私の家から徒歩5分のところに、中部ジャワはバニュマス出身のパ・デのルマー・マカンがある。
ここではジャントゥン・ピサン(バナナの花)やダウン・シンコン(シンコン芋の葉)、アヤム・バカール(焼いた鶏肉)、イカン・バカール(焼き魚)、テンペ、といった中部ジャワの庶民の料理を1食5−6000ルピア程度で楽しむことが出来る。
料理はショーケースの中に入っており、自分でお皿にナシ・プティ(白ご飯)と料理を好きなだけよそう。勿論サンバルも忘れてはいけない。これに1000ルピアでエス・テー(アイス・ティー)をつければもう立派な食事だ。
味の方は、どれを食べても口に合う。私だけでなく、インドネシア人の友人も日本人の友人も言っているのだから間違いない。
先日この店に食べに行ったら、先に来ていたインドネシア人の若い女性客が私に、「ニョニャ、どうして@@@@(近所にある日本食レストランの名前)で食べないの?」と不思議そうに聞いてきた。
そりゃ、私だって@@@@でも食事はするけれど、パ・デの店で食べたくなる時だってある。@@@@の10分の1以下の値段でお腹いっぱい美味しいインドネシア料理が食べられるなら、私はこの上なく幸福なのだ。
さて、実はこの店の主のパ・デは私のガムラン仲間でもある。毎週2回、「レトノララス」の練習で顔を合わす仲なのだ。
パ・デは気のいいオヤジといったタイプで、彼が練習に来た時に楽器がもうあいていなくても嫌な顔一つせず、みんなの中に座って演奏を楽しむことのできる人だ。楽器はサロンはもちろん、クノンもボナン・パヌルスも太鼓も少し叩ける。が、奏法にちょっと癖があるので、遠くからでも彼が演奏しているとすぐにわかる。
特に太鼓は叩き始めのはいいけれど、時として終われなくなってしまうことがある。そんな時は誰かが太鼓を奪って(笑)、無理矢理終わらせるのだけれど。でも先日、彼が太鼓をたたいて無事に1曲終えることが出来た時、仲間から「スラマット サクセス
(成功おめでとう)」の声がかかった。パ・デが仲間たちから愛されていることが感じられる一幕だった。
演奏がうまく出来ようが出来まいがパ・デはガムランをこよなく愛している。だから彼の店ではBGMにいつもガムランが流れている。
そういえば同じく「レトノララス」のガムラン仲間であるブ・パイマンとパ・パイマンの仕立て屋の店内でもよくガムランがかかっている。
ジャワガムランはジョグジャやソロの宮廷音楽という立派な雅な生い立ちを持っているが、決して王様や貴族や宮廷奏者だけのものではない。ルマーマカンのおやじや仕立て屋夫婦といった庶民の間にも深く浸透しているのだ。
伝統音楽は庶民に愛され続ける限り、永遠にそのメロディは止むことはない。
↓この人がパ・デ。「レトノララス」の盛りたて役に欠かせない。
↓パ・デのルマー・マカンで食べるジャワ料理は最高!