今回ご紹介するのは
スリーアウトチェンジ(Supercar,1998)
試聴
客観的…A
主観的…A
必聴…"cream soda"ロック史に残すべきなデビュー曲…かも。
スーパーカーは当時18歳だったメンバー4人で
1995年に日本は青森にて結成されたロックバンド。
1997年にシングル「cream soda」でメジャーデビュー。
1980年代末期から90年代初頭にかけての
UKインディーズシーン(主にシューゲイザー)を彷彿させる
洋楽志向の強いロックサウンドは、
小室サウンド全盛の時代では
大ブレイクには繋がらなかったものの、
カリスマ的な人気を獲得することに成功。
そして、1998年に今回紹介する1stアルバム
「スリーアウトチェンジ」をリリース。
オリコン20位を獲得と
この手のアーティストの作品としては
当時の日本のメジャーシーンにおいて
前代未聞だったともいえる(わけでもないかもしれないけど)
ヒットを記録。
このアルバム以降、彼らは
エレクトロニクス/テクノに傾倒し
よりマニアックな方向に進みながらも、
映画「ピンポン」に楽曲が使用された頃には
デビュー時を超える人気を集めていました。
しかし、2005年に惜しまれながらも解散。
解散後もメンバーそれぞれ
ミュージシャンとしての活動を継続、
特にギターと作詞を担当していた
いしわたり淳治さんはプロデューサーとして
目覚ましい活躍をしています。
スーパーカーがデビューした1997年といえば、
ロックリスナーの間では
「OK Computer」や「FANTASMA」をはじめ
洋邦問わずロック豊作な1年となったことで
認知されているんだそう。
リアルタイムで体験してはいないので
なんとも言えないのですが、
ロック先進国である英米にとっては
おそらくこの1997年がロックの飽和点となり、
逆に、ここ日本にとっての1997年は
ロックの新たな出発点になったのでしょう。
ナンバーガール、くるりが
共にそれぞれ1stアルバムをリリースした年であり
(両者とも僕は全く聴いてないけど)
そしてもちろん
スーパーカーがデビューした年である、
というのはこのアルバムの10周年記念盤の
ライナーノーツにも記載されているし、
やはり特筆すべきことなのでしょう。
音だけなら完全に最前線な洋楽的サウンドに、
当たり前な話、
日本人にとっては最もなじみ深い言語である
日本語が乗せられた楽曲群。
更にそれを奏でているのが
20前後の僕らとほとんど変わらない
世代の若者である。
リアルタイムで彼らを聴いていたら
本当にすごい衝撃的だったと思う。
バンプが国民的なバンドにのし上がり
アジカンやチャットモンチーが
チャート1位圏内の人気を保っている
今現在に彼らがデビューし
この作品を放ったとしたら
間違いなく大ヒットしていることでしょう。
つくづく、10年前をリアルタイムで
味わいたかったと思う。
「OK Computer」とスーパーカーに心酔したかったなぁ。
驚異的なのは、何と言っても
19曲というえげつないくらいのボリュームを、
しかも、色々な飛び道具を用いているわけではなくて、
ほぼ首尾一貫うるさいギターと囁くようなボーカルによる
どことなくネクラな匂いの漂う
胸がキュンとなるようなポップソングの
金太郎飴状態なアルバムを、
しっかりと一部始終、聴かせてしまうところ。
ポップセンスがずば抜けているからとか
そういうのもあるけど、
それ以上に、もう理屈抜きで
リスナーを引きつけてしまう魅力に溢れているからでこそ
約80分を聴かせてしまえるのでしょう。
と言いつつも、
さすがにラストの「Trip Sky」は例外で、
12分は明らかに間延びしすぎですが。
早足になりますが、全曲紹介に移ります。
1.cream soda
デビュー曲。とにかくリフが気持ちいい。これほどまでに洋楽的なロックを日本語で成し遂げれた曲ってそうそうないと思う。必聴です。
2. (Am I)confusing you?
シングルにしても十分通用したんじゃないかと思えるくらい親しみやすい1曲。Aメロ、Bメロ、サビっていう王道的な構成のミスマッチ感が素敵。
3.smart
ネチッこい雰囲気で僕の嗜好ではないのですが、でも何気にものすごく耳に残る。「Shaker Maker」とかそこらへんのoasisの楽曲にも通じるものがあるかも。アミダで人生でも決めれるわけだし、な1曲。
4.DRIVE
シングル。ネオアコな仕上がりでベースレスな代わりにベースのフルカワさんがフルでボーカルを担当。メロディーはJ-POP的というか非常に日本人好みな感じで、おそらく今現在シングルとしてリリースされれば普通にヒットを飛ばせるはず。どことなく初期のジュディマリっぽいかも。
5.Greenage
「憧れてない?こんな僕に」とウザいフレーズが耳に残る1曲。言うと、大して良い曲ではないのに、でも何故か口ずさんでしまいます。
6.u
静かなストロークからメロディアスなソロが入り爆音なシューゲーザーに突入するベッタベタなイントロが最高。非常に広がりのあるバラードでありながら3分強に収めているところも素敵。
7.Autmatic wing
前半のハイライトというか、一つのクライマックス。単独で聴くには長すぎる気がするけど、通して聴くとこの長さが活きています。そういう計算がほどこされているところが彼ららしいというか、らしくないのか、まぁ僕にはわかりません(何の話やねん)。
8.Lucky
シングル。ある種のデュエット。全フレーズがサビと言ってしまっても過言ではない(というわけでもないけど)くらいお得な1曲。ちなみに、10周年記念盤を購入された方には付属ディスクでライブバージョンのこの曲も聴けるのですが、そちらでは「わたしらしさとかぁ〜」の部分は省かれています。
9.333
ここからは3分前後のアルバムオリジナル曲が立て続けに収録されているのですが、個人的にはこの中盤の流れが大好き。アルバムオリジナル曲が魅力的っていうのは本当に素敵です。で、その中でもこの曲は特に好きかも。2分半強という短さとどことなくひねくれたメロディー、非の打ちどころ無しなポップソングです。
10.Top 10
リフがどことなくイエモンの楽園とレディヘのplanet telexに似ているような似てないような。大きな起伏があるわけではないし、大してアッパーな曲でもないけど、盛り上がれます。
11.My Way
ブサイク同士でも甘い恋をしていい、っていう曲…かも。こちらもいわいるJ-ROCK的な仰々しいサビはないけど、すごく盛り上がれる。
12.Sea Girl
彼らなりのサーフポップ。メロディー自体は耳に残りませんが、リフが耳にこびり着きます。「もう男にはうんざりよぉ」だそうです。
13.Happy talking
アッパーな曲はもちろん、メロウな曲もノイジーでなかなか落ち着けないアルバムなのですが、この曲は特にメロウなわけでもないけど、こじんまりしていて落ち着けます。曲としても素晴らしいし、アルバムの流れの中での息抜きとしても素晴らしい。
14.Trash&Lemmon
「愛に関しての〜」ループが印象的。僕の中ではアルバム中、最も地味な1曲なのですが、何気に人気が高いそうです。
15.PLANET
一部では名曲と名高いシングル曲。ノイジーでありながらヘヴィーさのないギターサウンドにストリングスが加わった広がりのあるバラード―と、もろにoasisなので、すなわち、典型的な洋楽好きの日本人のツボだと思います。僕も大好きです。
16.yes
フルカワさんのボーカルのせいなのか、チャットモンチーっぽい(CD持ってないけど)。「Planet」みたいなナンバーも素敵だけど、やっぱり彼らの十八番はこういうシンプルなナンバーですね。
17.I need the sun
もうちょっと短くまとめてもよかったんじゃないかと思いますか、大方の人がトリの「Trip Sky」を省いてこのアルバムを聴くと考えれば(そうかどうか知らんけど)この長さだからでこそこの曲がアルバムのクライマックスになりえてるのかも。
18.Hello
シングル向けな1曲。サビよりも中村さんがけだるく唄うAメロがキャッチャー。この曲でアルバムを終わらせてよかったんじゃないかというのが正直な感想です。
19.Trip Sky
トリは12分の長尺。正味、この曲をフルで聴いた回数は1回だけです。4分あたりで切ってよかったと思うし、最後まで延々と続くリフレインは退屈すぎます。
今の日本のロックシーンにどっぷりつかっている方は是非ともご購入ください。