2012/11/2

小いけれど確かな響き  ラブフルート

静かにささやく木の声を感じる。そんな時間や空間が必要かもしれない…ふとそんな思いが浮かんでいます。

かつては考えられない程の情報が目まぐるしく立ち現れては、跡形もなく消え去る。その繰り返しの中で、人の心や身体は、どうなって行くのだろう?

一日に、一体どれほどの文字や画像が飛び交っては去って行くのだろう。そこには、今までには無かった社会があるような気がします。言葉や文字が、必ずしも本人の実質と繋がらず一人走りしているような感覚さえあります。

そんな大きな流れとは無縁の小さな工房で生まれているラブフルート。
その中に、あまり音量のない静かな響きのラブフルートたちがいます。

それは、16ー17世紀頃のものだろうと言われるラブフルートの構造を原型にし、響き方を考慮して作っているものです。幽霊が囁くようなと表現された響きに繋がるフルートです。

パフォーマンスの媒体として使われる楽器とは異なるものとしてラブフルートを位置付けるのは時代錯誤のようですが、その存在は大切な意味を持っているのではないかと感じています。

その響きからは、心の奥にある自分自身をそっと呼び起こすような不思議な空間が生まれます。そんなラブフルートは、メディアに繋がったり、スマートフォンやパソコンを切ってから休むような生活が増えて行く社会には入り込む隙がないのかもしれません。

小さな工房では、大きな声で歌うラブフルートも生まれていますが、そっと木々たちの密やな響きに心を寄せる方々のためのラブフルートも生まれています。

静かな真夜中に吹いても大丈夫な、控えめに響く木の笛は、目まぐるしくやって来る言葉や文字の波間をくぐり抜け、息だけになった素の自分に囁き始めるかもしれません…。
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