2016/11/18

こうの史代『この世界の片隅に』  マンガ

こうの史代は、『夕凪の街 桜の国』という広島の原爆を題材にしたマンガで評価が定着したマンガ家だが、作品としてはむしろ、なんとものどかな、貧乏な若い夫婦の日常生活を描いた『長い道』の方がユニークで面白かった。この、戦争や原爆を題材にしつつ、日常生活を淡々と描く、という両面を達成したのが『この世界の片隅に』だろう。
もっとも、『夕凪の街 桜の国』でもすでにそうした側面は出ていたし、それは、かつての広島の原爆の被害を描いた「夕凪の街」のパートを、現在の広島を描いた「桜の国」のパートが補完していくという時間の処理の手法にあったし、『夕凪の街 桜の国』が高く評価されたのはまさにこのような構成で、現在の日常的な視点から広島の被害を見直していくということを成功させたからだろう。そして、この手法は実は『この世界の片隅に』でも踏襲されていて、それは時間ではなく、場所を広島と呉の2つに設定したことで、広島の原爆被害を、呉の日常生活からとらえるという構成をしているのだと思う。
このように、こうの史代の本領は、戦争や原爆の被害、あるいは貧しい夫婦の生活を描きながら、描かれるのは、日常の生活細部のささやかな発見である、という点だろう。
これこそは、実は、ある種の少女マンガ、たとえば大島弓子『綿の国星』が行おうとしてきたことを引き継いだものなのであるし、正しき(という言い方は変だけど)サヨクの方法論なのだと思う。
貧しいからこそ日常生活のすみずみを見つめて世界を夢想してしまおうというのがサヨクの方法論だったのではないのかな?
こうした夢想力をなくしてしまうと、「お花畑」でなく厳しい現実を見つめるとか言って、他人を排斥したりするようになるのだろう。(今のトランプ現象の背景。)
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2016/11/18

トランプと沖縄の在日米軍撤退  時事問題

トランプが沖縄の在日米軍を撤退するという話をすんなり真に受けられないというのはもっともであるが、しかし、それに対して、左翼の側からそんなことにはならないだろう、結局、むしろ、日本側の米軍への思いやり負担をさらに増やせという話になるだけだろうと指摘することに積極的な意味があるとは思えない。なぜなら、左翼の側は辺野古基地反対、沖縄の在日米軍撤退を、とこれまで言ってきたのだから、トランプがそれを主張するならそれに便乗してそのことを訴えるのが筋であるはずなのに、トランプが言うのは信用ならないとばかり言うのであれば、左翼のやつらはころころ言うことを変えているなあと言われるだけだし、実際にそう言われている。
ここは、戦略として、トランプの言葉を心底から信じているわけではなかったとしても、トランプが沖縄の在日米軍を撤退すると主張するのならそれに便乗してそのことに賛同するべきだろう。
しかし、右翼の側からもそれに賛同する意見があるが、それは在日米軍撤退、いいだろう、それなら日本は自衛隊が守ることにして、さっさと憲法を変えて自衛隊をさらに増強しようという考えなのだろう。左翼の側はそれにも反対であるわけだが、そうすると、左翼の側の主張は、沖縄の在日米軍撤退が実現して、なおかつ、憲法を変えて自衛隊を増強しなくても、現在の世界秩序を守る、日本の平和を守ることは可能であるという考えだと言えるだろう。そう考えるのあれば、本当にどうすればそのようなことが可能なのか、きちんと考え、人々を説得できる論理を身につけていかないといけないのだろう。
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