
『なんでもないさ。
俺を一番苦しめるのは、あの一般的な考えというやつだ。』…アルベール・カミュ
カミュは、そう断罪している。断罪?そう、己を、である。この場合の一般的、とは素直に常識、と考えて良い、らしいのだけれど、そのカミュ自身がまた書いた、「作家として最も学ばねばならない事柄とは、つまり、自分が想うことを、伝えたい場で想っている通りに、表現出来うる技量である」という精神に通じていようとも、想える。
常識は、作家を殺す・・・。だが、その常識なるものの支配下で普段、蠢いている私たちは、恒にその常識に振り回されながら生きざるをえないわけで、この辺りは「ものを書く」という行為をまったく、せぬ者には判りがたい精神世界ということになる。いや、十二分に察せよう事柄でしょうけれど、実際に「書く行為」を行なった者たちとはまたあきらかにその勘考は多分に違ったものにはなろう、ということです。。伝えたい場で?、一般書籍化され、店頭に並ぶ。ぱらぱらとめくられておもしろそうだと購入され、購入した者はおのおのの任意のスタイルで、貢をめくる。さて、そこに書かれていたものとは果たして購入した者の求めていた一文なのであろうか?果ては、ものした著者はものしたものこそ、想い描いた通りなのであろうか?・・・。
あらぬことを考え巡らせながら、僕の読書人生は、いまだ結論を呼びませんね。なにしろ、僕自身こそも普段、ものを思考し、ものを書いて暮らしているひとのひとり。「俺を一番苦しめるのは、あの一般的な考えというやつだ。」カミュの一言が、身に沁みたりする、またこの頃、です。