2007/12/26

色んなリズムのクリスマス  雑感

 最近デイサービスの方々やグループホームの方々のクリスマスパーティーでの演奏の機会が与えられました。自分の両親の年齢を遥かに越えた方々がドラムやフルートの音色に合わせて手を叩いたり体を揺らしたりして過ごす時間は不思議な感覚です。

 ふと自分自身をその場に置いてみて、どんな時間になるといいのかなと考えます。幾つかの曲や音色の繋がりがどんな風に人の心を変えていくのかをじっくりと考えて準備をします。受身の時間が多くなっているだろうな..と思い、参加できる時間を用意しました。すると、見事にリズムに乗ってドラムを叩き続ける方々が思っていた以上におられます。

 ハンドドラムの他に卵形のラットルを幾つか用意していたのですが、数に限りがあり参加できないのは申し訳ないと思っていると、近くにあったミカンを手に楽しげにリズムをきざみはじめました。リズムは不思議なものです。命の動きそのものなのでしょうね..。

 決まりごと、決め事で何かを動かそうとしても通用しない空間。そこに起こってくる出来事を受け止めて柔軟に答えていく。そこには独特の流れ、リズムがありました。若い方たちが声をかけ、手を貸し、家族の方々がそっと見守る...。

 以前、耳が全く聞こえない方の書物に、周囲の動きに自分なりのリズムを感じ、音のイメージを繋げながら生きている様子が記されていました。視覚で捕らえる音楽の世界を知らされて新鮮に感じた記憶があります。

 聴こえなくても視覚を通して感じる人。音が響き始めると目を閉じて心を傾ける方。音が聞こえてくると体を動かし始める人。様々な方々の集まるライブは、演奏者の音楽に繋がる様々なリズムや動きが楽しげに回り始める楽しい空間でした。

 また、演奏に来てほしいな..一緒に楽しみたいな..と思っていただけるのは感謝なことです。今回のライブでは図々しくもビンゴゲームに加えていただき楽しませていただきました。あちこちから車椅子に乗って集まられた皆さん、ご一緒させていただきありがとうございました。
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2007/12/17

鉄・石・愛の笛  雑感

  石の彫刻のことをかいてまもなく、鉄の彫刻家の個展を見に行く機会がありました。重たい、硬い点では共通していますが、会場の雰囲気は全く違いました。とりわけ石では難しい、細いラインが自在に使われているのが印象的でした。

 鉄の彫刻との出会いは、石の彫刻とのコラボレーションを控えていただけに、自分が何をしなければならないかを確かめる機会になりました。

 石の彫刻とのコラボレーションは、願っていた演奏スタイルのひとつでしたから、意義深い時間になりました。彫刻空間に30分ほどとどまっていることだけでも日常とは違った空間でしたが、作品のイメージが集まった方々をほっとさせてくれたように思います。

 一日目は、さまざまな笛の音を聴いていただくというスタイルをとりました。3回の演奏の中で、さまざまなアプローチをしながら、自分自身が木の響きをどう感じているかを見詰めるように過ごしました。

 二日目は、聴いていただくという視点から、自分も彫刻空間で時を過ごす一人になって音色を味わう形に変わりました。会場に用意された小さな椅子に腰掛け、空間を眺めながらユニットメンバーに軽く笛を吹いてもらい、どんな感じになるのかな..と試してみました。

 そして自分がそこにいて聴いていたい音の流れをそっと辿るようにフルートを選び、吹きながら一緒に過ごしたいなと思いました。二日間6回の演奏は、様々な方々との出会い、会話のプレゼントをいただいて豊かな時間になりました。会場に向かう通路と、入り口付近に置かれたアロマの微かな香りが、ふと心に優しさを届けてくれたのも嬉しいことでした。
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2007/12/11

石のささやき・木の響き  雑感

 明日から始まる彫刻展。週末二日間、6回のラブフルートとのコラボレーションのために準備をしています。今まではテーブルの上に大理石のかけらを置いて、石とのイメージの繋がりに集中していましたが、今日は様々な作品の搬入のためにギャラリーに向かいました。

 空っぽのギャラリーは広々と感じられましたが、作品が運び込まれるごとに空間は変化し始めました。今までは、彫刻といえば作品を眺めるだけでしたが、今回は汗をかきながら作業に手を添えることになりました。

 とにかく重たい..。何故こんなに重たいのだろう...。不思議な感覚でした。石という存在そのものと向き合うときに最初に感じるのは重さと硬さと冷たさでした。一人で持てる作品は、数個しかありません。冬の搬入はとりわけ石が冷たい..。

 なぜ、こんな石を削ったり磨いたりするのだろう...。そんなことを時折考えながらの時間でした。重たくて硬い石が美しさと繋がり、人の心を惹きつける不思議に出会ったような気がします。

 重たくて硬い純白の大理石が、柔らかく、暖かく、優しく、さらに力強さを放ち、空間を満たし始める。その石たちは紛れもなく、人の心から生まれてきたのです...。

 わずかな時間でしたが、その空間の中でラブフルートを吹いて見ました。一瞬ですが、彼女の思いと根気の要る作業から生まれてきた白い石たちが、宙を舞ったように感じました。

 自分は、そんな石たちとの空間で重さもなく目に見えない木の響きと一緒に過ごせるのです。そそくさと一瞥して通り過ぎたり、精々数分眺めて立ち去るのではなく、しばらくゆっくりと一緒に過ごしてみてほしいな..という思いがありましたので、その思いが今回のコラボレーションに繋がったように思います。

 それは単に石のオブジェを見る時間ではなく、石という存在、石に触れた人の心が生み出した形象が自分たちの心に語りかけている不思議な囁きを聴く空間に佇む時間になるかと思います。

 石のささやきが木の笛の響きと繋がる空間。木の響きが石に浸透し、古くて新しいメッセージを生み出す空間。それぞれが自分自身の心と出会う空間になるのかもしれません。
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2007/12/7

今日小鳥が来た!  雑感

とても嬉しかったので、書くことにしました...。

 昨日、今日、明日は、全身木屑だらけ汗まみれになるハードな作業が続くのですが、今日作業の合間に嬉しいことがありました。少しはなれたイチイの枝にヒマワリの種をたっぷり入れたバードフィーダーを吊り下げてあります。

 そこに小鳥がやってきて種を食べたのです。とはいっても、見つけたのは一緒に作業していたK・Hでした。私はメガネが埃だらけで近場がようやく見えるだけで小鳥は確認できませんでした..。直接見ることは出来なかったけれど、それでも嬉しかった..。

 随分大げさな話に思われるかもしれませんが、この時が来るまでに丸一年かかりました。昨年の冬、ペットボトルを利用したイギリス製のバードフィーダーをアウトドアショップに注文して待つこと2ヶ月。ようやく手に入れて、早速すえつけたのですが、まったく見向きもされずに冬が終わってしまいました。

 自作のバードテーブルにはちゃんと来てくれたのですが、新顔は警戒されたのか、気付かなかったのか..。楽しみにしていたので少しがっかりしていたのです。

 今朝は雪が積もっていたので、雀たちが随分騒がしく動き回っていたのですが、ついにシジュウカラがリサイクルペットボトルを利用した外国製の給餌器からヒマワリを持っていったのです。この冬は、仲間の小鳥たちにも噂話が広がって、少しづつにぎやかになりそうです。

 小鳥たちの噂がもうひとつ..、あの小さな工房で今年の冬もなんとか無事に笛作りが続いてるね..。ヒマワリやクルミやリンゴや脂身も食べられそうだね..と。
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2007/12/6

香り・響き・秘密  雑感

 小さな工房に、一足早い春の訪れかと思わせるひと時がありました。それは桜の木を加工していた時のことです。柔らかいさくらの香りがほんのり漂ったのです。桜餅の時期には葉の香りが漂ってきますが、木の香りはそれよりずっとやさしく幸せな気分になる香りです。根気の要る作業が続く中で一瞬素敵な香りを吸い込む。それは言葉にならないとても心地よい瞬間です。

 さくらの香りが漂う中で、様々な木々の香りに思いを巡らせました。アスナロの香りにひかれてアスナロフルートを初めて手にされた方のこと..。嬉しそうに甘いレッドシダーの香りを嗅ぐ方たち...。かすかで品の良い香りを漂わせるイチイ。ナラの香り、くるみの香り、サクラの香り。その切り屑はスモークの材料にもなります。

 古くなって樹種が分からなくなった木は判別が難しいこともありますが、香りを嗅ぐと個々の木特有の香りの記憶がよみがえります。香りは目に見えないけれど、感じるという点で音に似ているかもしれません。或いは、すーっと自分の中に入ってきて感じ、反応するという点でも音と似ているかもしれません。

 さらに似ているのは、好きな響きや香りを感じているときの心地よさ、穏やかで幸せな気持ちかもしれません。音の響きも、かすかな香りも、一瞬で私たちの心や体を変える不思議な力があります。

 瞬間の感覚が一気に変化をもたらす。これはあらゆることに通じるのかもしれません。一瞬のまなざし、わずかな言葉、ふと目に留まった光景、わずかな表情の変化に反応する感情。それは心の鋭敏さ、繊細さに繋がっているのかもしれません。

 心が描く人生は、人生の本質と繋がっているようです。それはいつどこで何をしてきたかという略歴や記録のようなものとは違うように思います。

 その時、自分の心はどうだったか...。それは密かに記された日記に微かに残っているようなものかもしれません。いえ、よく考えれば日記を書いているその瞬間の心の動きは記しようがない..。
 
 自分たちには、瞬間と感じられること。言葉にならない一瞬。その背後には未知の世界が広がっているようです。一般的には、人生を時間の中で知ろうとするのですが、よくよく見詰めると少し違っているのかもしれません..。音の響きや香りには、そのあたりの隠された扉のヒントがあるのかもしれません..。

 見えないけど存在する空気が両者の媒体であることもまた、ヒントのひとつのような気がします..
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