toki の映画・読書ノート
映画と読書の感想と日常雑記
【 今週の巻頭言 】
Happiness. Simple as a glass of chocolate or tortuous as the heart. Bitter. Sweet. Alive.
幸福。グラス一杯のチョコレートのようにシンプルで、人の心のように複雑。苦くて、甘くて、生き生きとして。
「
Chocolat ショコラ
」/ジョアン・ハリス
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2005/9/24
「ギュスターヴ・モロー展」
美術
渋谷東急デパート本店のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中のギュスターヴ・モロー展(10月23日まで)を観ました。
モローは大好きな画家で、都内で数年に一度は開催されるモロー展には必ず馳せ参じています。今回の出展の目玉は、モローの代表作である「
一角獣
」と「
出現
」でしょう。
「一角獣」はパリのクリュニュー美術館所蔵の15世紀末頃に制作された6枚組のタペスリー「一角獣を連れた貴婦人」に触発されて描かれたものです。モローの作品には珍しく穏やかな雰囲気が漂っています。
「出現」は、モローが好んで描いたサロメを題材にした作品の中でも、独創的でドラマティックな構図において際立つ作品です。
(参考)
・
ギュスターヴ・モロー展 公式ホームページ
・
ギュスターヴ・モローの作品紹介(メインサイト)
・
タペスリー「一角獣を連れた貴婦人」より
投稿者: toki
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2005/5/5
「三岸節子 生誕百年記念展」
美術
日本橋三越で開催されていた三岸節子展の最終日(5月1日)に行きました。
1999年に94歳で亡くなるまで油絵を描きつづけた三岸さんは、僕にとって最も心を揺さぶられる画家の一人です。今回の生誕百年記念展では、三岸さんの20代の作品から、亡くなる最後の年までの作品が網羅されていて、20歳で描いた自画像に、三岸さんの主要なテーマだった静物、花、風景画の特徴である堅固な造形がすでに示されているのに驚くとともに、画布にとらえられた画家を志す若き三岸さんのまなざしが印象的でした。
今回の記念展では、60〜80歳代にヨーロッパで描いた作品が中心でしたが、目の前の対象の本質を絵画で表現したいと激しく希い、描いた三岸さんの風景、花などの作品の構成、筆致、色彩がもたらす圧倒的な存在感が心に強く残りました。
ただ、美しい花を、あるがままにうつしとるのでは、花のもつ不思議さも、生命も、画面に見出すことは困難でしょう。いかほど迫真の技術を駆使しえても、ほんものの、一茎の花に劣りましょう。
花よりもよりいっそう花らしい、花の生命を生まなくては、花の実体をつかんで、画面に定着しなければ、花の作品は生まれません。
つまり私の描きたいと念願するところの花は、私じしんのみた、感じた、表現した、私の分身の花です。この花に永遠を封じこめたいのです。
「
花より花らしく
」(1997)/三岸節子
私は常に生活の中に夢をもちたい。夢といってもあの獏に食べられてしまう所の、眠りの中に見る夢のことではない。常住生活の中に心の夢のことである。40になろうと50になろうと、心は常に青春の若さで夢を見続けていたい。私の今一番痛切な願望は、唯一つ、永遠の若さをその精神の中に保ちたいことだけである。
夢はまことにすべての芸術の根源であり、すべての生活の基調となり、すべての生命の意欲の発する源にならねばならぬ。
夢の失われた時、それは最早、生命の枯渇である。生きた屍になった時である。
「黄色い手帖」(1983)/ 三岸節子
92歳になった三岸さんが新たな題材として人物画に取り組もうとして描いた「鳥と少年」が展示されていました。生涯の画業の集大成として、人間と風景との調和を画面上で実現しようとする試みではないかと思われますが、現状に定住することで満足せず、常に自分の可能性をとことんまで探求した三岸さんの一生は、それ自身比類のない、すばらしい作品であったと思いました。
いつかきっと、一宮市にある
三岸節子記念美術館
を訪れてみよう。
来年は88歳を迎える。こんな年までなんで描きつづけるのだろうか。
視力はにぶり、体力おとろえ、生きているのも困難である。肉体はもうろくしてそれでも私は描きつづける。
美の神に見放されるまで描きつづけている。
世界中現役の画家で作品を見たいと希む、そんな画家は一人もいない。
空しい。空しい。とつぶやきながら、私はどんな絵を描きたいとみずからにねがっているのだろうか・・・・・・。
「
未完の花
」(1994)/三岸節子
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2005/4/30
「ベルギー象徴派展(渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアム」
美術
渋谷東急デパート本店のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中のベルギー象徴派展(6月12日まで)を観ました。
象徴主義の絵画とは、写実主義絵画の対極にあるもので、観念的なもの、たとえば愛とか死とかを具体的な事物に象徴させて描いた作品を指し、神秘主義に通じるところもあって、僕のお気に入りの
モロー
や
ルドン
も象徴主義を代表する画家です。
今回のお目当ては、ベルギー象徴派を代表するクノップフ(1858−1921)で、今回約20点ほど大好きな彼の作品を観ることができ、大満足でした。
クノップフの作品で惹かれるのは、彼の繊細なタッチで描かれた、とくに風景の画面に満ちている静寂さで、どこか夢の中で出会う光景を思わせます。クノップフの描く、やはり夢の世界に生きているような女性像は、彼と親交があったという
バーン・ジョーンズ
や
ロセッティ
らラファエル前派の作風との親近性を感じさせます。
(参考)
・
ベルギー象徴派展 公式ホームページ
・クノップフの出展作品から(画像クリックで拡大画像にリンクします)
(上) 「フォッセの橋」(1897頃) 油彩 44×64cm
(中) 「ブリュージュのたたずまい、愛の湖」(1904)
鉛筆、パステル 47×101cm
(下) 「わが心は過去に涙す」(1889)
鉛筆、白チョーク 25.5cm×14.5cm
投稿者: toki
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2005/4/24
「ラ・トゥール展(上野 国立西洋美術館)」
美術
国立西洋美術館で5月29日まで開催されている「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展−光と闇の世界」を観ました。
17世紀のフランスの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593−1652)は、没後長い間忘れられていましたが、20世紀になって再発見されました。失われた作品も多く、現存している作品は40点あまりにすぎません。
ラ・トゥールは、漆黒の闇をろうそくの光が照らし出す構図を持つ絵を多く残していて、やはり光の効果を繊細に描きだしたオランダの画家、フェルメールと比較されますが、フェルメールに比べラトゥールの描く闇はずっと深いようです。現存している作品が少ないこともあって、今回のラ・トゥール展では、模作も多く展示されていました。
ラ・トゥールの作品全てが、夜の情景を描いているわけではありませんが、展示作品の中では、「ヨゼフの夢」、「書物のあるマグダラのマリア」など、光と深い闇の対比の中に簡素な構図が浮かび上がる静謐な画面に、とりわけ忘れがたい印象を持ちました。
(参考)
・
ラ・トゥール展 公式ホームページ
・出展作品から(画像クリックで拡大画像にリンクします)
(上) 「聖ヨセフの夢(聖ヨセフの前に現われる天使)」93×81cm
(下) 「書物のあるマグダラのマリア」78cm×101cm
投稿者: toki
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