2008/1/29

次の日は晴れ  ラブフルート

 展示会二日目は前日とは違って青空が広がり、気温もさほど下がらず明るい一日になりました。出展者にも来場者にも笑顔があり会場は明るい雰囲気になりました。天候がもたらす影響力をしみじみと感じた二日間でした。

 今回は小さなラブフルート、中でも片手で吹けるタイプのものを様々な樹種で製作したものや栗ラブフルートなどを展示しました。今回は音程が低めで内省的な印象の響きに加えて、明るめで音程が高めのものが生まれてきました。体内を静かにゆったりと巡るような響きは必要なのですが、それが周囲に向かって溢れ出るような響きと組み合わされることで全体のバランスが生まれてくるのかもしれません。

 今回は改めて音の響きと意識との関係を感じました。自己の全体性を感じ取る過程が生きている意味の一つだとすれば、音の響き、手にするフルートにも多様性が生まれてくるのは自然なことかもしれません。

 音の響きを身体の状態に置き換えてみるのも一つの感じ方かもしれません。やや低めで足元に目をやる状態、ほぼ真正面を向いている状態、やや遠くの空を見上げる状態。この3つがほぼ基本的なスタイルのような気がします。

 これに加わるのが、さらに低く内面的な響きかもしれません。背を丸めて、恰も胎内に回帰して自己へのメッセージを聞くような原初的な響き。それは75センチのカラマツフルートと30センチのアスナロのフルートから生まれてきました。さらにもう一つの響きが加わるとすれば、甲高く、真上をはっきりと見上げるような響きでしょうか...。それは18センチの小さなフルートから生まれてきました。

 こうした響きは、異なるように見えて結果的には一つのことですから、最終的には一本のフルートの中に全体を感じるようになると思います。ただ、いかにも全体性をこの一本に集約しているといったイメージが先走りすると、その旗印のために実質性を失いやすいかと思います。

 それぞれの心の状態を、様々な人生のプロセスの中で感じ取っていく..それをラブフルートとの出会いの中で知っていく人々がおられるのだと改めて感じました。

 今の自分に必要だと思う音の響きを注意深く感じ取り、それを手にするプロセスを大切にする。その必要にゆっくりと答え、一緒に生きていることを再確認する..そんな展示会でした。
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2008/1/27

吹雪の展示会  ラブフルート

 麻生ぎゃらりー展示会の初日は激しい積雪で視界がほとんどなくなり高速道路は閉鎖になりました。ギリギリで高速道路に飛び込み、閉鎖の案内を尻目になんとか会場に間に合いました。すれ違う車も追い越す車もない鉛色の世界をひたすら車を走らせるのは不思議な感覚でした。冬の景色は、空がふさがると鉛色の世界に一変しました。例年に比べて積雪が少ないな〜と思っていたのもつかの間、結局はどっさりと雪が降り積もり車庫の雪下ろしもたっぷりとすることになりました。

 会場は予想以上に室温が低く、午後になってようやく室温があがるという状態でかなり厳しい環境でした。しかも、外は雪が降りやまず、気温も低く風も強い、人足もまばら..。天候だけは、誰も変えられない..。こんなコンディションでは一日が長いな..と思っていました。

 そんな中を、顔を出してくださった方々がおられたのは嬉しいことでした。ひとり、ふたり、さんにん、よにん...。それぞれの存在の大切さを痛感する展示会になりました。吹雪の中を小さな展示会の小さなラブフルートとの出会いを求めて足を運ばれた方々にあらためて感謝です。

 ラブフルートという名前だけは耳したことがある若者たちやライブを何度か聴いたことがあるという方たちとの出会いは楽しいものでした。様々なスタイルで手作りの作品を展示されている皆さんとの交流も楽しいものでした。時間があったらやってみたいな〜つくってみたいな〜という作品たちが並んでいました。

 二日目はどんな方たちとの出会いが待っているのか..楽しむことにします。この展示会のために、丸々二週間新しいラブフルートのための産みの楽しみが深夜まで続きましたが、出来上がって並んでいる姿を見るといずれも可愛いわが子です。日中はオーダーフルートの製作が中心で、夕方からは展示会用の製作という生活はなかなか厳しいものでしたが少しだけ露店のオヤジになって笛吹き展示会場でうろついてます。ちいさいラブフルート、なかなかいい音してます...。
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2008/1/20

カラマツ・ラブフルート  ラブフルート

 カラマツのフルートが少しずつ動き始めました。数年前に知人の好意で山に積み上げてあったカラマツの中から好きなところを切り出して良いと言うことでした。多分ものにならないだろうけど、試しにということで出かけて行きました。

 とっても天気の良い一日でした。全くの好意でチェーンソーを持ち込んで切ってくれたNさん。二人で運べるギリギリの長さと太さで、出来るだけ目がつんでいるところを選んで、小型トラックに載せて幼馴染が経営している製材所に運び込みました。プロの目から見ると、話にならないような材料だけど、君が使ってみるというならやってみようか..という流れになりました。

 やがて運ばれてきたカラマツはヤニと割れが酷かったのですが、とりあえず何年か寝かせて使えるところがあればいいかな..と。それから3年ほど積み上げて置いたものの中から一枚だけ取り出して昨年末に一本だけフルートを作りました。

 その響きはとても印象的なものでした。成長の早い年輪の幅の広いカラマツだったからでしょうか、たっぷりした不思議な柔らかい響きの中に硬い樹脂の響きが絡み合うフルートになりました。目がつんだ均質性の高い樹木にはない複雑に交じり合う響きは特有の世界を生み出してくれました。

 新年が明けて間もなく、当時一緒に切り出してくれたNさんがひょっこり自作の弦楽器を持ってやってきました。そこでカラマツのフルートを音色を聴いてもらったのですが、彼は切り出したことなどすっかり忘れていたと言いました。その時の木が、こんな音色になるなんて..と驚いていました。多分、そのとき山に残してあった木はすっかり腐食してるだろうね..とも話していました。

 新緑の頃のカラマツの美しさに出会うと心の中に喜びが広がっていくのを感じます。とりわけ雨上がりのカラマツ林は尽きることなく人生を包み込んでいる幸せを歌っているようです。黄金色の紅葉の美しさに出会っていると、どうして自然はこんなに繊細な美しさを惜しげもなく降り注いでくれるのだろう..と心が歌い始めるような気がします。

 今年は、カラマツ・ラブフルートを持って新緑の中でゆったり過ごしたい..。美しい紅葉の中で静かに過ごしたい..。そんな時間を楽しみにしています。一年のうちの二日間だけでいいから、そんな時間が持てたらいいな..と思っています。

 こうして書き込みをしている傍で、イチイもクルミもシウリザクラもイタヤカエデやミズナラやニレやアスナロもボダイジュや栗やレッドシダーもブラックウォールナットやポプラもそわそわしています。まだまだ他の木たちも待っています...。み〜んな連れて行くとなると大変ですが、色んな木のフルートを持った仲間が集まれば大丈夫!!となると、今度は森や林がそわそわし始めるかもしれません。
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2008/1/16

薪ストーブ・冬の空・笛の音  ラブフルート

 吹き初めの日は、朝から雪が降り続き風も強かったので集まりにくいな..と思いつつ「森の家」に向かいました。最初は降りしきる雪で先が見えないほどでしたが、意外にも山の辺りは晴れていました。勿論、来ようとしている方々には、現地の様子は分かりませんから断念している人もおられたでしょう。

 現地に到着し、新雪を踏みしめながらやや小高いところに向かう時間は、実に心地よく、小鳥の声、晴れた冬の空、木々のシルエットの世界を十分に楽しみました。自然の中に入り込むと不思議とすっきりさわやかな気持ちになり、来て良かったな..と。

 お世話になったKさんとブルーレイバンの3人以外はだ〜れもいない..静かな時間。このまま誰も来ないかも..と思っているところに人の声が聞こえてきました。さらに、少し向こうに人影が..。思いがけない方々が次々と顔を現し、驚きと喜びの吹き初めになりました。

 それぞれの物語を携えてやってきた方々は、マキストーブを囲んでたっぷりラブフルート時間を楽しんでおられました。初めて足を運ぶ方ばかりでしたが、来てよかった..と口々に話しておられました。バス停で、それぞれフルートを担いでいる姿をみて一安心しましたと話しておられたSさん。いつもは少人数なので、持ってきた食べ物が足りなくて..という方も何人かおられました。20人ほどの集まりは、ほんとにさわやかで和やかでした。

 晴れ上がり、日射しが心地よくなり、外に出てフルートを楽しむ姿が印象的でした。あちこちにベンチがありますから、春や夏や秋はもっとゆっくりたっぷり過ごせそうです。持ち寄りの昼食も、みんなで分け合い美味しくいただきました。

 後半はドラムも加わり、好きなように存分にフルートを楽しんでおられる姿は楽しいものでした。吹き初めというよりは、吹き収めと勘違いしそうでした。ただ、フルートを吹くというそれだけのために、色んな方々が来られました。無心で過ごす笛時間。

 とりわけ印象に残ったのは、最後にシンプルなドラムのリズムが続く中で歌い出したフルートたちの共鳴でした。ぬきんでる響きもなく、遠慮して戸惑うこともなく全体の中に自分の音色が溶け込む不思議な響きが巡り続けました。音色の違い、音程の違いを超えた笛の音がドラムのリズムと調和..。いつしか心の深いところで驚きと静かな感動が湧き上がってきました。最後に感想や印象を話したのですが、お互いに自然と、ありがとう、ありがとうと口にしていました。
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2008/1/14

栗ラブフルート  ラブフルート

 イガの中の美味しい実。栗の木といえば真っ先に栗の実を思い出します。食べることに気を奪われて、その樹木のことを見落として来ましたが、フルートを作るようになってから、どんな声をしているのだろうと気になっていました。

 昨年末にようやく栗の木を入手したのですが、導管が太くて音を響かせるのは難しいだろうなという印象でした。以前、丈夫で硬いということで期待して入手したタモの木は、導管が太すぎて歌口から吹き込んだ息が導管に回ってしまい音の響きが生まれる前に大半の呼吸が吸収され、結果的に鳴らない笛になってしまいました。

 そんな経験がありましたので、栗の木が届いたときには、半分以上あきらめました。水に強く、耐久性が高いということでフルートには良さそうだと期待していました。軽くて丈夫で水に強いと言われているのに、見た目はさほど強そうには見えません。高級材なのに、あまりそんな印象がないのです。

 今年になって試作に手を付け始めたのですが、初めて息を吹き込んだときの印象は不思議なものでした。センの埋もれ木に似た、不思議な世界がありました。柔らかいといえばそうなのですが、レッドシダーやアスナロやポプラとは違う独特の柔らかい響きが生まれてきました。強く鳴り響くのではなく、そーっと歌い続ける物静かな存在です。真夜中に静かに息を吹き込んでいると、そーっと全身を包み込んでくれるほのかな暖かさを感じます。

 いつか誰かのもとに旅立って行く時が来るのかもしれません..。あの響きは、どことなく栗の実のほのかな甘さや香りと繋がっているのかも知れません....。とげとげの中にしっかりとした皮があって、その中に実が隠れています。その実がいくつかのプロセスを辿って美味しさ増して喜びを分けてくれる..。

 今年は、いよいよ栗の木自身の響きが生まれますから美味しい紅茶とモンブランとクリラブフルートとのコラボの世界が生まれるかもしれません..。ちょっと楽しみです..。
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2008/1/9

この指と〜まれっ!  ラブフルート

 新春のラブフルート吹き初め。今年は珍しく、自分から声を掛けて見ようかなと思いました。これはかなり前に集まった新春の当別の吹き初め以来のことです。学校跡を利用した素敵な場所で、小さな体育館にぐるっと輪を作り好きなように吹き交わしたり、ドラムに合わせてリズミカルに音の響きを楽しみました。新雪のきらめきが今でもよみがえります。雪の結晶がひとつひとつ重なりながら光を浴びて輝いていました。新鮮な輝きが全身を浄化するような感覚が今も残っています。

 初日の出の瞬間のために色んなところに出かけていく人たち、願い事をこめて参拝に出かける人々がおられます。笛吹き、笛作りはどうしようかな...。たったひと吹き、わずかな顔合わせかもしれないけれど、感謝と思いをこめてゆったりと吹き交わすのもいいかなと...。

 昨年、森の教室の一環でラブフルートワークショップをさせていただいた旭山記念公園の「森の家」がこじんまりとして、ほどよい広さがあって、薪ストーブが心地よくて...眼下に札幌市街が一望でき、背後に藻岩山がある。素敵な散策路とベンチがいっぱい。そこにいるだけで四季の美しさをたっぷり感じられます。お結び持ってのんびり時間を過ごすのが楽しみな場所です。気が向いたら、藻岩山への山道を辿る楽しみもあります。

 2008年1月14日の午前11時。どんな顔ぶれがやってくるのか楽しみです。ラブフルートだけでなく、色んな笛仲間が気が向いてやってくるかもしれない、気ままに吹いたり聴いたり会話するのがいいな..と思っています。そんな場所が、色んなところにあって旅人も噂を聞いて参加できる感じがいいですね。

 まだラブフルートが手元にない方には、お貸しできるフルートを用意しています。レッスンの時間も少しとりますが、きままに吹いたり聴いたりおしゃべりしたりの時間になりそうです。お好みのお茶菓子やお漬物など、適当に持ち寄って楽しんで心地よく山を降りられればいいなと思っています。午後3時頃まではおりますので、少しの時間でも参加できそうな方がおられましたら、顔を見せてください...。詳細はブログ右上の掲示板をごらんください。
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2008/1/8

今年の風向き  雑感

 真夜中に目覚め、暗がりの中で居間を見回したとき浮かび上がった思い。それは人の命の重さ、尊さ、かけがいのなさでした。弟が結婚して家を離れ、母が亡くなり、父が亡くなり..古い家に一人で暮らす自分。忙しさにまぎれていた日常から離れて、ふと正月の静けさがやってきたとき、一人の人間の大切さをしみじみと思い返す時間がありました。

 その静けさの中から、これまで以上に関わる人々を大切にしたいという思いがわいてきました。今年の冬は比較的気温が高いこともあって、夜になって恵み野グランドキャニオンに足を運び30分ほどラブフルートを吹いてきました。指の感覚がなくなったところで引き上げてきたのですが、この空間で一緒に笛を吹き交わした方々の記憶が次々と浮かんできました。

 ほんとに素敵な時間、大切な出会いを与えられてきたことを感謝せずにはいられませんでした。それは個々の命の尊厳に触れるということかもしれません。それは人生の旅路で時折感じることなのでしょうが、時を重ねるごとにその意味は深まっているような気がします。

 年末年始もラブフルートに関する問い合わせや来客などで、なんとなく忙しくなりそうな風が吹きはじめているようです。新年明けからさっそく残業...感謝しながらの工房作業が始まりました。
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2008/1/1

節目  雑感

 彫刻展の不思議な空間もオペラ会場でのラブフルートの響きも福祉関係者の皆さんとのクリスマスコンサートもモエレ沼公園のホワイトクリスマスの演奏も、たった一日違いで去年の事になってしまいます。

 ちゃんと全体は繋がっているけれど、何か出来事が変質してしまったような感覚になります。たった一日違いで古い記憶の蔵に収められてしまう、なんとも不思議な感覚です。竹の節、木の年輪たちも、どこかで区切りを付ける意味を伝えているのかもしれません。

 繋がっているけれど区切れている、区切れているけど繋がっている。これは一人の人間の存在にも起こる奇妙な感覚です。ひたむきに生きる人生が突如として終止符を打たれるとしたら、どこかに向かうとか何かを成し遂げるといった生き方は少し違っているのかもしれません。

 過ぎ去る年、迎える年。この素朴な反復が途絶えるときが来る。それは当然のことと知ってはいるのですが、やはりどこかで真摯に受け止める時が来るのでしょう。

 吹き始めたフルートをいつか吹き終えるときが来る..人生はあたかもひとつのメロディーのように流れて終わるときが来る。新年の始まりは、時を重ねるごとにどこか厳粛な思いが伴います。

 静かに始まった2008年は新たな出会いの旅の始まり、新たな視点で互いを見詰める旅になりそうです。つたないブログにお付き合いくださったみなさん、ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。
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