2014/4/13

万田邦敏『イヌミチ』  映画

万田邦敏監督の新作『イヌミチ』見た。
万田さん、ほんとに荒唐無稽な映画を撮ったなあ…。相当、荒唐無稽で異常な話だが、『接吻』もそうだったように、万田さんの映画の凄いところは、この荒唐無稽な非日常的な話を、あるあるーという日常的なリアリティの延長で撮ってしまうこと。ヒロインの仕事や日常の風景とか、男がクレームを受けているシーンとか、あるあるーみたいなリアルさで見れるのだが、その延長で、いつの間にか、犬になる気持ち、分かるーみたいに観客が納得していってしまう…。こんなに奇妙な荒唐無稽な話なのに、誰にでも、普通にあることのように思えてきてしまうのだ。つまり、シナリオだけだったらこれはモンスターの話かと思うのだが、映画になったものを見ると、この世界にごく普通に生きている人たちの話なのだと思えてきてしまう。ということは、逆に言うと、この世界に普通に生きている人は皆、モンスターなのかもしれないということになってしまう…。 万田さんの映画を見ると、なぜこんなヘンな気持ちになってしまうのか…。

あと、『接吻』は小池栄子の横顔を撮ることにこだわっていると知人の柘山一郎氏が以前に指摘されていたが、ヒロインが犬を演じる『イヌミチ』も女優の横顔(それも犬のふりをしている横顔)を撮ることにこだわりがあるのかなーという気もする。そういう意味ではゾクゾクしたのはお風呂のシーン。あれも女優の横顔になんだか、妙にこだわりがあるんだよなあ…。

それから、『イヌミチ』にあわせて買った『イヌジン』というパンフレットみたいなもの(?)に、千浦僚氏が「特選!!イヌミチ映画」というのを書いているんだけど、その中にインド映画『三日月』があげられていて、そういう映画、あったなーと思い出した。どこかで再見する機会はないだろうか。
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2014/4/13

『悪魔の起源 −ジン−』  映画

トビー・フーパー『悪魔の起源 ジン』。冒頭10分ぐらいで種明かしをしていて、あとはグイグイとホラー演出で押すだけ。普通の監督が、こんなシナリオ構成で撮ったら無惨な作品になりそうだけど、これが力技で全編、まったく息もつかせぬ作品になっているのだからトビー・フーパーという監督は凄い。
トビー・フーパーは本当にひたすらホラーシーンが撮りたいのだ…というのがビンビン伝わってくるのは感動的ですら、ある。トビー・フーパーは「物語」を語りたいのではなく、ホラーシーンそのものが撮りたいのかもしれない。それは本当の意味で狂っている。

要するに、トビー・フーパーの映画には、恐がらせ方とか、この映画の場合はジンというのはどういう急所があるのかとか、そういうカセとか法則、定義が何もない。たとえばヴァンパイアものだったらここが急所といった法則があって、それが物語を成立させるのだが、トビー・フーパーはそんなこと、全く関心がないようだ。しかし、それではただひたすらわけがわからないお化けだということで物語が成立しようがないではないか…と思うのだが、トビー・フーパーはそんなことは気にもとめない。そもそもやりたいことがこの監督は違うのだ。
結果として、物語は成立していないかもしれないが、トビー・フーパーの映画という作品は成立しているのである。
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2014/4/13

「水俣病被害者互助会 第二世代訴訟」報告集会  公害・薬害・環境・医療問題

3月31日に熊本地裁で判決が出た「水俣病被害者互助会 第二世代訴訟」の、東京での報告集会に4月2日に参加した。
除斥については被告の国・県・チッソは昭和48年(昭和44年が排水停止として潜伏期間4年で昭和48年とのこと)を起算点として20年たっているので成立していると主張していたが、これは却下。
判決で除斥を却下したのは、除斥の適応自体を却下したのではなく、起算点を、原告、2名の方は最初に感覚障害がみられた時、原告1名の方は新たな損害とみられる症状が出た時を起算点としたため、それから20年はたっていないので除斥期間を経過していないと判断。
カネミ油症の裁判でも、こうした起算点をずらす判断を裁判官がして欲しいと思う。

 この「水俣病被害者互助会 第二世代訴訟」の判決は、原告8名のうち、3名の方は水俣病とし損害賠償を認め、5名の方は水俣病と認めず却下という判断が分かれる判決内容だったが、ひとりの方には1億円を超えるという、水俣病の賠償としては過去最高額が提示され、これはこれで凄い。
しかも、この方は鹿児島うまれの方なのだ。この方の勝訴は、水俣病が水俣だけでなく、それだけ広範囲に広がっている実態を示すことにもなる。
でも、さらに凄いと思うのは、この1億円をこえる賠償金を勝ち取った方が、「みんなが認められない限り、正しい判決とは思えない」と語り、ほかの原告たちと今後も闘うことを表明されていること。もちろん原告側からはこの1億円を認められた方は控訴しないので、ほかの7名が原告側から控訴するのだが、被告側も控訴するので、この方も裁判を続けることになるのだが…。でも、この原告たちの熱い仲間意識は感動的。
それとともに、この裁判の原告の人たちが、この裁判を通して水俣病でないと否定され、むしろ、そのことで当人たちは自らが水俣病であることをますます自覚するようになっていっているようであることがうかがえるところが見逃せない。
原告のある方は、今回の判決で水俣病と認められず却下されたが、国側は、裁判で「あの人は車を運転するので水俣病ではない」と主張したのだという。たしかに、その人は車を運転するのだが、運転する時、いつも裸足だというのに…。なぜ裸足なのかと言うと、靴をはくと、アクセルやブレーキを踏む感覚が分からないので、靴をはくのは危険なので、いつも裸足で車を運転されているのだという。これって…、水俣病の感覚障害ではないのだろうか?

今回の判決では、水俣病と認められた方のうち、2名は同居家族、親族に水俣病が認定されている人がいることも決め手になった。たしかに、同じ食卓なので判断材料ではあるのだけど…。でも、山口弁護士の話によると、亡くなられた原田正純先生が村々を歩いて診察された際、食生活を聞いたら、同じ村でどこのうちも同じような食事をしていたと書かれていたという。当時はコンビニも通販もないのだ。村のどこのうちも同じように魚を食べていたのではないのか?
山口弁護士は今回の判決は「木を見て森を見ぬ」判決だと語っていた。ひとりひとりの症状を細かく見て、これは水俣病に当たるか、当たらないかと書いている。でも、水俣病の被害の全体像がつかめていないのでは。
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2014/4/13

塩田明彦『抱きしめたい』  映画

塩田明彦監督『抱きしめたい』は、「真実の物語」という副題がついているのであるが、メリーゴーランドのシーンを始め、眩暈がするような美しいシーンがあるのだが、それは塩田監督の巧みな演出によるものなのであって、本当の「真実の物語」は、現実は、こんなに美しいことばかりではないはずだということをところどころで感じさせるような、素晴らしい演出の世界に、まるで現実の亀裂が入るかのような瞬間がところどころにあるのだが、そうした演出と現実の落差を隠さないところにこそ、この映画の魅力があるとも言える。傑作。
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