今回ご紹介するのは
Modern Life Is Rubbish(blur,1993)
試聴
客観的…A
主観的…A
必聴…"Blue Jeans"1つ選ぶとすればコレ。
blurは1988年に結成されたイギリスのロックバンド。
当時の時代の潮流だったマンチェスター・ムーヴメントに
便乗したバンドのスタイルと、
フロントマンのデーモンをはじめとした
メンバーのアイドル的なルックスを武器に、
1990年に早くもメジャーデビュー。
翌年のシングル「There's no other way」は
全英チャート6位に輝くヒットとなり、
また、同年に1stアルバム「Leisure」をリリース。
今現在では、駄作として名高い(?)1stアルバムですが、
(僕は何気に好きですが)
発売当初はそれなりの評価で迎え入れられたそうです。
で、そんな1stアルバムから2年の歳月を経て
発表されたのが今回紹介する2ndアルバム
「Modern Life Is Rubbish」です。
マンチャスター系のサウンドから
blur独自のひねくれたポップサウンドへの変貌を果たし、
キンクスなどブリティッシュロックの
王道といえるバンドたちを引き合いに出されるようになりました。
翌年にシングル「Girls&Boys」と
それを収録したアルバム「Park Life」が大ヒットを記録し、
Oasisと共に一時代(ブリットポップ)を
作りあげることとなった彼らの、
ブレイク前夜にあたる傑作です。
いわいるロックリスナーの大方は
ビートルズならラバーソウル以降を評価して、
それ以前を無視あるいは軽視します。
スピッツならハヤブサ以降だけを評価して、
吉井和哉さんならソロデビュー以降だけを評価します。
そして、このblurにおいては、
1997年の「blur」以降のみを評価の対象に入れて
それ以前の作品を「ポップスバンドの代物」と捉えて
まともに聴いている人は少ない気がします(思い込み?)。
しかし、ビートルズが「ラバーソウル」以前の活動だけでも
十分に歴史に名を刻めるバンドであったように、
blurの「blur」以前の作品群も決して侮ることのできない
傑作揃いだと言えるのです。
(「The Great Escape」は聴いてないけど…)
そんな初期のアルバムの中でも
この2nd「Modern Life Is Rubbish」が
やはり最も優れているんじゃないかと思います。
ファンからは何気に、「blur」以降の作品群を含めても、
彼らの最高傑作として挙げられることの多い1枚だそうだし、
まぁ、そしてなにより、個人的に1番これが好きだし。
ただでさえ、
おもちゃ箱をひっくり返したようにポップでありながら
どことなく、でもものすごく、クセのある世界観が
全体に漂っていて、すぐにでもお腹いっぱいになりそうな上に、
15曲という途中で飽きてしまいそうな内容量。
普通のバンドなら駄作にしてしまうこと間違いなしなところを、
最後までしっかりと聴かしてくれる完成度の高い1枚として
仕上げてしまう彼らの技量の高さには脱帽です。
有名アーティストのアルバムでありながらも
全く名の知れていない1枚なので、
文字通り隠れた名盤と言えるでしょう。
全曲紹介にうつります。
1.For Tomorrow
先行シングル。しばしば「Girls&Boys」と並んで初期の代表曲に挙げられます。サビの「ラーラーラーララ」は与作の「へいへいほー」に匹敵するキャッチャーさを誇っています。どことなくアジアっぽい間奏やフェードアウト部分のセッションなど、サビ以外の聴きどころも多いです。でも意外と飽きやすい曲だったりします。
2.Advert
小粒だけどシングルカットしていたとしても通用したんじゃないかと思えるナンバー。サビでガラっと雰囲気を変えていながら違和感は全く感じさせないし、イントロも印象的だし、こういう曲さえも「小粒」な印象を与えさせてしまうアルバムの完成度はやはり、すごい。
3.Colin Zeal
こちらもサビで雰囲気を変えているくせに印象としては王道的なポップソング。コリン・ジールが何者なのかは知りませんが、典型的なイギリス人を唄った歌…なのかなぁ?サビは大好きです。
4.Pressure On Julian
ギターリフが耳に残ります。でも聴きどころはそのリフぐらいです。
5.Star Shaped
しらじらしいくらいポップソングらしいポップソングでありながら、どこか変。まさにblurですね。自己嫌悪している歌い手に対して「あなたは星形に見える」とコーラスが慰める、その皮肉っぽい内容もblurらしい。
6.Blue Jeans
シングルではないらしいですが、シングル並の名曲。というか、他のシングル曲よりも絶対にオススメなナンバーです。歪なのに美しすぎるサビは最強です。ミドルチューンでありながら4分以内に巧くまとめているのも素敵です。とにかく聴きなさい。
7.Chemical World(intermission)
シングル。ディストーションの効いたギターが鳴り響いていて、ある種パワーポップっぽい。シングルとして十分通用するレベルだとは思いますが、なんであえてこの曲をシングルカットしたのかなぁっていう疑問も。別にこの曲が悪いわけじゃなくて、他に良い曲が多すぎるからなんですけど。「Chemical World」が終わると、2分強のインストが始まります。ピアノの同じ旋律が反復しながら、除所に楽器が増えていき、最終的には混沌なノイズへと変わる展開がカッコイイです。
8.Sunday Sunday
シングル。ひたすら同じようなメロディーの繰り返しですが、2分半という短さもあって、飽きさせません。間奏の変拍子が印象的。
9.Oily Water
これと次の「Miss America」は無駄に長いかなぁ。これがなかったらアルバムが薄っぺらくなっていたかもしれませんが、でも(僕の中で)この2曲がネックであることも確か。
10.Miss America
長い。
11.Villa Rosie
どこかで聴いたことがあるような本当にベタベタにポップなサビを持っていながら、曲としては唯一無比にblurの音に仕上がっています。
12.Coping
1stを彷彿させるダンサンブルな1曲。Aメロはかなりカッコイイ。それ以外も、なんていうのか、無難な仕上がり。
13.Turn it Up
この曲も1stに近いものがあるのですが、かなりの名曲だと思います。全編キャッチャー。イントロから心をつかまれるし、「かずぅかずぅ〜ゆぁまぁ〜いん」なAメロもだけでも十分サビで通用するし、そのうえに「たんいったぷたにおふたににぃ〜ん」なサビ。素敵です。
14.Resigned(Commercial Break)
トリはサイケデリックな浮遊感のある1曲。これ単独で聴くことはなさそうですが、アルバムの締めくくりとしてはとてもしっくりときます。最後のリフレインは良い意味でものすごく眠くなる。「Resigned」終了後、インストの「Commercial Break」につながり、アルバムは幕を閉じます。そのインストも聴きどころです。
国内盤は廃盤となっているので、訳詞を読みたい人は是非とも少し古めの大型レンタルショップに足を運んでみてください。