「湾田ホゲル君はハローもグッバイもサンキューも言ってくれない」
日本のロックとか
今回ご紹介するのは
TEAM ROCK (くるり,2001)
試聴
客観的…A
主観的…B
必聴…"ワンダーフォーゲル"もっと売れるべきだったシングル。
くるりは(以下「図鑑」のレビューとかなり重複します)
岸田繁さんを中心に1996年頃に
京都で結成されたロックバンド。
1998年10月にシングル「東京」でメジャーデビューを果たし、
スーパーカー、ナンバーガールらと共に
新世代のロックアーティストとして
注目を集めることとなります。
2000年に発表された、
ジム・オルークらをプロデューサーに迎えた
メジャーレーベルからの2ndアルバム「図鑑」によって
ロックファンからの人気を不動のものに確立しました。
その2ndアルバム発売後、テクノ志向なサウンドをみせた
シングル「ワンダーフォーゲル」をスマッシュヒットさせ、
その方向性を更に追求した形で
今回紹介する3rdアルバム「Team Rock」を完成させます。
このアルバムはバンド初の
オリコントップ10内ランクインを果たし、
こののち、彼らのリリースしたアルバムは(今まで)
すべてトップ10内にランクインすることとなります。
名盤と名高い2nd「図鑑」は
僕の嗜好にはあまりそぐいませんでした。
といいますのも、
「青い空」「ピアノガール」「街」「宿は無し」など
ポップセンスを前面に押し出した曲は
ドンピシャでハマったのですが、
「ロシアのルーレット」「ガロン」など
いかにも「実験的」という言葉が似合う楽曲は
正直言って退屈にしか思えませんでした。
(「マーチ」「惑星づくり」とかは大好きですが)
で、「青い空」「街」にしても、
もっとまっすぐなポップソングに仕上げてくれたほうが
もっと好きになれた気がします。
ようするに、僕は彼らの高いポップセンスには
感銘を受けるものの、
ロックバンドらしい先進的なスタイルについては
あまりに好きになれないわけです。
まぁたんなる僕の好みの話ではありますが、
案外、そういうリスナーも多いんじゃないでしょうか?
で、この3rdアルバム「Team Rock」は
テクノ/エレクトロニカ色が強まり
実験的な作品に仕上がっているという評価を目にしますし
確かに彼らにとっては大きな実験だったのかもしれませんが、
実質的にはこのアルバムのほうが
2ndの数十倍の通俗性を持っていると言えます。
「c'mon c'mon」「永遠」のように
大衆受けしなさそうなナンバーは
思いっきりそういう方向を推し進めているのですが、
「ワンダーフォーゲル」のような
理屈なきで楽しみたくなるポップソングは
小難しさを完全に排除した
まっすぐなポップソングに仕上げていて、
前作の「街」などに感じられたもどかしさがなく、
ポップロックバンドとしてのくるりを期待する人には
2ndよりももっと好きになれること間違いなしな1枚です。
僕自身の好みだと、
「永遠」「C'mon C'mon」は
どちらか1曲を収録させるだけでよかったかなぁ…
って思っちゃうし、
もっともっと徹底したポップアルバムであって欲しかったなぁと
思うわけです。
まぁ僕の好みの話なんですけどね。
全曲紹介にうつります。
1.TEAM ROCK
2分ちょいの短い1曲なのですが、その中に色々な要素が凝縮されています。前作のオープニング(2曲目ですが)「マーチ」も濃い曲でしたが、あっちは「詰め込まれた」という表現が似合うナンバーだったのに対し、こちらはもっと整然としています。僕は「マーチ」のほうが好きだけど、曲としてはこっちのほうが素敵なんじゃないでしょうか。ボイスパーカッションや「イヤァ〜」のダサさはなんともいえませんが。
2.ワンダーフォーゲル
くるりの代表曲でオリコン20位を獲得したシングル。「ハローもグッバイもサンキューも言わなくなった」このサビ、普通に当時ならミリオンを売り上げても不思議じゃなかったと思うんですが、どうでしょう?ロックバンドがやっているからかろうじてロックと称せるだけなんじゃないかと言われるとそれもそうな気がしますが、でも、当たり前な話、良いものは良い。だからこの曲を「ポップだから」といって毛嫌いするのは損すぎる。名曲。
3.LV30
マイブラの「Only Shallow」という曲にソックリだということで有名(?)な1曲。youtubeで聴いてみると、たしかに導入部分やAメロは、マナとカナ並にソックリ。これが僕の大好きな曲だったらかなりショッキングなんだけど、そんなに好きでもないので、まぁどうでもよかったりします。で、パクリとは無縁な歌詞の部分が素敵。「召喚するかドアを開けるか〜」本当にくだらなくて好きです。
4.愛なき世界
なかなか厭世的なタイトルで歌詞もちょっと卑猥ですが、曲自体はギターが気持ちいい爽やかな仕上がり。微妙に電子音が挿入されているところがこのアルバムらしい。
5.C'mon C'mon
普通のインスト。「かもんかもぉ〜ん」の連呼なんかはベッタベタ。5分超という長さは移動中にウォークマンで聴くときはBGMとして気にならないけど、「ながら」以外で聴くにはちょっときつい。前作のインスト「惑星」のほうが数倍オススメ。
6.カレーの歌
前作における「ピアノガール」にあたるピアノの弾き語り。「ピアノガール」ほど唄いにくいメロディーではなくて、「みんなのうた」として通用しそうなくらい(それは違うかも…)普遍性がありそうな1曲。好きです。ただ、カレーの匂いって優しいんでしょうか?インド人の体臭に優しさを感じられるのでしょうか?
7.永遠
もろ後期スーパーカー。ただ、スーパーカーみたいな(←あんまり詳しくないんだけど…)魅力的な言葉遊びがあるわけではなくて、まぁ「C'mon C'mon」をもっと無駄に長くしただけみたいな印象を受ける曲。冗長。
8.トレイン・ロック・フェスティバル
ロックンロールな1曲。カッコいい。歌詞はダサいけど、そのギャップも素敵。「ママママイレボリュ〜ション」「ユユユユアエヴォリュ〜ション」のキャッチャーさはすさまじい。短さも好きです。
9.ばらの花
メンバー自身が絶賛しているシングル曲。「ワンダーフォーゲル」か「ばらの花」かどっちが好きかと訊かれると僕は前者なんですが、でも曲として素敵なのは断然こちらなのでしょうし、僕も大好きです。「安心な僕らは旅に出ようぜ」わかるようでわからんようなこの歌詞も好きだし、たたみかけるような終盤とかも最高です。シークエンスも素晴らしい。
10.迷路ゲーム
おそらく(というか絶対に)ドラッグについての曲。ピアノの弾き語りにエフェクトがかけられているのですが、その完全にトリップしている雰囲気や物悲しさなんかはなかなか楽しめて、何気にこのアルバムのハイライトとも言えるかも。
11.リバー
トリを飾るのはシングルカットされたポップナンバー。「ワンダーフォーゲル」と双璧してオススメしたいほど魅力的。どっかで聴いたことあるフレーズばっかりなんだけど、そんなのどうでもいいくらい魅力的。ピアノや強いパーカッションの賑やかさがマッチした曲の雰囲気が最高です。どうでもいいけど、この曲は「世界ふしぎ発見」のエンディングだったので、僕が初めて耳にしたくるりの曲だったりします。更に余談ですが、当時の「世界〜」はエレファントカシマシの「孤独な太陽」とかスピッツの「放浪カモメはどこまでも」を起用してたり、今考えればなかなか面白い選曲でした。
「図鑑」よりもオススメだし、「図鑑」が合わなかった人にもオススメ。シングル3曲はもっともっと有名になってほしい名曲です。

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