今回紹介するのは
未公開のエクスペリエンスムービー(The Yellow Monkey,1992)
試聴(開いたページからDiscography→albumで02を選んでください)
客観的…B?
主観的…S
必聴…"Suck of Life"イエモンの全てが詰まってる…かも。
The Yellow Monkeyは1989年の末に
吉井和哉さんを中心に結成された4人組のロックバンド。
日本のライブハウスの殿堂(らしい)ラ・マーマを中心に
精力的なライブ活動を展開して、
1991年にはアルバム「夜行性カタツムリとプラスチックブギー」で
メジャーデビューを果たします。
彼らの1970年代のグラムロックへの強いオマージュは
一部のロックファンから熱狂的に受け入れられるものの、
バンドブームの終焉という時期的な原因もあって
商業的には散々な結果に終わります。
そんな1stからちょうど1年後に発表したのが
今回紹介する2nd「未公開のエクスペリエンスムービー」です。
発売当初はやはりパっとしないセールスで終わりましたが、
今ではファンの間で次回作「jaguar hard pain」と並んで
初期の最高傑作と評されている1枚です。
私事で恐縮ですが、
中学2年の頃、とにかくイエモンが大好きでした。
今でもそれなりに大好きです。
そんなイエモンのアルバムの中でも
(ベストアルバムを除いて)
最も好きなのがこの「未公開のエクスペリエンスムービー」です。
寂しいことに、どこの店頭を探しても
この傑作が販売されていないので、
最初に聴いてからおよそ2年、
とうとうレンタルのCDをコピーしてしまいました。
それほど僕はこのアルバムが大好きだし、
なので是非とも皆様に聴いていただきたいです。
基本的には「1970年代風グラムロック」という
前作の路線を踏襲しているので、
前作の延長線上であることは否めない。
でもそんなの関係ねぇ(知ってる人は知っている)。
良いものは良いのです。
だってアホほど素晴らしい曲が揃ってるんだもん。
「全曲シングル化可能」という帯と
「全曲シングル化不可能」という帯の
両方ともがしっくりときてしまいそうな、
そんな素晴らしい曲で埋め尽くされています。
それに延長線上ではあったとしても
しっかりと進化してますしね
(お前は何様だ、とか言わないで下さい)。
彼らの持ち味となる歌謡曲っぽさも
前面に押し出されるようになっているし、
変テコな歌詞にも磨きがかかっています。
正味、歌詞で意味がわかるのは
「4000粒の恋の唄」「Suck of Life」
「シルクスカーフに帽子のマダム」くらいでしょう。
それくらい歌詞は狂っていますが、
その狂った雰囲気がたまらなくカッコイイ。
そして何より注目すべき進歩は
大作趣向の曲の完成度の高さ。
非常に大作趣向な曲が多い1枚なのですが、
どの曲も申し分なしに壮大で感動的で、
前作の目玉であった「真珠色の革命時代」にあった
心もとなさなどは皆無。
これらの成長を総括した結果、
彼らの持つ唯一無比なアイデンティティーの確立に
成功しています。
「ダサさを逆手に取ったカッコ良さ」
いわばこれこそがイエモンの真骨頂です。
前作ではただひたすらダサかったイエモンですが、
今作では異常なまでのダサさを
逆にどうしようもないほどの魅力に変換していて、
以後の彼らの作品において「傑作」と評せるものは
必ずこの変換が上手く働いていると言えるでしょう。
イエモンというバンドが確立されたアルバムであると同時に
彼らの個性が最も堪能できるアルバムでもあるこの1枚は
やはりイエモンファンの僕にとって彼らの最高傑作だし、
全国民に聴いてほしい日本の誇りだと思います。
なんか賞賛しすぎですけど
あともう一つ言わせてほしいのが、
「エクスペリエンス(経験)」じゃなくて
「エクスペリメント(実験)」なんじゃないでしょうか?
わざと?それとも本当にバカだったの?
長くなるけどどうせなら全曲紹介。
1.
MORALITY SLAVE
ベートーベンの月光から鎖の音、
そして意味不明な呟きという
いかにもいかにもな導入部分がゾクゾクさせます。
バンドアンサンブルに入ってからは
世にも恥ずかしい女性の台詞が入るという
どうしようもなくダサい展開を迎えるのですが、
こう行くところまで行ってしまうことによって、
(先ほど述べた)逆にカッコ良さが生まれてきます。
本当、これは秀逸だと思います。
曲そのものもものすごく好き。
サビの「ロボトミー」とか意味不明だけど大好き。
ギターリフがオペラ座の怪人であったり
何気ない遊び心も良いです。
2.
DRASTIC HOLIDAY
歌謡曲風味な1曲。
歌詞はよくわからんけどとりあえず卑猥です。
バイオリンの絡みとか素敵です。
ブリッジの部分は大好きなんですけど、
でももう少し短くまとめてくれたほうが
個人的には嬉しかったです。
3.
LOVE IS ZOOPHILIA
インディーズ時代からのレパートリーだったそう。
意外にも彼らには珍しい典型的なグラムロックナンバー。
ある種、同年代のブルーハーツ系統のバンドにも
通じる部分がなきにしもあらず。
ちなみにズーフィリアとは動物に性的な愛情を持つこと。
これもどうせならもっと短くてよかったかも。
4.
仮面劇
グレイとかそこらへんが唄っても
違和感なさそうなサビが強烈。
歌詞の意味はわからんけど
「この世界の上から〜飛び降りるさ」とか
「仮面劇は死ぬから」とか
フレーズとしては大好きです。
ピアノが効果的。
5.
VERMILION HANDS
縦ノリなロックチューン。
なんで「Nails」じゃなくて「Hands」なのかとか
どうでもいい疑問はおいておいて、
普通にカッコイイです。
特に間奏の休符とか。
6.
DONNA
アコースティックナンバー。
どうだろう…
僕としてはこの曲だけは
なんとなくいただけないんですけど…。
嫌いではないんですけどね。
7.
審美眼ブギ
あっけらかんとした雰囲気のポップチューン。
この曲ももうちょっと短くして欲しかった…
っていうのはおそらく単なる僕の好みの問題。
歌詞は世間の批評に対しての批評。
「長さは〜」っていうのはファンの間では有名(らしい)。
「不純な寄せ書き」っていう表現が良いですね。
8.
4000粒の恋の唄
8分に及ぶ大作。
徐々に盛り上がっていく高揚感はたまりません。
歌詞もアルバムの中では非常にわかりやすく
純粋な感動が味わえます。
メロディーの良さもさることながら
エマさんのギターもかなりキャッチャー。
9.
アバンギャルドで行こうよ
シングル。
シングルなくせに突出した完成度でもないところが
このアルバム自体の驚異的な完成度を物語っています。
正直、この曲はそんなに好きじゃないんですけど、
ディンダンディンダンダダンは耳に残ります。
10.
フリージアの少年
吉井さん自身のことを歌ったらしい1曲。
サビは最強ですね。
曲の構成も巧いの一言。
ベースが目立つ地味なAメロからサビへの変化とか最高です。
オススメです。
11.
Suck of Life
かなり人気の高い名曲。
掛け値な表現になるかもしれないけど、
和製ボヘミアンラプソディーなのではないでしょうか?
そんな感じの広がりのある、
でもものすごくわかりやすいロックチューン。
歌詞はオカマのことを唄っているのでしょう。
是非とも日本のロック史に残して欲しい。
12.
PUFF PUFF
おふざけ曲。
笑えます。
13.
シルクスカーフに帽子のマダム
コンセプトアルバムである次回作につながる
バラードチューン。
これを聴けばいやがおうにも次回作が聴きたくなる、
そんな感じです。
まぁ個人的な見解を述べさせていただくと
この曲のほうが次回作のどの曲よりも
いい曲だったりするわけですが。
ものすごく切ない気分に浸れます。
「ごめん、さよなら」良いです。
うわぁ、長い。