今回ご紹介するのは
図鑑(くるり,2000)
試聴
客観的…A
主観的…B
必聴…"ピアノガール"「マーチ」「青い空」「街」も名曲。
くるりは岸田繁さんを中心に
1996年頃に京都で結成されたロックバンド。
1998年10月にシングル「東京」でメジャーデビューを果たし、
スーパーカー、ナンバーガールらと共に
新世代のロックアーティストとして
注目を集めることとなります。
今回紹介する「図鑑」は
2000年に発表された彼らの
メジャーレーベルからの2ndアルバムで、
ジム・オルークをプロデューサーに迎えた楽曲や
ピアノによる弾き語りや
既発の曲のリミックスなど
全15曲のバラエティーに富んだ内容に仕上がっています。
セールスこそ1stアルバムを下回ったそうですが、
認識としては、
くるりの最高傑作としてだけでなく
日本のロックの金字塔として
語れることの多い1枚です。
くるりはこのアルバムのリリース後、
シングル「ワンダーフォーゲル」をスマッシュヒットさせ、
今現在では、リリースしたアルバムは
必ずチャート上位に食い込ませるほどの
安定した人気を獲得しています。
ロックを取り扱っているサイトを見ていると、
十指の指す所で「歴史的名盤」的扱いがなされている「図鑑」。
で、この手のアルバムに対しては
いつも同じような言い回しばかりで恐縮ですが、
心の底からリアルタイムで味わいたかったと思わせるし、
逆にいうと2008年に高校2年生である僕が聴いても
「良いアルバムだなぁ」程度の好感しか持てない。
当時なら、少なくとも日本のロックシーンで、
こんなゴチャゴチャで変態的かつマトモな作品は
まさに新感覚としか言いようがなかったと思うけど、
約10年が経った今では、
もちろん十分その迫力はあるけど、
半減してしまっているのもたしか。
もしも15曲すべてが
文句のつけようのない名曲揃いだったならば、
冒頭のとは違うニュアンスで
「リアルタイムで聴きたかった」と思うだろうけど、
そういうアルバムなわけではない。
「ピアノガール」と「ABULA」の間で
前半/後半が分けられているのですが(たぶん)
正直、このアルバム、後半が退屈だったりする。
(僕にとって、ですけど)
「屏風浦」「街」「宿は無し」は
前半の楽曲にも匹敵する素晴らしさなのですが、
他の曲が弱すぎるというか。
「ロシアのルーレット」「ガロン」とかは
実験的というか変態的という意味では
アルバム中でも随一かもしれないけど、
良い曲なのかって問われると、
むしろ「どうでもいい」って答えたくなります。
っていうか、この2曲がなかったら、
僕の中ではかなりの好印象だったかもしれません。
とりあえず全曲紹介にうつります。
1.イントロ
いわいる「アルバムのイントロ」。否応にもこれから始まる図鑑への期待が高まります。
2.マーチ
前曲の静寂から一気に爆発するベタかつ気持ち良すぎるドラムから始まるこの曲は、「OK Computer」の「Airbag」と並び称せそうなくらい素晴らしいオープニングナンバー。「Airbag」とは対照的な、うるさいギターが鳴り響いていることにしても電子音の使い方にしても、ラフな印象があるのですが、でも同じくらいの妙な力があります。今年の僕の中のオープニングナンバー大賞はジョニーフォーリナーの「Lea room」かこれです(何の話やねん)。
3.青い空
シングル。ひたすら爽快なギターロック。必殺のサビ「こんなことはいいたくないのさぁ、何かが違うと考える頭は真っ白にぃ」はもちろん、曲の流れの全てが気持ちいい。もっと短くまとめても素敵だったかもしれないけど、間奏のちょっとした長ったらしさもそれはそれで魅力的です。
4.ミレニアム
前の2曲同様にゴチャゴチャとした編曲ではあるものの、ディストーションの効いたギターがうるさくないので、わりとこじんまりと聞こえます。ポップソングです。
5.惑星づくり
インスト。僕の場合は、5分もの間、声が聞こえないような曲は十中八九で睡魔に襲われるのですが、この曲は例外。すんなりと聴けてしまう。声がないうえに反復が多いしベタなギターソロもない、退屈な要素を満たしまくっているのに、聴けてしまえるのです。だから好きです。
6.窓
前半の楽曲の中では最も印象が薄いのですが、こういう地味な楽曲こそ何気にこのアルバムの醍醐味だと思います。切ない雰囲気も素敵。
7.チアノーゼ
イントロが「青い空」とどことなく似ているということで僕の中で話題騒然だったりそうでもなかったりな1曲。とにかくカッコいいです。「ガロン」とかいらないから、もっとこの手の曲が聴きたかったです。ちなみにチアノーゼとは寒いときに唇が青くなったりする現象のことだそう。
8.ピアノガール
地味です。でも僕の中ではこの曲がこのアルバムのハイライトだったりします。単純な(メロディー自体は変だけど)ピアノの弾き語りなんだけど、否、だからでこそ、彼らのすぐれたポップセンスがしっかりと堪能できる仕上がりになっています。「実は下着もつけてないのに」な曲。
9.ABULA
ここから、もしくは次の曲からアルバムの後半。そういう区別のための1曲…だと思う。
10.屏風浦
爽やかでこじんまりとした1曲。インパクトは全くないけど大好きです。
11.街
名曲と名高いシングル。白々しいほどシングルな1曲。捉え方によっては「歌謡曲的なパワーポップ」とも形容できそうなくらいキャッチャー。もしも近い将来、進学先によってはこの町をさるかもしれないし、そんなときは是非ともこの曲を叫びたいような、そんな感じです。
12.ロシアのルーレット
さきほど扱き下ろしたほど嫌いではないのですが、やっぱり「街」→「ホームラン」→「宿は無し」の流れでよかったんじゃないかと思ってしまいます。このわけのわからん感じはそれはそれで好きなんですけど、シングルのカップリングレベルというか、アルバムの流れを壊しているのも事実だと思う。
13.ホームラン
ベースの佐藤さんによる曲。ドポップ。基本的にこの手の曲は大好きなので、好きではあるのですが、なんとなく微妙。
14.ガロン
長すぎ。
15.宿は無し
民謡というか歌謡曲風味の1曲。大好きです。どっかで聴いたことのあるメロディーばっかりだけど、しっかりとそれを唯一無比なものに昇華しているところが彼らの最大の強み…なのかも。
邦楽が好きなら聴いておいて損なしな1枚…かも。