2008/2/28

雪は降る...  雑感

  あまり風のない中で降りしきる雪が誕生日のプレゼントになりました....。雪の美しさを改めて感じながら、この日は3時間の雪かきでした。バードテーブルが埋まるほど降り積もった雪も、暖かい部屋から窓越しに眺めるのはいいものです。

 あの吹雪の中の冷た過ぎる格闘を思えば、なんと贅沢で安らかなのでしょう。とはいうものの、降り積もる雪を甘く見ると、建物だって押しつぶされてしまいますから、そうそうのんびりしてもいられません。

 窓が屋根からの落雪で割れてしまえば、損害は大きく、冷気が襲ってきます。大きな事故にだってなる可能性があります。外の作業は、一人でせずに他の人と一緒にやりましょうと拡声器から市民放送が流れていますが、一人暮らしでは、無理な話です。

 夜の雪かきは、大変ではあるのですが、いいことも色々とあります。柔らかな雪は、雑音を吸収してくれますから、独特の静けさで包み込んでくれます。これが不思議と心地よいのです。それに加えて、雪はほんとに美しい...。その雪が惜しげもなく次々と空から降りてきて、ほわっと積み重なるのです。何故、こんなに美しいものが空から降りてくるのでしょう。きっと舞い降りてくるときや積み重なるときに音がしてるのでしょうが、私たちの耳では聞き取ることは出来ませんけれど...。

 雪かきは単純労働で、全身を動かすことになります。こういう時は思考が無意識と繋がりやすくなり素朴で素直な思いが生まれて来やすいような気がします。重大だと思っていたことや、深刻な問題が意外な形でまとまってくることも珍しくありません。慌しさに追われて、ゆっくり見詰めることが出来なかったことを率直に受け止めるいい機会にもなります。

 吹雪の只中で過ごす夜もあれば、雪かきに精を出す夜もあり、ストーブのそばで窓から雪景色を楽しむ夜もある...。今年もなかなかいい冬です....。
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2008/2/25

吹雪の夜  雑感

 今朝の気温はマイナス20度。厳しい冬の真っただ中です。春が来るかなと思わせるような日射しになったかなと思うと、激しい突風と雪に襲われて状況が一変する季節です。四季の移り変わり、天候の起伏は辿ってきた人生と重なるようにも思えます。

 百合が原のコンサートのための練習が続いた一昨日、メンバーを送るために車を出しました。その帰り道で状況は急変。向かっている段階で、既にあちらこちらに動けなくなっている車が10数台いましたし、呼吸も危うくなるような吹雪が続いていました。

 何とか送り届けた帰り道、立ち寄ったコンビニで動けなくなり、30分雪と格闘。その数分後、工房手前100Mのところで悪夢のような時間が待っていました。吹雪で固まった雪は硬く重たい。それがボディーの下に食い込む...。スコップで取り除かなければなりません。一か所抜け出たと思ったら、次の難所が待っている。この繰り返しで、全身寒さで凍傷寸前でした。狭い三叉路に車を置き去りにすれば多くの人に迷惑がかかる...。広い道路に車を出したくても出られない状態でした。目の前に広い道があるものの、吹きだまりの雪を取り除くのに数時間はかかる。その間にも、雪は降り風が吹きつけて来ました。

 そこに通りかかった男性が声をかけてくださり、自宅からスノーダンプを2個持ってきてくださいました。緊急用の小さなスコップから切り替えて作業を続けました。するとその直後、その方の奥様が身支度を整えて吹雪の中を駆けつけてくださったのです。驚きと感動で、胸がいっぱいになりました。お二人が、どんな道を辿ってこられたのか...それを知ることはできませんが、ひたむきな姿が吹雪の中で輝いていました。

 除雪がもう一歩というところに、小型のジープがやってきました。助手席に小さな男の子を乗せた男性が飛び込むように駆けつけて、ひっぱりましょうか?と声をかけてくださいました。その救出作業は、あまりにも手際よく、見事でした。

 疾風のように現れて、疾風のように去っていく〜という歌を思い出しました。おそらく、困っている方々のためにジープを出して、救出作業をしておられたのでしょう。凄いことです。

 さらに気がつくと、その現場に全く見ず知らずの別のご婦人がひそかに駆けつけて手伝ってくださっていたのでした。あまりにも吹雪は辛く冷たく身の危険を感じさせるものでしたが、人の心の温かさと輝きを十分感じる時間でもありました。

 さて、何とか広い道に車を寄せてみたものの大型除雪車が数台迫ってくるのが見えました。避けなければならない、ところが今度はバッテリーがあがってしまって動かない....。大声で叫んで状況を説明したもののどうにもならず、再び車は除雪された雪の山に囲まれ行く先を阻まれてしまいました。JAFは繋がらない、携帯の電池は切れそうになる。バッテリーを外そうにも、暗さと吹雪で指先が動かない....。

 こういう場合はどのように対処すれば迷惑をかけずに切り抜けられるか、警察署に電話して相談してみました。そんな電話ばかりで対応に苦慮している様子でした。結局、故障中の張り紙をして置くことぐらいしかできない..とのことでした。

 気がつけば吹雪の中に4時間半、ひたすら肉体労働。体力の限界と危険を感じ、やむなく帰宅。翌日は工房前の除雪に3時間半。バッテリーの充電を済ませて、今度は車の周囲の除雪。ようやく、練習のためにメンバーのお迎えに向かいました。練習は、全身のけだるさいっぱいでしたが、今はコンサートの当日が吹雪にならないことを願っています。

 今朝のニュースで、吹雪の中で20時間過ごした人とか、凍傷になって病院に運ばれたり、吹雪に閉じ込められて車の中で亡くなった方のことが報じられていました。

 自分が助けていただけたことを心から感謝し、自分に出来ることをしっかりやっていきたいとしみじみ思う冬になりました。
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2008/2/20

練習・雪かき・月明かり  雑感

 札幌百合が原公園のミモザコンサートの準備が始まりました。選曲、構成、打ち合わせ、練習。新しい出会いが待っています。百合が原での演奏は4回目ですが、花々に囲まれて過ごす音の世界は、幸せ気分がいっぱいです。

 いろんな椿たちが咲きそろい、大きなミモザが待っています。一足早く温かな空間で今年最初の演奏になりました。2曲の新曲を連れていく予定です。練習をしながら感じるのは、一人一人の存在の大きさ、大切さです。その瞬間にだけ生まれる音の重なり。それは、生きていることそのものを体現している場のひとつなのだと感じます。

 それは、この瞬間に存在する命の共鳴を象徴しているような気がします。もし可能なら、今現在の自分に連なるすべての存在を思い起こす瞬間かもしれません。どれ一つとして、欠けてはならない出会いであり、出来事があってこその今現在なのだと.....。

 ひとりで笛を吹くとき、その一つ一つの音が、出会ってきた一人一人の声のように心に響いてきます。語りかけるように吹いてごらんと伝え聞いたラブフルート。その響きの中に大切な人たちの声が重なっているような気がします。

 このところの大雪で、夜中に重たい雪を跳ね上げながら、見上げた月と星の美しさ。それは雪かき作業中にかけていた音源から流れてきた人の声の美しい響きと重なって、感動の涙を誘いました。

 人の声の美しさを伝えようと、雪たちが冬の夜空のもとに呼び出してくれて、月明かりの中でそっと気づかせてくれました。
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2008/2/14

同級生ふたり  雑感

 水洗トイレの調子が悪くなって数ヵ月。なんとか使ってきたけれど、ついに限界...。小学校時代の同級生が取り換え替え工事をしていることを知って、お願いしました。電気屋さんだけど、何でもやらないと食べていけないということで色んなことをしています。工房の配線工事、石油ストーブの点検整備、古い室内配線の整備などなど。

 その同級生の表情がいまひとつ冴えない...。なんとなく力が抜けているような気がして話しかけると、どうも最近気力が出なくて、仕事したくない病かな...とのこと。取り付け説明書が読みにくい、目が弱くなってな〜という。自分にも思い当たることがありますから、そうだね〜と答えてしまいます。

 彼には立派な後継ぎがいて、仕事にひたむきにならなくても良くなってきてますから、気がつかないうちに頼りにしていて....どこか緊張の糸が一本切れたのかも知れません。

 思い返せば、半年前に会ったとき「お前のような生活がうらやましいな...」と呟いていました。初めて聞く言葉でした。仕事は安定していない、収入も少ない、独り身で冷や飯食べてる。それを羨ましいと言わせたのは、ノルマをこなさなければならない仕事の厳しさが負担になっていたからかもしれません。

 クラスで一番結婚が早かった彼と未だ独り身の自分の会話は、どこかしら滑稽で象徴的でした。一人はトイレの据え付け、一人はコンサートに備えて笛の練習。古い木造家屋が、あちこち軋み始めていて、そこにいる二人も体のあちこちが壊れかけていて、この光景もまたセピア色の世界になっていくのでしょう。

 こういう感覚の中で笛を吹くと、音色の印象が随分と違って感じます。手元にあるフルートを次々と吹きながら、それぞれの笛の旅路を振り返えると、様々な思いが浮かんできました。

 ラブフルートの構造的な不安定さを個性として生かせないだろうかと根気強く作り続けて来ましたが、何度となく難しさの壁に直面して、集中力が途切れかけていた時のトイレ工事。なかなかいい刺激になりました。
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2008/2/9

合歓の樹  ラブフルート

 作業中にチョコミントアイスの話が出て、急に食べたくなり、作業が終わった深夜にコンビニまで出かけました。気温はマイナス18度、寒くなったり、暑くなったり、とてもシンプルだけど不思議な地球のリズムを感じながらの買い物でした。

 テクテク歩きながら星空を眺めて、少し遠回りしてもアイスが全然融ける心配がないことに気付いて、なるほど寒いのも悪くないなと呟きながら冬の夜空を楽しみました。暖かいものだって、ちゃんと冷凍食品なるのはすごい..!?。

 今年の冬は燃料費節約節約の毎日ですが、お金を出せば灯油が買えるだけでも十分ありがたいことだと思います。2Lのペットボトルを見ながら、ガソリンの燃費を考え、買い換えた車を積載能力と燃費で選んだのは正解だったかなと思ったり、なかなか真面目に考える冬になりました。

 そんな北国の冬の夜にラブフルートを求めてやってこられたIさん。そのお話は、とても興味深いものでした。40代後半のIさんは、祖父からインディアンの愛の笛の物語を聞かされていたというのです。お父様ではなく、おじい様からのお話ということは..かなり昔の出来事になるわけです。愛を伝えるための大切な笛があると...。何故、そんな話を知っていたのか、そして孫に伝えたのか..。Iさんが、そのお話を忘れなかったのか..。

 ついにIさんは、一つの出会いを通して、愛の笛を作っている小さな工房に足を運んだのです。ひょっとして自分が小さいときに聞かされていた笛が、出会った人が吹いていたラブフルートではないかと...それを確かめるようにやってこられました。

 Iさんの祖父が、一体、何時、どこでその笛の話を知ったのか、謎ですが、その記憶を巡っているうちに自分たちが笛物語の中に紛れ込んでいるような錯覚さえ覚えました。お話の最後のほうで、「愛の笛」という曲を演奏しているシウリザクラのフルートをお見せし、音色を奏でました。

 するとIさんは驚きの表情を見せました。手にしていたラブフルートの音色と形が、ずっと想像し続けていた笛とそっくりだというのです。比較的細身で繊細な響きの笛は、Iさんのイメージと繋がったのでした。

 最終的に、Iさんはネムの樹の小さな(長さ18センチ)フルートと中くらいのネムの樹のフルートを選ばれました。ネムを漢字にすると「合歓」と書くことを知り、笛の音が響くところに歓びが生まれるようになれば嬉しいと話されました。

 Iさんは、まさに幼い時に聞いていたおじいさんが教えてくれた愛の笛と出合うことになり、その歓びを受け取ったのです。今は、合歓の樹のラブフルートが、新しい旅の物語を知らせてくれる時を楽しみに製作の準備を始めています...。硬くて扱い憎いけれど、仕上がるととても存在感のある笛になりそうです。
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2008/2/4

栗の音・栗の香・栗の味  ラブフルート

  栗の木ラブフルートの音色と焼き栗風味の紅茶を楽しむ。そこにマロンを使ったケーキやクッキーがあればさらに楽しそうです。食事は栗ご飯!こうなると、フルートそっちのけで食べることに気持ちが向いてしまいそうです。

 ラブフルート仲間のお一人から栗風味の紅茶情報をいただいて早速注文し、昨日届きました。みなさんに声を掛けて期待はずれになってはまずいと思い試飲してみました。ほんのりとパリの焼き栗の香りがするというコピーを読みながら、お気に入りのティーポットとティーカップでいただきました。

 品の良い香りが楽しめました。この紅茶はほんの少し甘みを加えると味が引き立ちますので、ほどよく紅茶の味を引き立てるお茶菓子が見つかれば嬉しいですね。

 今日は立春ですから、美味しい紅茶に限らず今のうちに寒い冬ならではの楽しみを味わっておくのも良さそうです。ストーブの熱を利用して煮込み料理を楽しむのも良さそうです。特にシチューやスープの類は美味しくなります。とはいえ、今年は燃料節約で熱量が乏しいので時間がかかりますが..。雪の白さや美しさを楽しみ、太陽のありがたみをたっぷりと味わうのも冬ならではかと思います。

 栗のラブフルートが数本出来上がったところで、焼き栗風味の紅茶と栗の木の音色を楽しむ小さな集まりがそれとなく出来ればいいなと思っています。何となく気になったり、思い出したり、噂を聞いた人たちが足を運べると楽しそうです。

 この栗のラブフルートにはちょっとしたエピソードがあります。ミズナラのラブフルートのKさんのお友達で、今までに4〜5回ほどレッスンに来ておられたTさんが、栗の音色に思わず心を惹かれたのです。今回のように音色に反応を示されたのは初めてのことでした。やはりその人と繋がる響きがあるのですね..。

 栗の響きをなんとなく表現してみると、こんなに優しくされてもいいのだろうか...こわばった心、いつとはなしに張り詰めたり疲れていた心を静かに包み込むような響き。調度良い湯加減の温泉に出会ったような感覚といったところでしょうか...。

 柔らかな響きのラブフルートは幾つかあります。ポプラは柔らかい中に青年のような感覚があります。アスナロは柔らかさの中に素朴さ、栗には柔らかさの中に清楚さを感じます。レッドシダーは柔らかさの中に特有の強さを感じます。ボダイジュは柔らかさの中に芯の強さを感じます。イチイの中にも柔らかめの素材の場合は全身を包み込むような深さと気品が漂います。

 勿論、長さや管の厚みや表面の形状の違いなどで印象は変わりますから、果たして残りの栗のフルートたちはどんな音色で歌うことになるのか楽しみです。焼き栗紅茶の香りと一つになったほんのり甘くて心地よい歌声を聴かせてくれるかな...。
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2008/2/1

なにかに触れる  ラブフルート

 ラブフルートに出会ってしまいました..突然そんなメールが届きました。いったいどういう意味だろうと思いつつも返事を書きました。お会いしてお話を伺えば謎が解けると思ったからです。返信して間もなく、これから伺いたいと..それでお会いすることになりました。

 最終的にカラマツの中くらいのフルートと旅をすることになりました。既に8割程度手がけていたカラマツフルートがあったのですが、お話を伺い、手がけていたものをやめて新たに作ることにしました。オリジナルスケールということでしたので、接合段階で保管してあった新しいカラマツを取り出し、ナチュラル仕上げに..。
 
 他の注文フルートが待っているのに、何故かこのフルートのことが気になり、促されるように手をかけ始めました。まるでカラマツフルートが用意されていた音の流れに向かっているように歌い始め、半日後に音の並びが決まりました。

 最終確認のために息を通そうとした時、フルートを求めておられる方の状況や思いがふと浮かんできました。出来るだけ早くお渡ししなければ..そんな思いが駆け巡りました。

 試し吹きしているとき、ある一つの音色が響き始めた途端涙が溢れ出て止まらなくなりました。こんなことは初めてのことで、いったい何が起こっているのだろうと困惑しました。以前、シウリザクラを試し吹きしているときに、ふと涙が流れたことはありましたが、今回のように溢れ出して止まらなかったのは初めてでした。その方の心の思いがカラマツの響きと一つになって伝わってきたのかもしれません。それと同時に、深い悲しみや、密かな決意が過去の自分と一気に繋がったのかもしれません。

 自分の中の未知の部分。出会う人たちの誰も触れることのない心の部分。そこに触れるのは、人ではなく風の声、鳥たちの歌、川の流れ、波の音、そして微かな笛の音なのかもしれません。

 人は語りたがり、説明したがり、意味付けようとしたがる...。

 そのどれも、心には届かない...。多分、愛を伝え、教えようとするから...。

 言葉にならない思いを与えられた愛の笛で伝えることを学んだ人の真意を受け取る。その小さな扉がほんの少し光を注いでくれたような経験でした...。
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