「ジェイン・オースティンの読書会/カレン・ジョイ・ファウラー」
海外作家
「The Jane Austen Book Club ジェイン・オースティンの読書会」(2004)/カレン・ジョイ・ファウラー
Each of us has a private Austen.
Jocelyn’s Austen wrote wonderful novels about love and courtship, but never married. The book club was Jocelyn’s idea, and she handpicked the members. She had more ideas in one morning than the rest of us had in a week, and more energy, too. It was essential to reintroduce Austen into your life regularly, Jocelyn said, let her look around. We suspected a hidden agenda, but who would put Jane Austen to an evil purpose?
小説冒頭の部分です。
19世紀の女流小説家ジェイン・オースティンが残した6作の恋愛小説を題材に毎月持ち回りで読書会を開こうと提案したのはJocelynでした。カルフォルニアに暮らす50代の独身女性で犬のブリーダーを営んでいる彼女が選んだメンバーは全員で6名; 彼女の親友で夫から離婚宣告をされ落ち込んでいるSylvia、彼女の娘でレズビアンの恋人との関係がこじれているAllegra、28歳の高校のフランス語教師のPrudie、メンバーの中で最年長の67歳のBernadette、そして唯一の男性メンバーであるGriggでした。
小説では、読書会でのオースティン作品についての合評の模様とともに、メンバー各人の過去、現在の人生模様が描写され、月に一度開かれる読書会が進むにつれ彼らの人生ドラマも展開していきます。
それぞれが抱えている恋愛問題がいかにもオースティン的であることに気づいたときには、すでに作者の仕掛けた巧妙なプロットに乗せられてしまっていて、そしてオースティンの小説がそうであるように、この小説も機知に富み、後味のよい読後感を残してくれました。
著者はSF作家でもあるそうで、そのためかただ一人の男性であるGriggがSFオタクに設定されていて、「ゲド戦記」の作者であるル=グィンの代表作「闇の左手」などが恋愛の小道具として使われていたりしていて、同じSFファンである僕もうれしくなりました。
読書会でメンバー間でかわされるオースティン作品に関する意見の中には、なるほどと感心するのもありましたが、作品全般に関してでは、たとえば、”キリスト教に関する言及がない”、”精神的より物質的に偏っている”、”誰も愛の為に死なない”など。オースティンの父は牧師であったのにスピリチュアルな描写がほとんどないというのは確かに不思議です。
巻末には、オースティンの小説の最初の幸福な読者となった家族、友人たちの感想から始まり、J.K.ローリング(ハリー・ポッターの作者)など現代までの著名人たちのオースティンについてのコメントが載せられていて、こちらも楽しいです。「トム・ソーヤーの冒険」の著者マーク・トウェインの短いコメントを紹介します。彼流の作品への愛情表現なのだろうと思います。
Every time I read “Pride and Prejudice” I want to dig her up and hit her over the skull with her own shin-bone(脛骨).
オースティンの作品を読んだことのない読者も十分楽しめる小説だと思うし、読後にはオースティン作品を読んでみたくなること間違いなしでしょう。
Don’t miss the happy ending.
(参考)
・The Jane Austen Book Club(ペーパーバック)
・ジェイン・オースティンの読書会(翻訳本)
・ジェイン・オースティンの小説・映画化作品紹介(My HP)
・U.K. ル=グィンの小説紹介(My HP)
投稿者: toki
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