2008/12/31

この1年・振り返り  雑感

27日のライブを最後に2008年の演奏は終わりました。

この週は3度のライブがあり、いずれも独自のプログラムを組みながら進んできました。そこがどんな場なのか、そこに自分たちが関わることで何が生まれるのか...。それをゆっくりと思いめぐらすことがライブの原点でした。自分たちの持ち曲を演奏する場というよりは、そこに自分の人生の瞬間があるという事実とそこで生まれてくる音の響きの意味に触れ新たな音や響きが生まれてくる。そんな感じで一年が過ぎました。

 今年は初期のソロ活動に次いで、二人組のユニットを組み始めて10年以上になるメンバーが居なくなり、途中から加わった3人目のメンバーと再び二人組のユニットになるという変化がありました。一人の存在の重さを感じつつも、目の前に次々と起こってくる出来事を真摯に受け止めて新たに生きる道が始まりました。

 それは演奏ばかりではなく、製作活動にも大きな影響がありました。二人が力を合わせることで三人分の仕事をしてきたのだと感じました。これまでの協力に心から感謝し、新しい歩みが豊かになることを願いつつのお別れになりました。
 
 すべての工程を一人でこなすことは、想像以上に負担がかかりました。肉体の酷使には限界があることも改めて感じました。一本のフルートがどれだけ多くの工程を経て出来上がっているかを改めて感じることにもなりました。勿論、出来上がりに妥協はできない...。結果的に随分とお待たせした方が多くなり申し訳ないと思いつつの歩みでした。

 こういう時にも関わらず?いや、こういう時期だからなのか、演奏の機会もラブフルートの注文も増えました。ホームページで写真や価格を眺めるだけでは伝わらない、木の感触、手作りの木製フルートの存在感を感じるために遠方から工房を訪ねてくださる方が、今年もおられました。本当に、ありがたく嬉しい出会いに励まされつつの歩みになりました。

 最近の傾向は、お一人で複数のフルートを手にされる方が増えてきたということです。当初は、一度に3本も購入した自分とラブフルートとの出会いをお話していたのですが、もうそれが出来なくなりました。
6本、7本、8本、9本、10本と様々な響きのフルートを生活の中で喜び、楽しみ、旅路の友とされる方と出会い始めたからです。

 お一人のために心を尽くし、時間を掛け、親しく交流しながら作らせていただくラブフルート。それを手にし、一緒に旅をし、共に眠り、傍らにいて心の響きを生み出す時間を感謝する方々との出会い。そんな中から不思議な助けや励ましをいただいて来ました。

 「いつもこのラブフルートと一緒にいる。それが最も大切なレッスンです。」初めてラブフルートに出会ったときに受け取った言葉。その深い知恵に触れ、その通りに歩んできたことで、どれほど多くの出会い、共に生きている喜び、互いの大切さを受け取ってきたことでしょう。感謝しつつ2008年を終えられそうです。

 今年の大晦日も、そして元旦も工房で作業しながら過ごすことになりますが、このブログに立ち寄ってくださった方々に心から感謝します。新しい、素敵な一年をお迎えください。
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2008/12/24

ラストスパート  雑感

 今年最後のライブは27日の札幌市教育文化会館になりました。確か去年は厚生年金会館でした。恒例のモエレ沼ガラスのピラミッドのクリスマスコンサートは、5年連続出場なのでご遠慮くださいということになりました。きっと別の流れがあるのだろうな..と思っていると、確かにそうなりました。

 毎年、流れるがまま、声がかかるままのライブを続けていますが、不思議と繋がって無事生き延びています。会場の雰囲気に合わせて構成も選曲も違ってくるのですが、さすがに昨夜のライブは異色でした。もう自分には止められない、不思議なパワーが会場に満ち溢れて、どこで流れを変えればよいか困惑するほどでした。

 演奏者よりもはるかに大きなエネルギーを持っている方たちが集まっていたということだったと思います。ほとんどの演奏はどちらかというと静かに、ともすれば眠りに入るような響きが会場を包み込むスタイルが多いのですが...。

 今回は久々にディジュのケンGを加えてのライブということもあり、かなりライブの流れを変えてみました。クリスタルボウルや舞いも交えて、ちょっとしたコラボレーション風の時間もありました。曲の合間に、音響を止めて生音で音程の不安定さが浮かび上がるような原初的なフルートの響きを交えたり..歌を交えたり..ちょっといろいろありすぎたかな〜と気になるほどでした。

 とりわけ、ライブの最後は、通常ワークショップの中で取り入れる「静かに踊ろう」(別名・熊踊り)や「4本の矢」という曲に合わせた自由な踊りで、会場が大きく揺れ、床が抜けるぞ...と本気で焦るほどでした。

 こうなったのは僕のせいじゃない..みんなのパワーが...と思わず呟いてしまいました。私が最初に目にした熊の踊りは、実に静かでどちらかというとやや厳粛な感じさえするものでした。ですから、曲名も「静かに踊ろう」と名付けたのです。

 ところが、何故か熊になって踊ってみようと呼びかけた途端、最初は静かだったのに、もう誰にも止められない楽しそう、嬉しそうな熊たちが出現し始めるのです。何故だろ〜という素朴な問いは、しばらく続きそうです。北海道の熊はアラスカの熊より、明るくて楽しいと信じてしまうような光景でした。

 初めてライブに参加された方たちには、自分たちの演奏のイメージを誤解されてないかな..(多分もう手遅れ...)とやや不安ですが、恵庭の道の駅の演奏は全く雰囲気の違うものでしたし、今週末の教育文化会館もまた一味違った風が吹くと思います。

 今回ちょっと戸惑い気味だっただろうな〜と思われる参加者が、気を取り直して?また来てくださるといいな...。そんなライブの報告でした。
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2008/12/16

気になることをどうする  雑感

ヤマガラ、シジュウカラ、ハシブトガラ、ヒヨドリ、スズメ。それぞれの時間にバードテーブルにやってくる季節になりました。ペットボトルを利用したリサイクルバードフィーダーの位置が気になっていたのですが、今日ようやく移動しました。

 すると、それを待っていたようにシジュウカラガやってきて、今までより遥かに止まりやすく、安心して、余裕でヒマワリの種を運び始めました。ほんの数十センチ移動したのですが、既設の止まり木の手前にちょうど止まりやすい柳の枝があって、うまい具合に餌を取り出すことが出来るようになりました。本人(?)も、見ている方も、どちらも心地よい流れになりました。

 急ぎの作業があるからという理由で、気にしつつもそのままにしてきたのですが、気がつくとバードフィーダーの位置をかすかに気にしながらも放置している自分の中に何か違和感を感じました。自分の食事ではないのですが、外敵を気にしたり、食べにくかったりしている小鳥たちがいる。そのことに気を配る余裕のない自分はまずいな...と。そういう状態は、製作作業にも当然影響が出てくるものです。

 手を休めたついでに、買い置きしていた肉の脂身も設置することにしました。丁度良い網を探し回ってようやく見つけたのに、肝心の脂身は冷蔵庫の中でしたから...。寒さが厳しくなってくると、小鳥たちには脂肪分が必要になってくるのは分かっているのです。なのに、買い置きしたまま..。

 ラブフルート工房のバードテーブルにやってくる小鳥たちは知ってるのでしょう。ラブフルートを作ったり、求める人たちとお話ししたり、演奏したりしてるけど、私たちのことは後回しだ...と。

 あれこれ動いた時間は15分ほどでした。終わってしまうと気分はすっきり、思う存分フルート製作に打ち込めました。

 まだ、年内に対処しなければならないことが幾つかあって、とっても気にしているのですが、自分なりの理由から、相手の気持ちへと視点を変えて実行する。それを決めて明日を迎えることにします。気持ちよくヒマワリを手に入れて快活に飛び回っている小鳥たちのように、飛んでみよ〜。
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2008/12/7

一音  ラブフルート

 ラブフルートの一つのトーンホールのための試行錯誤。それは計算された位置に、計算された穴を開けるという単純作業ではありません。もし、それで済むのならば製作の時間はかなり短縮されますから、価格も抑えることが出来ると思います。

 この工程は笛の類いを製作しておられる方によってさまざまだと思いますが、基本的に一人のためにゼロから取り組むというスタートを大切にしています。決められた図面に基づいて、定位置に穴をあけ音程を決めるという流れは、既成のフルートの形状を前提に作り上げていくことになります。

 厳密に、正確に作り上げるという価値観には、こうした方法が評価されるのでしょうが、均質で正確なものを作り上げるという行為によって何がもたらされるかをじっくりと考えてみる必要があるかと思います。

 以前、農作業に使う鋤や鍬を製作している方とお話したことがあるのですが、自分の作った鋤や鍬を提供するのではなく、使う人の状態や癖に合わせて、その人が使いやすいように作るのだと伺いました。こうした物作りがいつの間にか変化し、製作者の価値観を提供し、使う人がそれに合わせるという流れが優先されるようになってきました。

 画一的に量産することが有効なものもありますが、個々の存在の状況に合わせて作られるものの必要もまた大きいと感じます。自分が自分として存在していることを根元から受け取る。そのための知恵と助けを伝えてくれるモノがあってほしいと感じます。

 笛の類い、とくにラブフルートは一音の幅(レンジ)が広いことが特徴(構造的な要素と繋がっています)とも言えます。ひとつの穴から生まれてくる音の幅が広い(豊か)のです。これを音程が不安定だと捉えれば、実に曖昧で不安定で使い物にならないとも言えます。逆の視点から見れば、一音から自在に揺らぎのある音を生み出せる点で自由度の高い笛とも言えます。

 この特徴があるために、最初に書いた一つのトーンホール(指穴)のための試行錯誤が起こるのです。ひとつの穴に対して、基準になる音を設定する必要があるときに問題が生まれてきます。吹きこまれる息の状態によって、音程は揺らぎます。ということは、どんな息の状態の時に、求められている音程が生まれるようにすればよいのかを考えなければなりません。

 笛は音程を生み出すのですが、同時にその人の状態を生み出すものでもあるわけです。どんな心の時に、どんな音が生まれてくるか..。その笛の音程を決める時、どんな状態でフィニッシュするのか..。それを、お会いした時の印象や、試し吹きの呼吸の状態などを思い起こしながら考えます。心が音色を生み出し、音色が心を変えていく。その循環の中に、笛の知恵があるように思います。

 音が高くなってくる時、あるいは音の流れ方によって引き起こされる心理的な変化を考えて全体のバランスを考えます。テンションが高くなるほど、静けさと和らぎが生まれるように..。その微妙な揺らぎは依頼者とのコミュニケーションから生まれてくるような気がします。

 いずれにしても、息(自らの心)を吹き込みながら笛を作っていくわけですから、自分自身の内面と肉体のバランスを繊細に感じ取ることが製作の土台になることを確かめながらじっくり歩き続けてみようと思っています。 

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2008/12/2

2008年の12月  雑感

  このところ少し体調を崩して停滞している自分と向き合いながら、目の前にやってくることをさせていただくというサイクルが続いていました。日頃の負担の重なりが、回復を長引かせているという状態です。

 ペンを執るか、パソコンに向かうか...。結局、原稿用紙を近くに置きながら、久々のブログの書き込みを選びました。いろんなことが続いて、書こうと思うことがいっぱいだな..と思っているうちに時が流れて、その瞬間の鮮度がなくなってきて、今に至るというところです。

 意識も状況も、膨張したり縮小したり、輝いたり色あせたりしながら巡っていくのでしょう。そんな中で、飲んだり食べたり、眠ったり起き上がったり、手足を動かしたり、書いたり読んだり話したりしているんですね...。

 気がつくと、出会ったり、別れたりしていて、次のことが決まっているようでいて、意外なことが起こったりする。 振り返るには少し早いのですが、この時期に振り返って、残りの一ヶ月は少し余裕が欲しいなと思い始めています。

 多分、慌ただしい動きはあるのでしょうが、内側は静かに淡々と分をわきまえる流れになればいいかなと感じる12月のスタートになりました。

 製作作業が、始めたころと比較して随分と工程が変化してきたと感じています。何倍も手間がかかり時間がかかるようになったと思います。手を掛けてみると、様々な点に気付き始め、より良い形を取ろうとするからです。作り続けて来て、ようやく基本的な流れは出来て来たような気がしますが、絶えず課題が待っています。

 外部からは見えないけれど、こうしたほうが良いと思われることを積み重ねていくと、当然工程が増えていきます。素材の違い響きの違いなどを含めて対応しようとすると手こずることも少なくありません。自分自身の感性の領域、生まれてくる響きをどう感じ、どんな響きが依頼された方と繋がるのかを十分に受け止める時間などなど...。

 木の種類の違いがもたらす響きの変化と、フルートの形状との関係を深く知るためには、まだまだ未知の部分だらけです。音の響きがもたらす心への影響を知れば知るほど、学びつつ、作らせていただくという地道な視点を再確認させられます。年の瀬を迎えて、新たな気持ちで製作に取り組みたいと思いつつ工房に向かっています。
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