今回ご紹介するのは
ワールドワールドワールド(ASIAN KUNG-FU GENERATION,2008)
試聴
客観的…B
主観的…B
必聴…"或る街の群青"集大成ともいえる名曲。
アジカンことアジアンカンフージェネレーションは
1996年に結成された日本の4人組ロックバンド。
長い下積みを経て、
2002年にミニアルバム「崩壊アンプリファー」を発表、
その収録曲「遥か彼方」がTVアニメの主題歌に
起用されたことをきっかけに人気を獲得。
その後もシングルヒットを連発し
2004年のメジャー2ndアルバム「ソルファ」は
2週に渡ってオリコンチャート1位を記録。
2006年の3rdアルバム「ファンクラブ」も
好セールスを残すこととなり、
もはやバンプと並ぶ新進バンドの代表格として
確固たる地位を確立しています。
今日紹介する「ワールドワールドワールド」は
前作「ファンクラブ」から約2年ぶりとなる
今月の5日に発売されたばかりの4thアルバムで、
初登場オリコン1位となりました。
「ファンクラブ」は昨年の秋の僕のヘヴィロテで、
独特かつ王道的でスケール感を持つロックサウンドには
かなりハマりました。
しかし、アルバム全体を通しての印象だと
強みとなっていたスケール感が逆にダルさを
生み出している感もあって、
「桜草」や「ブルートレイン」なんかは
もっとコンパクトにまとめてほしかったという
少しの不満もありました。
そして新作「ワールドワールドワールド」の
リリースが決定した際、
「ワールドワールドワールド」というタイトルと
更に「ワールドワールドワールド」と
「ワールドワールド」というつながりのありそうな
2曲が収録されているあたりから、
とてつもないスケールを持った
コンセプトアルバムになるであろうと推測させられ、
また、アナウンスシングルとなっていた
「アフターダーク」は3分強の
コンパクトなポップソングであったあたりから、
前作でのお腹いっぱいになってしまう
大曲だらけで構成には陥っていないことも予想され、
否応なしに僕はその新作に大きな期待を寄せていました。
しかしフタを開けてみると
全13曲でありながら45分に満たない収録時間で、
大曲のアクセントとして
コンパクトな曲が用意されているというより、
コンパクトな曲が中心となった仕上がりになっていて、
一応、コンセプトアルバムっぽさはあるものの
明確な統一感のある壮大なものというわけでもなく、
期待していた代物とは違い、
肩透かしをくらいました。
とはいっても何度か聞いていき
まっすぐな心持でアルバムを聴けるようになると
アルバムそのものの魅力にも気付け、
楽しめる1枚になりました。
変な先入観さえなければ
非の打ちどころはないのかな。
そもそもアジカンはウィーザーの
影響下にあるようなパワーポップバンドなので
今作の軸となっている
コンパクトなポップロックこそ
彼らの真骨頂だといえるのでしょう。
ただ、僕自身は前作の
「ワールドアパート」「センスレス」「月光」のような
広がりのある彼らのナンバーが大好きなので、
短所はあっても魅力的だった前作「ファンクラブ」のほうが
今作よりも心に残る1枚となり、
また今作は非の打ちどころはなくても
不満の残る1枚となってしまいました。
まぁ、飽くまで「僕の中では」の話ですけど。
主観評価をB評価にしたのも
「ファンクラブ」と比較しての、Bであり、
もちろん今作は今作でかなりオススメの傑作です。
全曲紹介に移ります。
1.ワールド ワールド ワールド
インスト。
別になくてもいいんじゃないかと思うのは
僕がこのアルバムをしっかりと吟味できてないからでしょう。
2.アフターダーク
シングル。
サビはかなり耳に残り、まさにシングルという感じ。
この手のコンパクトなナンバーは
僕の嗜好のど真ん中なのですが、
この曲はそんなに好きじゃない。
「コンパクト」とは表現できても
「シンプル」とは表現できないところが、
アジカンの魅力ですね。
3.旅立つ君へ
右チャンネルと左チャンネルの両方それぞれで
心地のいいギターが鳴らされていて、
「ネオテニー」とのつなぎの部分を省けば
2分半ほどの短い曲でありながら
だいぶ聴きごたえがあります。
そこらへんのエモコアバンドっぽいといえば
それもそうですが、
それはそれで素敵だと思います。
4.ネオテニー
ネオテニーっていうのはイソギンチャクとか
特定の生物で生じる幼形成熟のことで、
人間に置き換えると
笑ってこらえてのカメラに向かってごめんなさいのコーナーで
幼稚園児が「先生を身ごもらせちゃってごめんなさい」
とか言っちゃうようなそういう現象のこと…なのかな?
…どうでもいいですね。
前作の楽曲に通じるような
広がりのある1曲でサビもかなり強力。
でもこれもそんなに好きないです。
5.トラベログ
こちらも前作に通じるヴォリュームのある1曲。
強力なフレーズが押し寄せる後半の怒涛の展開は
力強いです。
アジカンはリフの巧さも強みだと思うのですが、
この曲のリフもやはりカッコいい。
6.No.9
ここ最近のニューレイヴや、
もしくは10年ほど前のブラーのような
Ukロックな音を感じさせます。
タイトルからわかる通りな歌詞になっていて、
後藤さんにしてはものすごくストレート。
それゆえ、最初聞いた時は鳥肌がたちました。
「ミスター・パトリオット/もう何も壊さないで/同じことでもう誰も泣かないでくれ/繰り返さないでよ」
7.ナイトダイビング
吐き捨てるようにうたうAメロが最高です。
全体を通して強烈にキャッチャーな箇所はないものの
全体を通して非常にキャッチャー。
サビはまさにアジカンという感じで
ある種のマンネリとなっていますが、
しかしそれさえもをもはや美学として
成立してしまっている風格があります。
8.ライカ
プリンセスプリンセスみたいなAメロに
驚かされますが、
曲そのものは唯一無比のアジカンの唄。
タイトルと曲にどういう関連性があるのか
感受性のない僕には全くわからないのですが、
「ライラの大冒険」なのか
「ライカの大冒険」なのか
たまにわからなくなります(何の話やねん)。
9.惑星
アルバムオリジナル曲の中では
おそらく一番人気な1曲。
「惑星」というタイトルですが、
「数えて五十二番目に」とか2番の歌詞から察するに
日本を歌った歌…でもないのかなぁ?
中盤のブリッジからサビに流れる展開なんかは
なかなか面白いです。
10.転がる岩、君に朝が降る
先行シングル。
正直、ラジオで最初に聴いた時は
「シングルとしてどうなんだろう…」っていう
そういう所感しか持てなかったのですが、
アルバムで改めて聴いてみてびっくり。
なんと素晴らしい曲なのでしょうか。
意味は漠然としかわからないけど、
歌詞がものすごく綺麗で好きです。
曲そのものも綺麗。
イントロなんかは思わずタメ息がでます。
しかし、アジカンらしく飽くまでロックであるところが
どうしようもなくカッコいい。
シングルとしてこれを選んだことには
少し疑問が残るのですが、間違いなく名曲です。
11.ワールドワールド
1分強の弾き語り。
歌詞は意味不明です。
リンクしてるサイトではほぼフルで試聴できます。
12.或る街の群青
一昨年の11月に映画主題歌として発売されたシングル。
もともと感動的な仕上がりなのに
アルバムのハイライトとなっているので
なおさら胸を込みあがらせる曲になっています。
この曲もリフが最強です。
前作で培ったスタンスの集大成ともいえる内容で、
壮大で、でもコンパクトで、そして何よりもカッコいい。
この方向性でアルバムを作ってくれたらなぁと
そういう思いでいっぱいになります。
とにかく聴きなさいな1曲。
13.新しい世界
トリを飾るのは「転がる岩〜」よりも
よっぽどシングル向きな気がする
とことんポップなロックチューン。
こういうの僕は大好きなのですが、
おそらく大方のリスナーも大好きなのでしょう。
前作のトリ「タイトロープ」よりも
こっちのほうが素敵だと思います。