2009/11/21
「◎木村佳苗氏事件で検察が警察に出頭する異様さ」
FNN(フジネットワークニュース)は、
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00166927.html
「うその結婚話を持ちかけ、男性から現金をだまし取ろうとした疑いで再逮捕された34歳の無職の女性がが20日午前、さいたま地方検察庁に送検された。」
と報道したが、同じ報道対象を
ANN(朝日ネットワーク)
は次のように伝えた。
「結婚を口実に男性から金をだまし取ろうとした疑いで、34歳の女が20日午前、検察官が留置場に出向く異例の形式で送検されました。」
不審死が相次いだ問題で結婚詐欺容疑により逮捕されている埼玉県の無職女性に関する報道である。
この事件について、
山崎行太郎氏は10月30日に、
「何故、本名「木嶋佳苗」と
書かないのか?」
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20091030/1256853454
と題する記事を書かれている。
また、
『カナダde日本語』の美爾依さんは、
11月10日に、
「木嶋佳苗の取り扱いからしても、日本がまぎれもなく警察国家であるのがわかる」
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-1897.html
と題する記事を書かれている。
美爾依さんの記事には、
『ふじふじのフィルター』様が紹介された
『中野龍三プロゲーマーWEB』TV局別!
「34歳結婚サギ女が
なぜ実名報道されないのか、を聞いてみた」
http://www9.plala.or.jp/nakanoryuzo/news-kakorogu/news-09.11-4.html
を引用されている。
これらの情報をもとに判断すると、
警察当局が
埼玉の結婚詐欺容疑者に関する報道に
規制を加えている
ことが窺(うかが)われる。
容疑者の氏名は
「木嶋佳苗」氏であるらしい。
しかし、
マスメディアは
まったく実名報道していない。
さらに不可思議なのは、
検察の取り調べが検察庁ではなく、
警察署に検察官が出向いて行われたことだ。
警察から検察に身柄が送られる際、
被疑者は手錠、縄で捕捉されて送致される。
被疑者の身柄が検察庁に送られるから
「送検」と呼ぶのであり、
検察官が警察に出頭するなら
「出頭検」とでも呼ばねば
ならないのではないか。
通常の「送検」は
拷問のひとつに分類される措置
と言ってよい。
警察署から護送車に乗る際に、
警察が報道のカメラを
遮断することができるにもかかわらず、
撮影が行える状況が作り出されている。
また、
護送車の内部を撮影することを回避するための
遮蔽(しゃへい)措置を取ることは十分に可能であるが、
警察はその対応をしていない。
法務省管轄の拘置所の場合、
裁判所などへの身柄の移動に際しては、
護送車のカーテンなどを用いて
完全な遮蔽措置が取られている。
つまり、
被疑者の人権が守られていないのは、
単に取り調べに際してだけではなく、
身柄の移動に際してのマスメディア取材に対しても同じなのである。
死体遺棄容疑で逮捕されている
市橋達也氏の取り調べに際して、
違法な取り調べが行われているのではないかとの情報が報道されている。
「黙秘していると親が死刑になる」
「黙っているから姉のところに
取材が行った」
「黙っていると極刑になるかも知れない」
などの発言が
捜査官からあったとの指摘が
市橋氏の弁護人から示されている。
現段階での容疑は死体遺棄であり、
「死刑になる」との発言があったとすれば、
被疑事実から
逸脱したものであると言わざるを得ない。
私が巻き込まれた事件では検事が、
「認めなければ
報道などを通じて
家族を徹底的に苦しめてやる」と発言した。
検察官は大声でわめき散らし、
無理やり自白を強要するものだった。
ニュースを聞いて
検察官の発言が思い返された。
市橋氏の場合、
警察署で護送車に乗る場面は
報道各社のテレビカメラに収録された。
木嶋佳苗氏も
警察署から検察庁に送検されたならば、
送検の模様が
テレビカメラに収められたはずである。
市橋氏も木嶋氏も
現段階では被疑者である。
被疑者に対する人権が守られなければ、
適正な捜査は実現しない。
また、
「法の下の平等」は
日本国憲法に定められている事項である。
警察による、
被疑者を確保する段階、
検察庁への送致、
勾留質問での裁判所への送致
の段階での報道カメラからの遮蔽措置は、
当然取られるべき対応である。
日本の警察、検察が
捜査における基本的人権の尊重を
無視していることは、
周知の事実である。
だからこそ、
取り調べの全面可視化の要請が
提示されているのである。
沖縄でのひき逃げ事件で、
米兵が取り調べを拒否している理由として、
弁護士の取り調べへの同席が
認められていないことなどが示されている。
日本国内で生じた事件に対して
日本の当局が捜査権を持つべきことは当然であるが、
その
捜査当局の人権意識が低く、
人権を擁護する制度が
整備されていなければ、
捜査拒否に対して
強いよりどころを与えてしまう
ことになる。
埼玉の結婚詐欺容疑者である木嶋佳苗氏は
祖父が議会議員を長く務め、勲五等双光旭日章を受勲しており、
故中川昭一議員の別海地区後援会会長を務めていたことがあると伝えられている。
このようなことで、
被疑者に対する取り扱いが当局だけでなく、
マスメディアにおいても大きく異なるのだとすれば、
この国の民主主義、
法の下の平等など、
存在しないに等しいと言わざるをえない。
酒井法子氏の場合、
留置は最新の設備が整っている湾岸署とされた。
逮捕などに際してどこに勾留されるか、
護送に際して単独であるかそうでないか。
取り扱いは千差万別であるが、
「法の下の平等」が
確保されているとは到底言えない。
結婚詐欺事件では、
埼玉のケースを
実名報道していないことと
平仄(ひょうそく)を合わせて
鳥取のケースも
実名報道されていないが、
他の事件との相違は際立っている。
政権交代に伴う日本政治刷新の大きなテーマの一つに、
警察・検察・裁判制度の刷新が含まれる。
日本の諸制度は近代化されていない。
「前近代」のまま放置
されている部分が非常に大きい。
”Due Process of Law”
(=適法手続き)の精神も
著しく希薄(きはく)である。
この問題が
重大問題として取り扱われないのは、
一般の国民が
刑事事件取り調べに直面する確率が極めて低いからである。
通常の生活において、
刑事事件取り調べに巻き込まれる確率は
極めて小さい。
しかし、
問題は重大である。
人間の尊厳、
基本的人権が
簡単に
蹂躙(じゅうりん)されてしまうのだ。
足利事件の再審では、
取り調べ検察官の出頭を求め、
録音テープもすべて法廷で
公開するべきである。
市橋氏の事件については、
弁護団が
取り調べ過程のす
べての録画、録音を求めているが、
これも当然の対応である。
また、
弁護団が提供した
「取り調べノート」も極めて有用性が高い。
犯罪を容認する考えは毛頭ないが、
刑事取り調べ過程における不正、不当な取り調べは
根絶されなければならない。
警察・検察による犯罪や犯罪的行為に対しても
国民は厳しい視線を向けなければならないのである。


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植草一秀の『知られざる真実』
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