
(『朝日新聞』4月18日朝刊)
昨日4月17日、自衛隊のイラク派兵を差し止めなどを求める控訴審判決の中で、名古屋高等裁判所は航空自衛隊がバグダッドに多国籍軍を空輸していることについて「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」という判断を示しました。
ただ、派遣差し止めや原告一人当たり1万円の損害賠償は認めませんでした。
自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟は、東京、名古屋、京都、大阪をはじめ、全国11カ所の地裁で提訴されており、原告の人数は5700人、弁護団は800人を超えています。
最初の判決は2005年に東京地裁であり、この時は憲法判断はせずに原告側の訴えを却下しています。
今回の判決は憲法判断に踏み込んだ画期的な判決と言えるもので、今後の司法判断に影響を及ぼすでしょう。
しかしこの判決は、裁判的には国側の勝訴となります。自衛隊のイラク派兵が憲法違反であるという判断はなされたものの、派兵差し止めにはいたらず、この判決によって国がイラクから自衛隊を撤退させることはありません。
国側は勝訴したものの、憲法違反の判断をされましたから手放しで喜べないどころか今後の対策に影響することは必至です(福田総理は「影響はない」などと突っ張っていますが)。
勝訴ですから国側が上告することはできません。原告側が上告しなければ、このまま判決が確定します。
■ひまわり博士の感想
これって、名古屋高裁は悪く言えばずるい、良く言えば大人の判断、なんでしょうか。
もう一言いえば、「名古屋高裁はうまいことやりやがった」。
これをもし、原告の訴えをすべて認めて「イラク派兵差し止め」「賠償金支払い」ということになれば、当然国側は最高裁に上告するでしょう。そうなると、憲法違反という高裁の判断は最高裁で覆される可能性があります。
というよりは、
ほとんどの裁判官が右傾化している最高裁では、原告側に有利な判決というのはなかなか望めません。
勝訴した国側は上告はできませんから、原告側が控訴しなければ高裁の判決が確定します。
そのために今回のような判決を下したということは考えられませんか。
一気に全部を覆すのでなく、すこしずつきりくずして行く「青の洞門」方式。
これをまあ、大人の判断とすれば評価できますかね。
その反面、政府からの風当たりをスルリとかわしたような、ずるさも感じます。
国側敗訴となれば、三権分立はどこへやら、裁判所に圧力をかける輩も出てくるでしょう。
■憲法9条
1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇(いかく)又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
■自衛隊は憲法違反?
自衛隊の保持するイージス艦やミサイルなどは、誰がどう見たって明らかな兵器です。あれをラジコンのおもちゃだなんて思う人はいないでしょう。
非人道的であるとして国際的に廃止が進んでいるクラスター爆弾まで自衛隊は持っています。
右も左も誰もが認めるように、
自衛隊はまぎれもない軍隊ですから、すでに存在そのものが憲法違反。
だから、憲法違反にならないように、自衛隊を縮小するのではなく、憲法の方を変えちまおうというわけ。
むちゃくちゃです。
日本の軍事予算は450億ドル(約5兆円)にのぼると言われ、これは突出したアメリカは例外として、イギリスの4兆6000億円、フランスの3兆5000億円をこえて、
米国、ロシアに次ぐ世界第3位の軍事大国です。
日本の国内にも軍需産業はありますが、自衛隊が保持する兵器の多くはアメリカから購入したものです。つまり、アメリカ軍需産業の上得意、というわけ。
これで、憲法9条を改悪したら、日本はどこまでエスカレートするのか空恐ろしいことです。おそらく、アメリカと競い合うことになって、核兵器まで装備するでしょう。
「非核三原則」なんて知ったこっちゃない、という事態になったらどうします?
庶民の生活費が軍事費に持って行かれているアメリカでは、そのために生活を圧迫されている人がたくさんいます。そういう貧しい家庭の若者が、イラクで命を落としています。
いずれは日本もそうなること請け合いです。
自分にできる方法でもっと声を上げましょう。
長いものに巻かれていると、そのうち絞め殺されます。
byひまわり博士