今回ご紹介するのは
In Rainbow(Radiohead,2007)
試聴(シングルPV)
客観的…A
主観的…B
必聴…"Jigsaw Falling Into Place"彼らの新しい代表曲…かも。
Radioheadは1992年にデビューしたイギリスのロックバンド。
1993年、「俺の居場所はない」と唄ったシングル「Creep」が
アメリカの若者の間で大ヒットを記録。
1stアルバム「Pablo Honey」も好セールスとなります。
ただ、この頃の彼らは
世間からは「イギリスのNirvana」などと呼ばれていて、
いわいる一発屋で終わると危惧されていました。
しかし、1995年の2nd「The Bends」(名盤!!)で
高い実力をみせつけるとと共に独自の世界も開拓し
評価を高めることとなり、
更に1997年の3rd「OK Computer」に至っては
「ロックの最高峰」など絶賛に次ぐ絶賛を浴び、
名実ともに世界トップのバンドに成長。
2000年発表の「Kid A」と
2001年のその姉妹的作品「Amnesiac」によって
最早、神格化されるまでの
絶対的な人気を獲得することになります。
2003年の「Hail To The Thief」は
革新性のなさが所以で
(僕は聞いたことないんですけど…)
賛否両論に分かれたものの、
やはり彼らの地位がゆらぐことはありませんでした。
そして2007年10月に突如、
インターネット上の配信のみで
およそ4年半ぶりの新作「In Rainbow」発表。
その大物バンドとしては異例の
斬新なセールス方法は大きな話題を呼び、
一時ダウンロード先のサーバーが
あまりの人気にダウンするなどという
衰えぬ人気と、
また「最も進化したロックバンド」としての
自分たちのスタンスを
改めて世間に見せつけました。
そしてダウンロード開始から間もなくの
12月の末にCDとして
市場に「In Rainbow」が出荷されることとなりました。
「革新性はないけど楽曲は充実している」という
そういう趣旨の評価が目立つ今作。
革新性がないというのは僕も同感。
まるでボサノヴァやファンクといった
ある種のヒーリングミュージックのような音は
正直、ありふれているといった感じ。
「楽曲が充実している」という評価ですが、
そちらはあまり同感できません。
まぁもちろんRadioheadなので
魅力的な楽曲も収録されているのですが、
逆にRadioheadにしては、
つまらない曲が多いという印象。
その上、ヒーリングミュージックのような
軽いノリの音も相乗したせいで、
アルバム自体の印象はかなり物足りない。
まとめると、「革新性は希薄で楽曲は充実していない」
と、そういうふうになっちゃうのですが、
かといって間違った買い物だとも思っていません。
前述した通り、魅力的な楽曲もあるわけだし、
あと、物足りなく薄っぺらい分、
別に皮肉っているわけではなく、
BGMとしては最適だと思っています。
こういう軽いノリの作品を作ったのだから、
次回作は是非とも重たい、
いわいるRadioheadな傑作を期待しています。
とりあえず全曲紹介にうつります。
1.In Rainbow
なかなかアグレッシブかつ
3rdのAir Bugのようなこじんまりとした雰囲気。
このアルバム中では珍しく
ヴァースとサビがハッキリとわかれているという
典型的なポップスのスタイルを持っていて、
またメロディー自体も非常にポップなので、
オープニングの掴みとしては最高です。
2.Bodysnatchers
先行シングル。
イントロがRadioheadのくせにいかにもロックなギター、
そういう意外性は面白いですが、
それ以外は特になんてことのないかなぁ…。
こういう曲をシングルに持ってくるあたりが
トップバンドとしての余裕を感じ、
そこらへんもちょっと嫌(意味わかりませんね)。
どうでもいいけど、このPVのトム・ヨークさんの
終始、激しく頭を振りながら歌う姿をみていると
ムチ打ち症にならないか心配になります。
3.Nude
まるでオペラの一部のように仰々しく
広がりのある1曲。
歌詞の意味はわからないので、
ただただ美しいというか、安らぎますね。
あと、タイトルが好きです。
だってヌードだもん。
裸が好きです。
4.Weird Fishes/Arpeggi
攻撃的なパーカッションと
妙に落ち着いたギターのギャップが素敵。
終盤の一度静寂を迎えてから
一気に盛り上がるあたりは思わずドキッとします。
ただ、正直なところ、
後々になってこの曲をわざわざ聴くことはないだろうなぁ。
5.All I Need
3rdの「Climbing Up The Walls」を彷彿させる
とことん暗い世界を持つナンバー。
キャッチャーといえばキャッチャーで、
「ユオールアーイニードゥ」のあたりなんかは耳に残ります。
比較的シングル向けなんじゃないでしょうか。
6.Faust Arp
およそ2分10秒と短めな1曲。
弾き語りにストリングスをかぶせた仕上がり。
7.Reckoner
ほぼずっと反復し続ける構成ですが
何気にドラマチックで
何度聴いてもあんまり飽きません。
コールドプレイをおとなしくさせたようなイントロも
なかなか好きです。
ブリッジのあたりはモロCold War Kids。
8.House Of Cards
地味だけどやたら耳に残ります。
目立つけど耳には残らないな
アニメのスネ夫の声とは正反対ですね。
9.Jigsaw Falling Into Place
名曲です。
1分近くのイントロがすでにツボだったのですが、
そこからのメロディーも極上で、
更に「ザビートゴーズ…」での爆発で
もう鳥肌がたちました。
Radioheadを語る際にしばしば
「静と動」という言葉が用いられますが、
まさにそのダイナミズムが凝縮されている、
彼らの「静と動」の集大成といえるでしょう。
個人的には「Paranoid Android」よりも
こちらのほうが好きです。
10.Videotape
Nudeに近いものもありますが、
もっと冷たくて心を揺さぶらせます。
「BGMに最適」とかさっき書いたけど、
この曲なんか思わず耳を傾けてしまう
強い力を持っていますね。
感動的なエンディングだと思います。
まぁファンなら買うべきだし、
僕みたいな大したファンではない人には
それほどオススメもできない1枚です。