
ジャケットを見るとゴスか、ブラック・メタルか?って感じですが、中身はエモなのでご安心を。
SONG OF ZARATHUSTRAと同じミネソタ州ミネアポリス出身の彼等は「次世代型メロディック・パンク」に括られていますが、私に言わせればメロディック寄りのエモコアです。冒頭の「At Wit's End」の突き抜ける明るいリフは確かにそれっぽいし、全体的にアップテンポでアグレッシヴな少々荒めの演奏はパンク風味です。しかし歌が入ってくると途端にエモくなるんですよ。THE ANNIVERSARYにも匹敵する、ちょっと青春入ってる切なくも熱いメロディー、何と言うか
迷走熱血傷心青春エモみたいな。十代の青臭い一途さとは違う、失恋やら何やらを経験して人の痛みが分かるようになった年頃、少年から青年への過渡期みたいな雰囲気があるんです。それらを紡ぎ出すのがZachary ZrustとJames Russelの双頭ヴォーカル。ザラついた声質のガムシャラ君

とナヨッとした声質の泣き虫君

の対称的な二人のヴォーカルが、時にリード・パートを交代しながら絡み合う様が何とも言えずカッコいい。特に「A Touch Of Nostalgia」でその対比の魅力が最大に引き出されています(タイトルからしてエモいし)。続くドラマチックなバラード「This One's On Me」での枯れ具合はシヴすぎるし、ヴォーカルの多彩さも見せつけられます。そしてそこからが本作の白眉。雨音のSEに導かれる「Just Pull The Trigger」からのアルバムの後半部分で曲調のエモ度はグッと高まり、切り詰められた曲間のせいで一気に聴き通してしまうという仕掛けが施されていて、聴き終えた後は結構お腹一杯。しかし似たようなタイプの曲が並んでいるのにワンパターンな感じはせず、一曲一曲を確かめたくてまたリピートしてしまいます。
そして彼等の一番の聴き所は何と言っても紅一点Rebecca Hanten嬢のドラムです。非常にタイトでパワフル、かなり手数の多いドラミングなのにウルサさが全くありません。ジャズを通過しているのか、パーカッション的に捉えているのか、フレーズのセンスがとても良く、静かな曲調でも結構派手めのパッセージを叩いているのですがスンナリ曲に溶け込み、他を邪魔する事がありません。
と、これだけ良い要素が詰め込まれているのですから、これはもう名盤と呼んで差し支え無いでしょう。暗い情熱という言葉で表現したいこのサウンド、メロディックに分類されているせいで聴かずにいた人は損してます。
レーベル
SODA JERK RECORDS