「よろず屋瓦版」に「商品の時代」という記事を書きましたが、そこで株式市場に多くの一般投資家が参入しているという話題をしました。浅井隆の「経済トレンドレポート」に、その実例が載っていたので紹介したいと思います。
これから株式市場に新たに参加しようという方は、本などに載っている成功例を読まれているのがほとんどだと思います。そこで今回紹介するのは、失敗例です。プロと言われている人の例もあります。もちろん失敗例もあれば、成功例もあるわけですが、数でいえば失敗例の方が成功例より圧倒的に多いはずです。市場に参加する前に、読んでいただければと思います。
・・・<浅井隆氏の「経済トレンドレポート」より転載>・・・
22万人を襲った不運
・・・(略)・・・
ただ、新興市場を中心に銘柄によってはすさまじい暴落を演じ、多くの投資家が痛手を負った。22万人もの株主を擁するライブドア株の暴落が引き金を引いたこともあり、今回はデイトレーダーのダメージがクローズアップされた。株価が急回復したこのわずか1,2年の間にとてつもなく資産を殖やした人も少なくない。中には、アルバイトで貯めた160万円の資金をライブドア株などで7000万円に殖やした人もいる。しかし、その後の暴落で逆に6200万円もの借金を抱えるはめになったという。彼はきっと戦術的な株式投資が上手かったに違いない。しかし、大損したということは結局は戦略的には下手だったのだ。つまり、「ビギナーズラック」である。結果にリスクコントロールができていなかったといってよい。株式投資に限らず、資産運用の成否を分けるものは最終的にはリスクコントロールができるかどうかにかかっている。
このような個人投資家が他にもたくさんいる。サラリーマンを辞め「セミプロ」として信用取引を駆使しデイトレードなどで調子に乗っていた人などまさに死屍累々の状況である。脱サラなど本業をやめて株で食べていこうという人がプログなどネット上にたくさん出ているが、最近はコメントが途絶えたものが増えている。コメントをするほどの余裕がないのだろう。それでもマーケットは動いていくのだ。
プ回も深い痛手を
傷を負ったのはこのような「シロウト」だけではない。れっきとしたプロの投資家たちにも打撃を与えた。そのようなプロの話を2つ紹介しよう。
まず、非常に有名な某大手投資顧問会社で運用していたプロの独立後の話。彼は元々、2〜3億円ほど資産を持っていて、そのうちの5000万円の資金をITバプルのときに30億円にした。投資していたのは、光通信やソフトバンクなどのIT銘柄だ。しかし、ITバブル崩壊で保有株は暴落。何日も売り気配のままで、損切りしたくても売るに売れない状態が続いた。ようやく売れたときには資産額は20億円に減っていた。30億円から見れぱ大損だがそこはさすがプロだ。20億円を残して逃げ切ったわけである。
しかし、今回は事情が違った。実は、今回の株価暴落を境にその彼が音信不通になってしまったのだ。暴落に巻き込まれ再起不能になってしまったのだろうか。真相はわからない。レバレッジを大きくかける人だから、逃げ切れたかどうかが問題だ。逃げ切れていればいくらかは残っただろうが、逃げ切れていなかったらそれまでの儲けがすべて吹き飛んでしまう。最悪は、先ほどのデイトレーダーのようにマイナス(借金)に食い込んでしまう。やっている額が大きいだけにそうなれば最悪だ。
もう一人、某プロフェッショナルの話。この人は結構保守的な運用をする。業績の良い個別銘柄を買い、一方でTOPIX(東証株価指数)を売ってヘッジをするような人だ。「エクイティ・ヘッジ」という手法で、相場が上がっても下がっても小さな利益を取ろうという堅い運用をしていた。一昨年、昨年とずっと好調だったのだが、昨年の8月以降、それまでに稼いだ資金を大きく減らしてしまった。それで、昨年1年間のトータルではマイ才スになってしまったという。保守的な運用をする人だから、昨夏以来の相場の急上昇に対して「上がりすぎだろう」と弱気になっていた。そのため、やや売りポジションの割合を高めていたのだ。しかし、予想以上に株価が上昇した。この結果、TOPIXの売りで大きな損失を出してしまったようだ。
彼らはデイトレーダーなどの素人とは違う。プロなのだ。そのプロでさえ大きな傷を負っているのである。一般の人で株の本をちょっと読んだ位でデイトレーダーと称していた人々のやられ方はいかほどのものか想像がつくというものだ。そうした素人が多数参加したということ自体がやはり「新興市場パブル」だったのだ。
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