今回ご紹介するのは
Waited Up til It Was Light(Johnny Foreigner,2008)
試聴
客観的…B
主観的…A
必聴…"Yes! You Talk Too Fast "3分半弱とは思えないスケールのある1曲。
ジョーニーフォーリナーは
イギリス第二の都市バーミンガムにて
2006年に結成された3人組のロックバンド。
myspaceを活用してバンドの知名度を高めていき
2007年にリリースしたEP"Arcs Across The City"が
数々の音楽誌から絶賛で迎え入れられて、
ここ日本でもかなりのセールスを記録したそうです。
そして2008年6月、満を持して1stフルアルバム
「Waited Up til It Was Light」を発表。
Los Campesinos!や
(以前このブログでも紹介した)Blood Red Shoesら同様、
UkよりもむしろUS寄りの姿勢をもった
新しいタイプのUKバンドとして注目を集めいている新人です。
僕は高校生ですので
気になったアルバムを片っ端から買うようなことは不可能で、
基本的にアルバムを購入する際には
買う前からしっかりと内容を吟味しておいて
買い物に失敗しないように心掛けています。
だから衝動買いをすることなど滅多にありません。
しかし、この「Waited Up til It Was Light」は
インターネットで「Eyes Wide Terrified」のPVを目にした
その翌日にタワレコで買っちゃいました。
「Eyes Wide Terrified」っていう曲自体が
そんなに魅力的だったわけではありません。
曲から感じ取れるバンドのスタイルが
もうたまりませんでした。
アメリカのヒットチャートに出てくるような
エモ系のポップなサウンドでありながら
曲調がめまぐるしく変わったり
全体に漂う雰囲気自体が妙に歪であったり―と
通俗的なくせに一筋縄でいかないスタイル。
おそらくこう感じたのは僕だけだろうけど、
(個人的に最強の名盤である)「Six」の頃の
Mansunに近いものを感じました。
こんな素敵なアーティストのアルバムを
買わないわけにはいかないということで
特にアルバムについて調べもしずに購入しました。
で、聴いてみての感想なんですが、
リアルタイムで聴けて本当に良かった。
掛け値なしで今年最高の新人バンドです。
まぁ今年に入って手にした新人の新譜が
Blood Red Shoesだけな僕が断言できるわけないけど、
でもそう断言したくなるくらい、本当に素晴らしい。
「Eyes Wide Terrified」を聴いただけの予想だと
かなりメロディアスで転調なんかが多いはずだったのですが、
実物は以外にも洋楽によくある五線譜の外側をいくような
激しいボーカルラインが目立っていて
キレイにまとまっている曲も多くて、少し驚きました。
ただ、だからといって期待はずれだったわけでなく、
むしろ期待を遥かに超える傑作でした。
とにかく魅力的な曲の数々。
前半が名曲のラッシュというアルバムは少なくないですが、
大抵その手のアルバムは後半で失速して
最後の1,2曲だけまた名曲という
構成に陥ってしまいがちです。
でも、このアルバムは半端ない。
まず前半7曲がものすごい勢い。
そして8曲目で少し静かになり「ここから尻すぼみになるのかな?」
と思わせるやいなや
9曲目にベストトラックと言いたくなる曲を設置して、
10曲目でいっきにクライマックスへ突入させ
ラスト3曲も文句無しの名曲。
これをすごいと言わず何をすごいと言いましょう。
ダイナソージュニアやピクシーズが
引き合いに出されているそうですが、
個人的には凛として時雨が最も近いなぁと思いました。
まぁ別に両者に関係はないだろうけど。
前につんのめりそうなくらいパンキッシュで
そのくせプログレッシブなところがあって、
しかも男女混声っていう。
もちろん僕はジョニーのほうが好きですけどね。
こっちのほうが断然ポップだし。
とりあえず、凛として時雨とかそこらへんが
お好きな方は是非ともこのアルバムを手にしてほしいです。
あと、これは本当に僕だけの感想だと思うけど、
(僕の最も好きなバンドの)Ashにもなんとなく似ている。
UKバンドでありながらUSっぽいスタンスとか
すごくカッコいい音を鳴らしているのに
どこかものすごくダサいところとか。
長くなりますが全曲紹介にうつります。
1.Lea Room
サビのメロディーそのままなキーボードのフレーズで幕を開けるオープニングナンバー。この勢いとそしてキャッチャーなメロディー、そして何の余韻もなく2分23秒っていう短さで曲をバサッと切ってしまうところといい、これぞロックと言いたくなる気持ちよさがつまっています。
2.Champagne Girls I Have Known
ヘニャヘニャなギターのフレーズが耳に残ります。女性がシャウトで「私たちはモンスターを作った」と唄うサビの、カッコ悪いけどずれた感じ。好き嫌いは別れるかもしれませんが、僕は大好きです。
3.Our Bipolar Friends
先行シングル。ニンジャァ〜な1曲です。思いっきりメロディアスな冒頭部分から激しい中盤になり静かめのブリッジを経てまたまたメロディアスかつ激しい終盤を迎える、というプログレチックな構成となっています。最初は「彼らしい曲だなぁ」と思ったのですが、よくよく考えてみればこういう露骨にプログレなノリの曲ってこれだけなんですね。デュエットぽくなってる中盤がおもしろいです。
4.Eyes Wide Terrified
多分シングル。アッパーな曲の中では随一にメロディアス。パワーポップなんかに分類してもいいくらいです。「ヨォライフイズァソーング」は必殺フレーズですね。最後のほうの可愛らしい女の子の声が好きです。…好きですとも。
5.Cranes and Cranes and Cranes and Cranes
頭4曲と比べると多少パワーダウンしている1曲。でも十分に魅力的。1曲の中にサビが何度も押し寄せてくるようなお得さがあって、そんな曲のくせに2分半強に仕上げてしまうという潔さ。素敵です。
6.The End And Everything After
EP"Arcs Across The City"収録曲で表題が歌詞に使用されています。どうでもいいけど、この曲、歌詞カードを追いかけるのがかなり大変です。メロディーそのものも素敵なのですが、サビまでの展開の流麗さも良いです。曲を作るのが巧いバンドですね。最初のクライマックスと言えるでしょう。
7.Hennings Favourite
前の「The End And Everything After」とサビがかぶっているのですが、意図的かどうかはわかりませんが、それが逆にアルバムとしての統一感を生んでいる気がします…っていうのはちょっと悪い受け取り方でしょうか?歌詞の内容はガレージロックバンドが氾濫しているUKシーンへの露骨な批判。「レイズユァミドフィンガトゥガレジロック」なんとなくわからなんでもない。
8.Salt, Pepa and Spinderella
良いメロディーが書けるバンドなんだなぁ、という印象を受けること間違いなしな1曲。垢ぬけているくらいのポップセンスがあるくせに、どこまでも青臭い感じ。そこらへんもAshに近いものがあります。終盤の盛り上がりが気持ちいい。
9.Yes! You Talk Too Fast
インディーズ時代に7インチでリリースされた楽曲。1秒たりとも聞き逃せないくらい聞きどころ満載。歌詞はアルバム中唯一ともいえるわかりやすいラブソングで、そういうところもポップソングとして最高。Mansunの「Six」なんかに匹敵する…とまでは言わないけど、Mansunとか或いはQueenが「ボヘミアンラプソディー」を成立させるのに長尺で仕上げているのに対して彼らは同じような曲を3分半弱でやってしまっているところは本当に、なんていうのか、すごい。
10.Dj's Get Doubts
ドラムレスのメロウなナンバー。多少、浮いてはいるのですが、浮いているからでこそ、うまくこの曲でクライマックスに突入させている…のかも。この曲を単独で聴くことはないと思うけど、でもとても素晴らしい曲だと思います。
11.Sometimes, In The Bullring
アルバムの流れでいうならハイライトと呼ぶに相応しい1曲。この曲も9曲目同様7インチでリリースされた楽曲で、完成度の高いポップソングであり、歌詞もわかりやすめのラブソング。サビの後半の切なさは最高です。この曲でアルバムを終わらせてもそれはそれでよかったかも。
12.Yr All Just Jealous
いきなりグリーンデイみたいなフレーズで始まるポップソング。終盤で雰囲気がガラッと変わりそのまま最後の「Absolute Balance」につながっているので、この曲は次の「Absolute Balance」と合わさった7分半の大曲とも受け取れます。まぁ受け取ったところでどうって話じゃないですけど。
13.Absolute Balance
アルバムを締めくくるのはスケール観を持った(ほぼ)インストナンバー。インディーズバンドによくある感じでそんなにヒネリのある曲でもなさそうですが、でもやっぱり好きです。あぁ素敵なアルバムだったなぁと振り返れるような、そんな1曲。ちなみにこの後はボーナストラックがあって、更には2曲の隠しトラックまでもが収録されています。どの曲もかなりメロディアス。
かなりオススメです。