toki の映画・読書ノート
映画と読書の感想と日常雑記
【 今週の巻頭言 】
Happiness. Simple as a glass of chocolate or tortuous as the heart. Bitter. Sweet. Alive.
幸福。グラス一杯のチョコレートのようにシンプルで、人の心のように複雑。苦くて、甘くて、生き生きとして。
「
Chocolat ショコラ
」/ジョアン・ハリス
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2007/3/25
「ブックカフェものがたり、14歳からの哲学」
国内作家
最近読んだ本の備忘録(3月分第4回)。
○ブックカフェものがたり(2005)/矢部智子、今井京助ほか
本とコーヒーがあって、どちらも大好きな人にとっては、この上なく贅沢な時間を過ごせる場所である「ブックカフェ」に関する情報を集めた本です。
全体は3部構成となっていて、この本のメインである第1部「ブックカフェ・オーナー、かく語りき」では、東京、大阪、京都の9つのブックカフェのオーナーに取材し、店のコンセプト、開店までの経緯、苦労話や今後の展望などが載せられています。ちなみに、ここで取り上げられているのは、大阪の「ちょうちょぼっこ」、「いとへん」、京都の「ミハス・ピトゥー」、東京の「ボヘミアンズ・ギルド」(神保町)、「ふるほん結構人ミルクホール」(千駄木)、「カフェ・アパートメント」(高円寺)、「カフェ・オーディネール」(下北沢)、「文鳥舎」(三鷹)、「よるのひるね」(阿佐ヶ谷)です。
一口に”ブックカフェ”といっても、本屋の片隅にカフェがある店、棚に置いてある本を買うことはできないけど自由に読むことができる店、古本専門の店、新刊も買える店など、その形態は多種多様で、それぞれの店が独自の個性やカラーをもっています。
第2部「ブックカフェを始める、ブックカフェを続ける」では、自分で開業してみたいという人にとても参考になる、ブックカフェのオーナーによるブックカフェ開業講座と、開業後の悪戦苦闘の具体事例が掲載されています。第1部でのオーナーインタビューからも想像されますが、ブックカフェからの収入だけで何とかやっていくのは、相当の苦労が伴うようです。
第3部「ほかにもたくさんある、個性派ブックカフェ」には、見開きページに1店ずつ計8つの店が紹介されていて、僕が時々行く西荻窪の「ハートランド」(1997年開店)については、”日本で最初のブックカフェ”という呼び名が定着している店である、と紹介されていました。
(参考)
・
ブックカフェものがたり
(amazon.co.jp)
・
「文鳥舎」紹介
(My ブログ)
・
「ハートランド」紹介
(My ブログ)
○14歳からの哲学(2003)/池田晶子
著者の池田晶子さんは、2月23日に腎臓がんにより46歳の生涯を閉じられました。池田さんの著作に触れるのはこれが最初でしたが、とても感銘を受けました。遅ればせながら他の著作についてもこれから読んでいきたいと思っています。
この本には”考えるための教科書”というサブタイトルが付せられていて、ここで述べられていることの中心的な命題が、”自ら考えること”であることが明確に示されています。本書は、14歳の中学生に池田さんが語りかけるスタイルで(後半の1/3ほどは、17歳に向けて)、人として生きていくために考えておかなければならないことについて、難しい哲学用語を用いずにそのエッセンスを伝えようとしています。語られているテーマは、たとえば、”考えること”、”言葉”、”自分とは誰か”、”死をどう考えるか”、”家族”、”社会”、”理想と現実”、”友情と愛情”、”恋愛と性”、”善悪”、”人生の意味”、”存在の謎”などについてです。
以下は、第1章(考える[1])の冒頭の文章です。
君はいま中学生だ。
どうだろう、生きているということは素晴らしいと思っているだろうか。それとも、つまらないと思っているだろうか。あるいは、どちらなんだかよくわからない、なんとなく、これからどうなるのかなと思っている、多くはそんなところだろうか。
これだけ読んで、ああこれは中学生だけが語りかけの対象なのではないのだなとわかりました。僕などはまさに” 多くはそんなところ”派ですが、先に書かれていることがとても気になります。
もっとも大切なのは、なんとなく「思う」のでなく、「悩む」のでもなく、「考える」こと。「思い悩む」と「考える」ことは全く別のことで、正しく知るためには正しく考えることが必要であるということが語られています。
それでは、何について、どのように正しく考えればいいのだろう。
この世の中には、当たり前なことよりも不思議なことは存在しないんだ。君は、自分が生まれて、いろいろ思って、あれこれ生きて、そしてやがて死ぬという当たり前のことを、とんでもなく不思議なことだとは思わないか。そして、これがいったいどういうことなのか、本当のことを、知りたいとは思わないか。
(考える[3])
このようにして、生きていくことに付随する根源的なテーマについての正しい考え方が示されていくわけですが、ここで示されるのは、あくまで考え方であって、解答ではありません。もし明快な答が示されているのであれば、それは宗教書か、あるいはよくあるひとりよがりの人生論と何の違いもなくなってしまうでしょう。
ここでの池田さんの哲学的スタンスは、基本的には西欧哲学の流れに沿ったもので、とくに池田さん独自の視点から展開されたものではないと思いますが、"生きた"哲学となっているのがすごい。昔読みかじった哲学の解説書をひっぱり出したい気分にもなりました。
精神の自由を知り、生きることの謎に触れ、存在することの奇跡を味わいたい人に一読をおすすめします。
(参考)
・
14歳からの哲学
(amazon.co.jp)
・
池田晶子 出版リスト
(amazon.co.jp)
・
池田晶子さんのプロフィール
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
池田晶子
14歳からの哲学
ブックカフェものがたり
投稿者: toki
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