずそれで利益を得るものがいる。
「本当のならず者」はその中に必ずいる!!
http://blue.ap.teacup.com/97096856/982.html
拉致問題については、私は以前から、日本は北朝鮮ときちんと対話の場を設け、アメリカの背後からものを言うのではなく、独自外交で北朝鮮と交渉し、できれば日朝の窓口を開き、日本人が現地入りして拉致問題の調査にあたれるように、国交正常化に向けて交渉すべきと考えている。
ただひたすら制裁だとか、非難を続けていても、何も出てこないのは、これまでの北朝鮮の対応からわかりきっていることだ。また、日本独自の外交を行えないあたり、日本の外交力のなさを如実に示している。
この背景には、北朝鮮を敵視し続けることによって、弾道ミサイル防衛構想など、軍拡を進める口実にしたい、軍需利権を漁る
安倍らの政治業者の思惑が絡んでいるのであろう。旧ソ連時代の北方領土問題と同様、問題の存在を言いたて、相手国に罵声を浴びせるだけで、実際の具体的解決行動を全くとらず、その問題を口実に軍拡を続けてきたのが日本の自民党政府である。
http://heiwawomamorou.seesaa.net/article/101689259.html
特 集 対北朝鮮――いまこそ対話に動くとき
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2008/07/directory.html
対北朝鮮交渉におけるミスターXの役割等に関する質問主意書
提出者 新党大地 鈴木宗男
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/misutax.htm