政治利益と経済利益
サブプライムローン問題が世界的信用収縮に拡大していった過程は、クリントン政権時のITバブルとバブル崩壊の過程に似ている。クリントン時代はアメリカにITブームを起こし世界中の資金をアメリカへ一極集中させた。そこでクリントン政権はワールドコムやエンロンなどの花形IT企業の不正会計を追及、これを大々的に暴いたため一挙にバブル崩壊となった。2007年も米金融局はサブプライムローンの行き過ぎを指摘、金融機関の貸出し規制の強化を求めたことから、一気にサブプライムローン問題が市場を駆け巡り、サブプライム債権を含む金融商品の格付けが下げられ不良債権化されたことから、あっという間に米金融機関は資金繰りに支障をきたすことになった。
クリントン時代のITバブルの崩壊と今日のサブプライムローン問題に共通していることは、アメリカが起債した債券が暴落してその損害が世界に及んだことである。今回のサブプライム問題でアメリカの金融機関の損害が約15兆円で、世界の損が3倍の45兆円といわれるから、アメリカとすれば15兆円は損をしたが差し引き30兆円分の債務を減らしたことになる。
国益という観点に立てば、ITバブルの崩壊もサブプライムローン問題も、大きくアメリカの国益に資する結果になっている。
世界がアメリカに投資をしているのは何も株式や債権だけではない。不動産やビジネスに投資している。住宅ブームの終焉で不動産価格の下落が続いている時、金融不安によるリセッションリスク回避を理由にFRBは利下げで安い資金を大量にアメリカ商業銀行(CITIやBank of Americaなど)や優良企業に供給している。低金利、大量資金供給の真の目的は商業銀行と優良企業に外国が高い値段(ドル高時)で買った不動産やビジネスを安く買い戻させるためである。外国にしてみると債権は紙くずになり、買った不動産やビジネスはただ同然で買い取られることになる。アメリカが演出するバブルとバブル崩壊は常にアメリカを一人勝ちにする。
このようにバブルとバブル崩壊は世界最大の対外債務国アメリカの存在が掛かった宿命的経済戦略なのである。
http://www.chokugen.com/japanandusa/000_top.htm