今回紹介するのは
Pinkerton(weezer,1996)
試聴
客観的…A
主観的…A
必聴…"Pink Triangle"間違いなく心を揺さぶられます。
weezerは1992年に、リヴァース・クオモら
それぞれ田舎からロックスターを夢見て
ロサンジェルスへと上ってきた
若者4人によって結成されたロックバンド。
1993年には早くも
当時NirvanaやSonic Youthといった
オルタナティヴロックバンドを抱えていて
大成功を収めていたレーベル、
デヴィッドゲフィンカンパニーと契約を結び、
1994年にアルバム「weezer(通称ブルーアルバム)」でデビュー。
発売当初は大ブレイクを見込まれたような
アーティストではなかったのですが、
シングル「Buddy Holly」がMTVを媒介として大ヒット、
その結果、アルバムはアメリカ国内のみで200万枚という
メンバーの想像を絶する売り上げとなりました。
1996年、今回紹介する2ndアルバム「Pinkerton」発表。
予想外の大ブレイクによって
リヴァースが味わった苦悩や困惑が
このアルバムの題材となっているため
暗い作風に仕上がっています。
そのため、今作は、
前作を大きく下回るセールスに終わってしまいましたが、
ファンの間では前作と並んで
weezerの最高傑作と評されることが多い1枚です。
ジャケが歌川広重だったり
日本に関して歌われた収録曲も多かったりするため、
おそらく日本のファンの間では
圧倒的に最も人気の高い作品なのではないでしょうか?
なぜこれほどまでにweezerが支持されるのか?
たしかにものすごく良い曲を歌ってる。
でも、それだったらGreen Dayとかだって同じなのに、
なぜweezerに限ってはこれほどまでに
ある種、神懸りされたような扱いを受けているのか?
ずばりその理由は、
リヴァース・クオモがフロントマンであるからであり、
その男の叫びが詰まった傑作「Pinkerton」を
世に送り出したということに他ならないのです(多分)。
リヴァース・クオモ、
彼は情けなさの権化と呼べる男です。
本来あるべきロックスターの姿とは対極をなします。
しかし、彼の叫びはどこまでも生々しく、
僕のようなどこまでも弱い人間にとっては
(自分で言うのもなんなんですけど)
トム・ヨークの知性的すぎるメッセージの
藤原基央の純粋すぎるメッセージの
何十倍もの感銘を受けてしまいます。
この心が味わう
受ける言い表しようのない気持ち、
これこそがロックの醍醐味です。
情けなさぎる歌詞にのった
キャッチャーすぎるメロディー、
感情的すぎるグルーヴ、
完全無欠なんて言葉はとうてい似合わないのに
どこをどう吟味しても愛しすぎる。
自己嫌悪に陥っているような人は
是非とも聴いてみて下さい。
35分の間だけでも全てに開き直れるようになります。
曲紹介に移ります。
1.
Tired Of Sex
「セックスには飽きた」というタイトル。
weezerの楽曲であるからでこそ成立するナンバー。
なんでこんなにカッコワルイのに
こんなにカッコイイのでしょう。
個人的には後奏はなかったほうが良かった気もします。
2.
Getchoo
サビが強烈な1曲。
僕はそんなに好きじゃないっていうよりかは
むしろアルバム中で
最も「どうでもいい」曲だったりするのですが、
なかなか人気は高いそうです。
3.
No Other One
妄想が暴走してしまうという
典型的なweezerっぽい歌詞。
切なさもいかにも彼ららしい。
4.
Why Bother?
アルバム中唯一といってもいい
あっけらかんとしたポップスナンバー
(歌詞はなんともいえませんが…)。
2分2秒という収録時間の短さも魅力的。
1stに収録されててもさほど違和感なさそうです。
5.
Across The Sea
この曲から「Pink Triangle」までの
中盤4曲は掛け値なしで最高です。
ここまで充実した楽曲の連続には
恐怖に近いものを感じます。
この曲は日本のファンを題材にしているのですが、
とにかく歌詞がすばらしい。
最後の逆上ともいえる叫びは
どうしようもないけど、痛いほどわかります。
6.
The Good Time
シングル。
人生なんてどうせ「あのころに戻りたい」とか
言い続けて終わっちゃうんだろうなぁ、
っていう1曲(僕の勝手な解釈ですけど)。
まずイントロがめちゃくちゃカッコいい。
最後の爆発する部分もめちゃくちゃカッコいい。
ポップスとしても完璧ですね。
7.
El Scorcho
シングル。
weezerお得意のベタさ全開のサビが印象的。
初めて聴いたときは「すぎに飽きちゃうかなぁ」
とか思ったのですが、
何気に一番スルメ的なナンバーだったりします。
8.
Pink Triangle
シングル。
「好きになった彼女はレズビアンだった」という、
本当にどうでもいいような、
でもどうでもよくないような、
とりあえずひたすら情けない歌詞。
正味、歌詞はそんなに好きではないのですが、
とにかくメロディーが最強。
そのせいで歌詞もやたら感傷的に聞こえます。
この曲だけでも十分定価以上の価値アリですよ。
9.
Falling for You
ビートルズ彷彿な懐かしさがあります。
どことなく歪なメロディーも味があります。
個人的には3度目のサビに入る直前の
あの「ベイベー」というシャウトがたまりません。
10.
Butterfly
トリを飾るのはアコースティックチューン。
なんていうか、やっぱり素晴らしいです。
ひたすら感動的。
美しい蝶々を追いかけ続けるような人生、
それでいいんじゃないでしょうか。
誤ることしかできなくても、
それでいいんじゃないしょうか。
いやいや…感動的です。
是非とも聴いてみて下さい。
大好きなアルバム紹介
十回企画の第三弾はweezerつながりで、
「
weezer(1994)」を紹介させていただきます。
(↑試聴)
青一色の背景にメンバー4人が立っている、
そんな何のヒネリもないが故に
強烈な印象を残すジャケットからして最高です。
こちらは、アメリカ有数の人気を誇るバンドに成長した彼らの
初々しいデビュー作にあたるわけですが、
やはり彼らが「売れた」のは必然だったのでしょう。
そうとしか考えようがないほど
完璧なポップロックアルバムです。
ポップであり、ロックなのです。
スピッツよりもおだやかでアジカンよりも激しい、
そう表現すれば購買意欲をそそれる…かなぁ?
一度手に入れれば
絶対に思い出の一部になってしまう作品だと断言しましょう。
さきほど2ndをアホほど絶賛しましたが、
個人的にはその2nd以上にこっちのほうが好きです。
大ヒットしたM-4はもとより、
M-1,3,7,8のような死ぬほど切ない曲や
M-2,6の能天気なナンバーもオススメ。