2009/9/30

風の中で笛を吹く  ラブフルート

 先日「えこりん村まつり」で2ステージの演奏とラブフルートの展示の機会がありました。初期の演奏活動の際、丸一年小樽でのステージライブでお世話になったIさんからのお誘いがあり、地元で何か協力できることがあればと思い、参加させていただきました。

 久々にディジュのケンGさんにも協力いただいてのステージになりました。まつりということでしたので、少しパワフルさがあってリズミカルな構成が必要かと思ってのことでした。

 素晴らしい秋晴れで、暑過ぎるほどの好天でした。それはイベントにとっては良かったことなのですが、太陽光を浴びたフルートは音程が上ずり調整が難しいのです。最初のステージは暑さとの戦い。2度目のステージは、吹き始めた風に翻弄され、音がかすれてしまう厳しい状況でした。さらにタイムスケジュールの調整もあり、最後の演奏は風を避けるためにお客様に背を向けざるを得ない状態になってしまいました。

 風に向かって演奏すると微妙なニュアンスで表現することが出来ない...。あるいは音の流れが中断される...。あたかも風の強いときにたばこの火を点けようとしているようなスタイルでの演奏でした。

 風、雨、日差し。屋外での演奏にアクシデントはつきものですが、先日の平岡樹芸センターのコンサートも極度の湿度がドラムをボコボコさせ、演奏が厳しいことをお伝えし、室内での演奏に切り替えていただきました。

 この10月2日の「光の森2009」は日本庭園。屋外のライブですが、果してどうなるか...。3日は豊平館のロビーですから、天候の影響はないけれど湿度が高ければドラムが厳しい。

 こうした流れを否定的に捉える必要はなさそうです。自然と繋がっていて、生きていて、そこに待ち受けていることを受け取る。その大切さを感じます。アクシデントの中から、笛の響きを感じ取り、工房を訪ね、或いは連絡をくださる方々がおられました。

 決めたことを、何としても実現しなければならないと考える人々の計画とエネルギー。それは人の命の源にある自然の流れとどうかかわっていくのかという問いになるでしょう。自然からのメッセージは、人生に起こる様々な出来事の根元にある動きと確実に繋がっている...。それを確かめることも必要な気がします。

 変わりやすい秋の天候が、確実に冬に繋がっているように、人生の揺さぶりもどこかに繋がっているのでしょう。変動し続ける..それは自然が持つ本質と言ってもよさそうです..。
9

2009/9/25

石が風に変わる時  雑感

 メモリアル・ストーン。こんな言葉があるかどうかは分かりませんが、自分なりにそう思って手元に置いてある石があります。深い緑色でちょうど掌にしっかりにぎりしめられる石です。サンドブラストでスネークの模様が彫ってあります。

 それは、ラブフルートを巡ってアメリカに出かけたときホームステイさせていただいたご夫妻との交流の最後に空港でそっとポケットに入れてくれた石でした。彼と私は写真と石のコレクション、そしてラブフルートという共通の話題で話が弾みました。

 居間には石を並べて、ライトアップしている棚がありました。ご夫妻でカヤックを楽しんでいて、カヤックがチンしたとき川底でつかんだ石だといいながら懐かしそうに見せてくれました。

 その彼と車で移動中、運転席のちょっとしたスペースに石が置いてありました。それが気になって質問すると、彼のシンボルアニマルが彫ってある大切な石だと教えてくれました。奥様はドラゴンとのことでしたが、どういう根拠を持っているのかは聞かずじまいでした。

 彼らと別れてワシントンDCに向かう時、彼はそっとハグしながらポケットに何かを入れました。なんだろう?と思って手を入れると、そこには彼といつも一緒にいたあの石が入っていました。

 空港に向かう前日の夜、彼と二人で色んなことを話しました。ときおり聞きなれない単語が出てくると小さな辞書を取り出して確認しながらでしたが、それぞれの人生に起こっている目に見えない大切なことに関して話し込み、最後は彼のためにマッサージをして2時間ほど眠りました。

 彼と二人で過ごしたきっかけは、最後の食事の時に夢のことが話題に上ったからでした。私のために部屋を開け、ベッドを提供してくれた同居人の女性とハート夫妻と4人で過ごしました。口火を切ったのは同居人の女性でした。自分は3年前に、ハート夫妻の家に同居するという夢を見て、その通りになっていると..。すると、ボブ(ご主人)が5年ほど前に不思議な印象に残るフルートに関する夢を記憶していたのだけど、どうもMr.ONOとのことだと思うと続けました。そこで、私は11年前にこの一連の状況を知らされていたと続けました。

 ここまで来たとき、ジェニー(奥様)は、今夜は二人でゆっくり会話するといいと言いだし、急きょ私とボブはホテルに向かうことになったのでした。その夜の会話は小さなメモと一緒に残っています。その時の一連の流れは、彼から受け取ったメモリアル・ストーンを握りしめると鮮やかによみがえって来ます。

 その石は、自分の過去と現在と未来を繋ぐシンボリックな存在であり、現実と内的世界を繋ぐ不思議なものでもあるのです。勿論、石を過大に位置づけている訳ではありません。仮に、この石を失ったとしても、そのイメージと役割は必要な時まで残されていくのだと思います。

 石という存在が、一緒独特の存在感を持ち、特有のメッセージを届けてくれるものであり、人の心にちゃんと置き場所がある。そんな思いが秋の空に飛んで行きました..。
9

2009/9/20

猫の額畑レポート・ブラックベリーパイ  雑感

 自宅の猫の額畑で始まったゴーヤとトマトとヤーコンには、それぞれの物語が生まれています。ゴーヤは春の暴風雨に耐え、必死で花をつけたものの、結局実になりそうなものは皆無。日照時間の乏しさや気温、生育環境などもろもろの複合的要素の結果でしょう。

 トマトは可愛らしい実を結び、それなりに楽しみ、美味しく頂くことができました。初秋の夕日に照らされるトマトの姿はなかなか美しく、いい感じです。

 ヤーコンの方は、まったく予想外の成長ぶりで圧倒されています。背丈は1mを超え、立派な葉っぱは見る度独特の満足感を与えてくれます。鉾のように見事な葉の姿は、さらに勢いを増しています。根菜なので土の中の様子は分かりませんが、ひょっとして葉っぱばかり成長してるのかも知れません。背丈は1.5〜2mになるらしいと知り一安心ですが、あのヤーコンがここまでグングン伸びるとはびっくりです。

 そのヤーコンを見下ろしているプルーンの木は、昨年とは打って変わって虫たちの饗宴状態です。実はたわわですが、まだ熟したプルーンを一粒も食べられないままです。これはいいぞと思っても、先客がいて自分の口には入りません。かと言って、熟していないものは、酸味が強くて食べるのはちょっと...。

 虫たちは食べるのが専門ですから、せっせとフルート製作に励んでいる頃に、堂々と侵入して甘くておいしいところを食べ放題です。虫たちは鼻が効くのか、熟していない実にはまったく食いつきません。こういう状況は一昨年にもありました。昨年は、バケツ何杯分ものプルーンに虫はほとんどいませんでしたが、今年は残念な年のようです...。

 そのかわり、今年はブルーベリーとブラックベリーがたくさん実をつけていて、美味しい。あたかも打ち合わせしたように、木々の実りのバランスが取れています。

 ということで、今年はブラックベリーパイに挑戦することにしました。初めてのブラックベリーパイは興味津津でしたが、初めてにしてはそれなりに出来上がりました.。ブラックベリーがぎっしりつまったパイ。紅茶の時間が楽しみです。フルートのチューニングや磨き作業で疲れた聴力や手の痛みを休めるには良さそうです。

 期待と失望と意外な収穫。猫の額ほどの小さな畑にも、ちょっとした短編小説になりそうなドラマがあります。豪華な連休は最終日のライブ以外は、工房作業とくつろぎを織り交ぜて過ごせそうです。
9

2009/9/15

後輩たちの取材  雑感

中学の後輩からの取材。突然の依頼をいただき約束の日時を迎えました。約束の日に現れたのは可愛い女子中学生のお二人でした。しっかりとインタビューの質問事項を用意して、交互に質問がやってきました。

 なかなか思いがけない質問もあり、ちょっと刺激になりました。ラブフルートを作っている人が地元にいることをネットで発見し、興味を持ったようです。学校の壁新聞の発表で掲載するとのことでした。後輩とはいっても、お父さんの年齢が私よりずっと若い...。

 自分はずっと独身ですから、数十年自分である気持ちや感覚はほとんど変わっていません。家族は減っていく一方で増えることはありません。個人的な生活状況が変わっていないので、あまり年齢を重ねている感覚がありません。とはいえ、体が勝手に変化していくので、不思議な気分ではあるのですが...。

 今回の取材は、彼女たちの若々しい新鮮な視点からの問いかけを受け、不思議な緊張感がありました。新しい、若い方々が育まれているんだな..と実感させられたのです。なぜかとても丁寧に、そして大人たちの取材とは全く違った感覚で自分自身の足取りや、現在関わっているラブフルート製作や演奏のことを省みる時間になりました。

 果たしてどんな壁新聞になるのか..。ラブフルートの絵も描くのだそうですから、ちょっと見てみたいな..と。たくさんの人の目に触れる、テレビや新聞より、ずっと気になるのが面白いところです。

 実際に手に触れて、音を出してみた感想をありのまま書くといいかもね〜といいながら、ほんの少し触れてもらいましたから、そのあたりの感想も気になります。

 記念写真を撮らせていただいたのですが、可愛い子たちが悪者に狙われたらまずいので掲載は残念ですがやめておこうと思います。
10

2009/9/11

虻の一刺し  雑感

 8月末の網走でのライブの途中で滝上にある森の学校に立ち寄りました。全くの思いつきでしたが、もしおられるのなら立ち寄るかも知れませんと一報したのでした。未知の場所に出向くというのは、なんとも新鮮な感じがするものです。

 この先のどこに学校はあるのだろうと少し不安になりそうな、ひたすら深い森が続くその先にそれらしき場所がありました。あたかも先住民族の土地に踏み込むような不思議な感覚でした。以前から、知人が訪ねた話を伺ったり、奥様がラブフルートを注文してくださったり、一昨年の吹き初めに来てくださったりしていました。

 いつかは訪れることになるだろうという予感はしていましたが、網走の途中の思いがけない訪問になりました。そこは、森の中で人が生きているという素朴な空間でした。それ以外はありません。こういうところにずっといたら、自分はどうなっていくのだろう...。空想するだけでも十分不思議な感覚になるのですが、実際そういう空間があって、本人が望むならどうぞ..という世界です。

 ここでフルートを吹かせてもらい、ジャンベを叩く方やじっと聴いている方を交えて、ほんの少しの時間を過ごしました。初めてラブフルートを吹いた方は、独特のスタンスで楽しげに音を楽しんでおられました。この時、まったく数十年ぶりでアブに刺されました。激痛が走り、その痛みは数日たっても残り、既に2週間が過ぎたのに未だに鈍痛と腫れの跡が残っています。

 彼らは強靭な生命力を持っていて、私の体はたちまちそのひと刺しに振り回されてしまいました。とっさに毒消しの草を見つけるなどという知恵もなく、ひたすら痛みをこらえながら目的地に向かいました。フルート演奏を中断すれば回避できたのですが....。ステージライブのスタンスで、演奏継続を選択してしまいました...。

 こういうハプニングが起こると、そこから色んなメッセージが聞こえてきます。川で身を洗い、焚火のまわりに集まり、思いつくままに歌ったり語ったり、焚火のための木を切り倒したり、屋根はシート一枚。数日のキャンプで日常に戻るという軽い接点ではなく、そこにとどまること。そこでは、きっと未知の自分との出会いがあるのでしょう。そんなことが自分の人生に待ち受けているのだろうか?

 戻ってきて身の周りを見ると、おびただしい物たちに囲まれて生活している自分に気づきます。自分というたった一人の世界に、よくもこんなにものがあるな〜と驚きます。死に場所を求めて、密かに姿を消す動物の話を聞いたことがありますが、荷物が多いと整理に忙しくてゆっくり死んでられない..のかも知れません。
9



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