オレと相棒の間で密かに流行っていることがある。それは
早弁。
昼の休憩前にメシを食うのである。最近のオレの昼飯はオニギリである。多めに炊いた飯をオニギリにして持ってきている。金がないわけではないが、最近節約生活を心がけている。首都の生活はなにかと金使うからね。で、朝飯をあんまりしっかりくっていないから午前の仕事中にどうしても腹が減る。そこでついついオニギリに手が伸びる。手軽でいい。パソコンやりながらでも、勉強しながらでも片手で食えるから。これがオレの早弁。
悪いことをしているわけではない。昼休憩の時間だって正確には規定されていない。一日の業務時間内に1時間の休憩が認められている。それをいつ使うかは本人の自由ということだ。そしてその時間規定自体もほとんど意味は成してない。
オレがオニギリを食い始めると相棒がソワソワし始める。何か食いたそうだ。
ガタッとおもむろに立ち上がりゴミ箱の傍らに立った。ポケットから何かを取り出した。彼の手元からは白いものがぽろぽぽろと零れ落ちる。そしてコンテナハウスに立ち込める独特のにおい。
ゆでたまご???
そう、紛れも無くゆでたまごだった。ポケットからゆでたまご??ゆでたまごをモハモハと頬張る彼は最高に幸せそうだ。しかし彼はゆでたまごを頬張りながら窓際に立ち、目はじっと窓から外を見ていた。おそらくは誰かやって来ないか警戒しているんだろう。その目はまるで
張り込み中の刑事、もしくは
人質をとって立て篭もる犯人のようだ。
ゆでたまごを食い終わると、今度はタッパーに手を伸ばした。パカッと開けられたタッパーからはホンワカ温かな湯気が立ち上る。そしてコンテナハウス内に立ち込める独特のにおい。
らーめん??
そう、それは紛れも無くらーめんだった。いつの間に湯を調達してきたのだろうか。彼はまたおもむろに立ち上がり、湯気の立ち上るラーメンを手に窓際へと忍び寄る。フォークを使ってラーメンをすすりながら、それでも目は上目遣いで窓の外を捉えている。今度はゆでたまごの時よりも顔は険しい。
『ゆでたまごは誰か来たらポイッと口に詰め込んでなんとかごまかすことはできる。それはそれで窒息ものだがな。だがしかしラーメンではそういうわけにはいかない。こいつはリスキーな賭けだぜ。』
セリフを入れたくなる。
ラーメン片手に超シリアスな表情で黙って外を見つめる相棒。
同じ室内にいるオレにはまったく気を遣わないくせに外をやたらと警戒している。別にラーメン食ってても誰もあんたを責めたりしないから、とりあえず座って食えよ、と声をかけようと思ったけど面白いからそのまましばらく見ていた。数分の後、彼はミッションをやり遂げた。完食。やりとげた男の顔をしていた。彼は食欲に負けて勝負に勝ったのだった。
これが彼の早弁。
彼は全然ふざけてやってるわけではない。大真面目である。あーおもしろすぎるぜ相棒よ。
↓今日、ウリガ小を再び訪れた。コーラル保全促進のポストカード持って。クラスの児童みんなにあげた。オレのとなりは鼻スパゲティーのビル