この衝撃的な報道をしたのは英国Guardianのブリュッセル通信員Ian Traynor、英1/22付けの記事だ(Pre-emptive nuclear strike a key option, Nato told)。
曰くー
西洋の最上級武官及び戦略家5人による新NATOマニフェストによれば、核その他大量破壊兵器の「顕著な」拡散を努めて停止しようとするなら西洋は予防的核攻撃に訴える覚悟をしなければならない。
NATOの抜本的改革並びに益々野獣化する世界と格闘する「大戦略」に米、NATO及びEUを糾合する新条約とを要求して、米英独仏蘭の元軍部首脳は「単純に核廃絶世界の現実的展望が皆無」のため「先制」核攻撃の選択肢が「不可欠な手段」として残ると言い張る。
同マニフェストは、その多くが自分らの見解を公然と発表出来ないか望まない、現役の司令官及び政策立案者との議論によって書かれた。それは過去10日間に亘って、ワシントンでペンタゴンに及びNATOの事務総長Jaap de Hoop Schefferに呈示されて来た。同提案は4月のブカレストNATOサミットで論じられる公算だ。(以下略)
因に上記の5人とはJohn Shalikashvili(米、元NATOヨーロッパ司令官)、Klaus Naumann(独、独及びNATOトップの軍事戦略家)、Field Marshal Peter Inge(英)、Henk van den Breemen(蘭、元参謀長)、Jacques Lanxade(仏、元海軍長官)だ。
これに対して翌23日Lettersに各界から批判が寄せられた。Guardianは同提案が逆コースであって、寧ろ核廃絶の非核安全保障教条へと向かわねばならないと述べた。
不思議なことにこれだけ衝撃的な提案であるのに英語メディアで正面から取り上げたものを見かけない。唯一取り上げていたのがWSWS(世界者主義者ウエブサイト)だった。
1/24付けBill Van AukenによるNATO must prepare for nuclear first strike, report urgesがそれだ。
この記事によって同提案の正式名称が“Towards a Grand Strategy for an Uncertain World: Renewing Transatlantic Partnership.”であることを知った。
途中の議論を端折って結語部分を見よう。
<それは、世界的大火災の脅威となる軍事的優越性を利用して、死活的な天然資源と市場との掌握のために、ヨーロッパ及びアジアのライバルとの関係に於ける経済的衰退を相殺せんとする米帝国主義による駆動だ。核先制攻撃と攻撃的戦争に関連させた元国防首脳の提案が人類の将来にとって全面的に脅威となる重大性を負うとはこうした文脈の中にある。
勿論、トンデモナイ話だ。予防攻撃が国際法違反であるのは勿論、人類死滅を誘発する可能性の高い核攻撃を奨励するとは、狂気の沙汰だ。NATOがそれなりの独自性ありといえども、米国のダミー的役割を負わされかねないのは言うまでもない。予防攻撃の相手が誰という想定なのか。いずれにせよ、万一NATO教条として採用されたら、核戦争の危険が一気に高まるだろう。
極めて不穏な動きとして銘記すべき話だろう。それにしても他のマスコミが取り上げないのは何故か。敢えて黙殺しているのか。まさかガセネタではあるまいと思うが。
【必見】Democracy Now! スハルト特集
身近の関係者からUCLAへのインドネシア留学生の中にインドネシア・マフィアと呼ばれる親米人脈が形成されており、また日本のインドネシア石油という会社の存在を知ったのは90年代前半だった。同国向け日本の経済支援が長く第一位だったというような単なる知識を越えて存在がぐっと生々しくなった。そしてインドネシアを代表する政治家がスハルトだった。
インドネシアは「a fractious country of 200 million people comprising 300 ethnic groups speaking 250 languages and inhabiting more than 17,000 islands spread over a 3,500-mile archipelago」(NYT)だ。その統一維持が並大抵でないのはわかる。CNNは「32年間[1966-1998]の在任中は軍の力を前面に出し、反対派を封殺する強権政治を展開。半面、前大統領のスカルノ氏時代に破たんした経済立て直しに尽力、外資導入などで一定の成果を挙げ「開発の父」とも称された。しかし、汚職まん延、氏一族のビジネス独占などの弊害も生まれて国民の反発につながり、98年の政権崩壊の下地ともなった」と総括した。
さてDemocracy Now! スハルト特集はー
1 Former Indonesian Dictator, U.S. Ally & Mass Murderer, Suharto, 86, Dies
2 Massacre: The Story of East Timor
3 The Democrats & Suharto: Bill Clinton & Richard Holbrooke Questioned on Their Support for Brutal Indonesian Dictatorship
ーから構成される。是非映像、登場人物をご覧頂きたい。この独裁者に対して如何に米国の支持が強かったか。人権カード外交を展開したクリントンも同断だった。
映像はこちらから↓
http://play.rbn.com/?url=demnow/demnow/demand/2008/jan/video/dnB20080128a.rm&proto=rtsp&start=12:50
この特集では触れられていないが、米国の陰に隠れたオーストラリアそして日本の所行を視界から逃してはなるまい。石油や食糧という面でも要注視先だ。
ps)2では若き日のエミー・グッドマンのスナップ写真が見られる。彼女が「サンタクルーズの虐殺」というドキュメンタリーで受賞したことを知る。
by とちのき