toki の映画・読書ノート
映画と読書の感想と日常雑記
【 今週の巻頭言 】
Happiness. Simple as a glass of chocolate or tortuous as the heart. Bitter. Sweet. Alive.
幸福。グラス一杯のチョコレートのようにシンプルで、人の心のように複雑。苦くて、甘くて、生き生きとして。
「
Chocolat ショコラ
」/ジョアン・ハリス
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2005/4/15
「スペース/加納朋子」
国内作家
「スペース」(2004) 著者:/加納朋子
加納さんの記念すべき処女作「ななつのこ」(1992)、第2作の「魔法飛行」(1993)は、短大生の駒子が日常の場面で遭遇する様々な謎を、天文ファンでフリーターの瀬尾さんが、あざやかに解き明かしていくミステリーでしたが、「スペース」はこの二人が前作から約10年の時を経て三度(みたび)登場する作品で、前の2作ですっかり加納ファンになった僕にはうれしい驚きでした。
発表の年は大きく隔たっていますが、今回の物語の冒頭は、前作「魔法飛行」でのクリスマスからほんの1週間しか経っていないのにもびっくり。
駒子は大晦日に母親から、正月のおせち料理の飾りに使う松葉を調達するよう頼まれ、デパートの大きな門松から失敬しようとしたところを警備員に咎(とが)められてしまいます。ところがこの警備員は、アルバイトの瀬尾さんだったというエピソードから始まる今回の物語は、駒子が友人から預かり、”謎”のプレゼントとして瀬尾さんに託した手紙を巡って展開する、ミステリー風味で味付けされた恋の物語(二つあります)と言えるかもしれません。
全体が「スペース」と「バックスペース」の2部から構成されていて、作品前半部「スペース」ではほとんどの部分を手紙が占めています。手紙の行間(スペース)にこめられた思いを解読することがこの作品の主題なので、漫然と読み過ごしてはいけません。
僕が知りたいのは、書いてあったことじゃなくって、書かれなかったこと、行間や字間の余白に何があるのか、ってことさ。
後半の「バックスペース」の意味は、パソコンのキーボードで、前に書いた文字を消すことですが、過去のわだかまりを払拭して、前向きに生きていこうという意味が込められています。
一度打ち込んだ文字を、バックスペースキーでなかったことにしたっていいじゃないか? 少しぐらい、後戻りしたっていい。やり直したっていい。まったく別な、新たな文字を打ち込むことだってできる。
そう思っていた方が、人生どんなにかラクだろう。そうこうするうちに、正しい道、落ち着ける場所が見つかるかもしれないのだから。
他の加納さんの作品同様、読後、あたたかい気持ちになれることを請合いますが、できれば「ななつのこ」、「魔法飛行」を読んでから(あるいは僕のように10年ぶりに読み返してから)、本書を手に取ったほうがおいしく読めるでしょう。第三者から眺めた駒子、瀬尾像が描かれているのも興味深いところです。僕のようなファンだけではなく、駒子と瀬尾さんのためにも、第4作は長いこと待たせないで欲しい。
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投稿者: toki
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読書:スペース(加納 朋子)
2006/8/10 15:48
スペース(加納 朋子)
「君が言うように、僕らの間には、まだたくさんのスペースがあるんだろうね。」
謎だらけの手紙、駒子はこの手紙をきっかけに瀬尾さんへ気持ちを打ち明けた。
そしてその手紙自身が新たな絆を生み、波紋のように人間関係が広がってゆく...
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