2012/2/15
「☆☆☆きみまち坂(三)」
天国のあなたへ
柳原タケ
娘を背に日の丸の小旗を振って
あなたを見送ってから
もう半世紀がすぎてしまいました。
たくましいあなたの腕に
抱かれたのはほんのつかの間でした。
三十二歳で英霊となって
天国に行ってしまったあなたは
今どうしていますか。
私も宇宙船に乗って
あなたのおそばに行きたい。
あなたは三十二歳の青年、
私は傘寿を迎えている年です。
おそばに行った時
おまえはどこの人だなんて言わないでね。
よく来たと言って
あの頃のように寄り添って座らせてくださいね。
お逢いしたら娘夫婦のこと孫のこと
またすぎし日のあれこれを
話し思いきり甘えてみたい。
あなたは優しく
そうかそうかとうなずきながら慰め、
よくがんばったとほめてくださいね。
そしてそちらの
「きみまち坂」
につれていってもらいたい。
春のあでやかな桜花、
夏なまめかしい新緑、
秋ようえんなもみじ、
冬清らかな雪模様など、
四季のうつろいの中を
二人手をつないで歩いてみたい。
私はお別れしてから
ずっとあなたを思いつづけ
愛情を支えにして生きてまいりました。
もう一度あなたの腕に抱かれて
ねむりたいものです。
力いっぱい抱き締めて
絶対はなさないで下さいね。
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秋田県の桜や紅葉の名所
「きみまち阪」
にちなんで、
地元の町おこし企画として開催された
『きみまち恋文全国コンテスト』
第1回(平成6年)の大賞作。
80歳のおばあさんの作品だそうです。
入賞後の談話。
「主人は昭和十四年五月に中国山西省で戦死しました。
当時の軍事郵便は検閲されました。
今回そのころ
自由に書けなかった思いの万分の一を書きました。
すっきりして若返った気持ちです。」
by banchou
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