最近どうも、ちょっとした出来事で世論が大きく揺さぶられる場面が増えています。グローバリストの対日攻撃、売国の動きが強まっているのかもしれません。
もっとも、中国製の毒餃子事件などを見るにつけ、日本人の「外国」に対する免疫はある程度機能しているようです。ひとまず、外国人労働者や対中FTAのような暴挙はないものと私は見ています。
そこで、近頃すっかりフォローを忘れていた分野を取り上げます。「中朝冷戦」です。おもしろいニュース記事を見つけました。
[経済] 北朝鮮国家鉄道省 《中朝露鉄道貨物運輸協議》を正式批准
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news5/080209.htm
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去年 12月 25日、中朝露の鉄道部門の責任者たちが図們で調印した 《中朝露(地域間)鉄道貨物運輸協議》 が北朝鮮国家鉄道省の正式批准を受けた。
図們市では上記 《協議》の早速の通達を推進するため、市党委書記・朴松烈を団長として市党政代表団を組織し、去る 1月 24日から二日間、北朝鮮咸鏡北道を訪問して 《協議》調達関連会談を進めた。
北朝鮮側では北朝鮮国家鉄道省の上記 《協議》 正式に批准するとの知らせを伝達すると同時に、交渉を通じて 《協議》通達に関する次のような共同認識を示した。
1. 北朝鮮側では 3国鉄道貨物連続運輸運賃、貨物車引継引受、貨物積み下ろし、中朝露3国間決済などの面で 《協議》を行い、協議中に表面化した具体的な問題は 3者間の会談を通じて随時解決する。
3ヶ国(地域間) 鉄道貨物連続運輸の順調な運行を保証するため、中朝双方は早い内に図們−図們江−ハサンの鉄道貨物試験運行をする。
2. 中国図們−北朝鮮・羅津の鉄道貨物運輸は貨主が要求する測算運輸価格、車輌確定などの内容に照らして北朝鮮国家鉄道省に報告し、同意を経た後、運営に投入する。
3. 中国図們−北朝鮮・七宝山の鉄道観光路線の開通が有望。
北朝鮮側では北朝鮮・南陽−七宝山(明川−鏡城−清津駅) 観光列車の開通に原則的に同意する。 中朝双方間の出国時間、観光名勝地、観光価格などの問題を一つ一つ交渉し確定した後、すみやかに関連協議に調印する。
図們通商口は吉林省で唯一の中国−北朝鮮の陸路、鉄道が連結した国家一流通商口だ。
吉林省がロシアと通じることができる図們通商口の年間貨物通過量は 560万トン、図們駅の年間物流量は 500万トンだ。 図們通商口は我が国の東北と華北の大都市と北朝鮮の清津、羅津、ロシアのウラジオストクなどの地域と鉄道が直接連結された。
北朝鮮の図們江駅は北朝鮮−ロシアの貨物運輸の重要な駅であり、 700両のロシア車輌、500両の北朝鮮車輌を収容し、この駅でロシア−中国の運送貨物を移して積む。 図們−図們江−ハサンの鉄道の長さは 126kmだ。
1月 31日、 図們市の党政責任者たちは 《今度の会談が画期的な進展をもたらした》とし、この会談は中朝両国の地域間合作を進め、我が省の対外開放事業において重要な意義があることを強調した。
−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−
図們という町を経由して、中国→北朝鮮→ロシア間の貨物列車を運行することに合意したという記事です。
図們というのは、なかなか面白い場所にある町です。
どんな町かは●こちらのリンク
http://www.searchnavi.com/~hp/tumen/
を見ていただくとよく分かります。簡単に言ってしまえば、北朝鮮・中国・ロシアを結ぶ「ハブ」(車輪の軸)に当たる部分だということです。
図們は中朝国境の町で、その名の通り「図們江」という川に面しています。その向こうには、北朝鮮から中国・吉林省に向けた唯一の通商口が設置されています。ここから北朝鮮の貿易港である清津や羅津、さらにはそこを経由してロシアのウラジオストクまでが一本の道でつながるのです。
もっとも、このニュースを聞いて、こう思った人もいるかもしれませんね。
「国際的に非難されている北朝鮮のような国を、中継貿易で儲けさせるとは何事だ!!やはり、中国とロシアは北朝鮮のシンパ、日本の敵なんだ!!」
こんな感じのことを少しでも思った人に忠告しておきます。
あなたは、小泉政権やマスメディアに洗脳されているおそれがあります。
私がこの記事から受け取った印象はただ一つ、「中国とロシアは、北朝鮮の国際社会への復帰に向けて着々と準備を進めている」ということです。
鉄道というものの本質は、ランドパワー(意味は●こちらを参照)の支配力の拡張手段です。鉄道があれば、短期間に物資や兵員を大量に送り込むことが出来ます。これは、当該国が平時の際は経済進出を、有事の際には物理的支配を及ぼすことができることを意味しています。
以前●中国が建設している「新シルクロード」という高速道路の話をしましたが、それと同じです。鉄道、道路、石油やガスのパイプライン、これらは全て中央にいるランドパワーが周辺国を支配するための道具なのです。
そればかりではありません。今回の北朝鮮経由の貨物列車運行によって明確になったのは、中国がいよいよ「北京五輪後」を睨んで、東北部開発に本腰を入れてきたということです。
中国東北部と極東ロシアの間には「牡丹江−ウスリースク」間の国際列車が運行しています。しかし、このルートを使うと、日本海沿いの貿易港まで輸送するためにかなりの回り道をすることになります。また、極東にはシベリア鉄道も頻繁に行き来しているために、ダイヤの組み方も難しくなるでしょう。
そうなると、北朝鮮北部にある清津・羅津を使う、もしくは北朝鮮−ロシア間の鉄道を使ってウラジオストクに運ぶ方がはるかに速く、コストも低く済むのです。
このように考えると、中国は吉林省の開発にも力を入れてくるということが推測可能です。
国際政治を見ていていつも思うのですが、外国や国際戦略にとって一番重要なのは「柔軟に対応する」ということに尽きるのではないかと思います。
細かいことをごちゃごちゃ考えていても意味がないのですっぱり決めつけてしまいますが、結局外交というのは、自国が百年、二百年先も生き残ることが出来さえすればいいのであって、特定の思想だとかイデオロギーに従って動くことにあまり意味はないのです。だから、ロシアや中国は北朝鮮に対して硬軟取り混ぜた対応をしているのです。
ひるがえって、我が国日本はどうでしょう?
北朝鮮というと、拉致問題を起こした悪い奴という価値判断だけが先に出てしまい、数十年先を見据えた行動が取れなくなっているのではありませんか?
拉致問題を許す許さないは別として、北朝鮮に対して、日本の安全保障上有利になるようなアプローチはいろいろあるはずです。たとえば、キムジョンイル以外の指導層と独自のパイプを持っておく(これは、山崎拓のような愚鈍な政治屋が向こうに行ってただ媚びを売ってくるというような行動は含まない)とか、在日朝鮮人の中にシンパを作って、かの国の内情を把握するとか、あるいは国交回復を前提としない援助とか、やろうと思えばできることはいろいろあります。
そういう選択肢を、日本は全て放棄させられているというわけです。その影には、もちろん日本を主権国家として一本立ちさせるまいというアメリカの意志が働いているのでしょう。
しかし、そのアメリカが衰退したとすれば、日本は自力で状況を改善する努力をせざるを得ません。
外交や貿易に携わるような立場にいる人びとは、単眼的な発想を捨てて、今起きていること、これから起こるであろうことを、歴史の教訓や地政学の助けを得て判断しなくてはなりません。そういった人たちの中で、少しでも多くの人たちが、小泉・安倍政権が残した「北朝鮮=悪の帝国」という単純な図式の呪縛から抜け出すことを願っています。
by日々是勉強