誰かを好きになってしまったら、おしまいだと思う。
人を愛することって、とんでもない熱病に患うようなもので、じつはあまりオススメできないシロモノだ。
愛することは病気になることである。その人なしでは生きていけない、添い遂げるつもりでなければ、人は人を愛せない。したがって、愛する人がいなくなったら、死ぬより他ないのである。
愛って危険なものだと、思われるかもしれない。愛とは危険なものだ。だけど、ある人にとっては必要なものである。愛なんてなくても人は生きていける。愛なしの人生は貧しくなんかないし、愛のある人生の方が、じつは貧しいのかもしれない。
何人もの人を同時に愛することは、一度に複数の熱病に感染してしまうのと同じことである。そのくらい、大変な熱情に絆されるのだ。また、愛は分けると減る。だからたいていは、ひとりの人を愛することで、手一杯になる。ふたり以上を愛するには、その人の人生のほとんどを、それに費やさなければならない。
愛の量は、その人の病状の程度によって、大いに異なる。釈迦は愛の量が膨大であった。それは、釈迦が手の施しようのない重病人だったからである。釈迦の愛は伝染病だった。
