今回ご紹介するのは
名前をつけてやる(スピッツ,1991)
試聴
客観的…A
主観的…A
必聴…"プール "今年の夏は聴きまくると思います。
スピッツは草野マサムネさんら4人で
1987年に結成された日本を代表するロックバンド。
1991年3月にメジャー1stアルバム「スピッツ」をリリース。
同時代のイギリスのギターポップバンドらを彷彿させる
オルタナティヴなサウンドは
一部のロックリスナーから高い支持を集めましたが、
セールス的には全く奮いませんでした。
今回紹介するのは
その1stからわずか8か月後に発表された
2ndアルバム「名前をつけてやる」です。
今作もセールス面はやはり散々な結果に終わったそうですが、
発売から15年以上経過した今現在では
根強い人気を獲得している1枚で、
「ハヤブサ」と並んで
しばしば彼らの最高傑作に挙げられるます。
ちなみに彼らがロビンソンで大ブレイクを果たすのは
このアルバムから3年半後のことです。
1st「スピッツ」はまぎれもない傑作でしたが、
あえて短所をつくならば、
音を分厚くするためのキーボードの音色が
逆にヘボい音を作り出してしまっていたところだったと
僕は勝手に分析しています。
そして、この2ndアルバムは
1stのようなギターポップ路線ではなく
シューゲイザー系統の音を感じさせる
ギターのディストーションを押しだした
サウンドプロダクションとなっているので、
キーボードが抑え目となり
1stにあったヘボさが解決されています。
しかし、じゃぁ1stよりも
こっちのほうがお前は好きなのかというと、
正直、1stのほうが好き。
それは別にこの「名前をつけてやる」が
駄作だからとかそういう理由じゃなくて、
単純に1stのほうが好きな曲が多いから。
今作を最高傑作に挙げる人は
このアルバムの収録曲の水準の高さを
理由としているようですが、
僕の感覚で言わせてもらうと、
スピッツでこの程度の完成度は平均的なんじゃないでしょうか?
スピッツであればアルバムが素敵な曲だらけっていうのは
当たり前なんじゃないでしょうか?
僕にとって、「名前をつけてやる」は
ものすごく良い曲がたくさん詰まった「ハチミツ」には
到底およばないし、
先ほども触れた1st「スピッツ」であっても
小粒揃いである上に
「テレビ」「タンポポ」「夏の魔物」みたいな
強力な名曲も含まれていたのに対して、
こちらは小粒揃いなだけで
圧倒的な魅力を放つ曲っていうのが
あんまり思い浮かばない。
だから最高傑作っていうのは…。
とかまぁゴチャゴチャ書いておきながら
結局は主観評価をAにしちゃってるんですけど。
本当、スピッツは素敵ですね。
全曲紹介にうつります。
1.ウサギのバイク
草野さん自身がお気に入りな1曲。意味不明な歌詞といい、ウサギのバイクというタイトルといい、切ないメロディーといい、どことなくフォークっぽいところといい、これぞスピッツですね。前作の路線を引き継いだアコースティックな音の目立つ曲であるぶん、前作よりも洗練された音になっていることがよくわかります。
2.日曜日
スピッツらしいというのか、軽快なノリのロック。日本のロックでありながら2分半っていう短さが似合っているのが良いですね。日曜日という牧歌的な響きとは相反する「戦車は二人を乗せて」なんてフレーズをさらりと言ってしまうのも好きです。
3.名前をつけてやる
表題曲。今現在シングル化したとしても十分通用しそう。もちろん大好きです。でも「むき出しのでっぱり」とか「ふくらんだシャツのボタンを〜」とか、草野さん特有のどことなく卑猥な歌詞はあんまり好きじゃないです。シューゲイザーっぽい歪んだギターの音の後ろのアコギの涼しい音が光っています。
4.鈴虫を飼う
ギタリストの三輪さん作曲によるナツメロっぽいメロウなナンバー。前作の「死神の岬へ」といい、この曲といい、三輪さんの作る曲も草野さんの楽曲と引けを取らないほど魅力的。
5.ミーコとギター
「日曜日」同様、これも軽快なロックンロール。歌詞は意味不明なのですが、「ミーコの彼はミーコの彼じゃない」「パパとミーコ」とか出てくるあたり、父子感での恋愛を歌ってるんでしょうか?とりあえず、そういったどことなく暗い雰囲気を持っているのは確かです。良い曲です。
6.プール
「君が思い出になる前に」「空も飛べるはず」「ロビンソン」など後のヒット曲への布石が感じられる1曲。夏を連想させるのですが、蒸し暑いそれじゃなくて、夏の朝とか夏にプールに入っているときとか、そういう涼しさを持った夏。恥ずかしい言葉を用いると、胸キュンですね。なんやかんや言って、スピッツの醍醐味はこの胸キュンさだよなぁと再確認できます。
7.胸に咲いた黄色い花
このアルバム収録曲は2,3回聴けばすぐに口ずさめるようなのが大方なのですが、この曲のサビはなかなかひねくれていて覚えにくい。そういうところが逆に印象的です。ポップスっていう言葉が似合いますね。
8.待ちあわせ
ソニックユースばりにギターのノイズが押し出されているパンクチューン。スピッツを知らない方々はハヤブサ以降の彼らのみをロックバンドとして認識していますが、この頃から彼らは(っていうかこの頃の彼らこそ)日本有数の純粋なロックバンドだったわけです。
9.あわ
「鈴虫を飼う」にも似たメロウで温かみのある1曲。とはいってもお決まり通り、「機関銃を持ちだして〜」と相反する怖い歌詞が登場。「優しい人やっぱり嫌だな」このフレーズ好きです。
10.恋のうた
単調でコンパクトかつかなり印象的な1曲。どことなく「魔女旅に出る」のAメロとかぶっているのですが、そんなの気にならない力があります。加山雄三さんの曲みたいなおおらかさもあって、素敵だと思います。
11.魔女旅に出る
トリはストリングスを大々的に取り入れたシングル。必聴には「プール」を選出しましたが、こちらも引けを取らないほどの名曲。っていうかもしもこの曲を1年ほど前の中学の卒業時であるとか、もしくは再来年の高校の卒業シーズンに聴いたりしてたら、人生を通して大事にすることになったんじゃないかと思います。そういう曲。曲名だけで評価するならスピッツの最高傑作でしょう。