「MESHUGGAH / NOTHING SPECIAL EDITION 2-DISC SET」
MESHUGGAH
disc re-nothing sonics (CD)
1. Stengah
2. Rational Gaze
3. Perpetual Black Second
4. Closed Eyes Visuals
5. Glints Collide
6. Organic Shadows
7. Straws Pulled At Random
8. Spasm
9. Nebulous
10. Obsidian
disc something optics (DVD)
DOWNLOAD FESTIVAL, UK, 2005
1. Straws Pulled At Random
2. In Death Is Death
3. Future Breed Machine
PROMOTION CLIPS
4. Rational Gaze
5. Shed
6. New Millennium Cyanide Christ
7. Rational Gaze (Mr.Kidman delirium version)
Label/Cat No.: Nuclear Blast/NB1729-2
2002年に発表された4thフルレンス・アルバム「NOTHING」は、MESHUGGAHにとってテクニカルなエクストリーム・メタルの世界で最上級の名盤と評される「DESTROY ERASE IMPROVE」以上にエポック・メイキングなアルバムだったと思います。「DEI」がいわゆる「プログレッシヴ」、「テクニカル」という表現が似つかわしい、あくまでスラッシュ以降のエクストリーム・メタルの中での「ベスト」であったの対し、「NOTHING」はもちろんそういった部分も残しつつも、速度や音数の多い技巧的なフレーズよりも、むしろ嫌がらせのような反復、拍を取りながら聴いているとちょっと変な風に「トビそう」になるポリリズムなど、なんでしょう、聴くことによる起こる作用としてはメタルやヘヴィ・ミュージックのそれよりもトランスとかそっちの系統に近い要素を多分に含む音楽でした。
「NOTHING」の前作にあたる「CHAOSPHERE」でもこのような要素への試行はなされていたと思うのですが、「CHAOSPHRE」はスピードやインダストリアル的無機質な感覚が強調されていて、反復やポリリズムの「効き方」は「NOTHING」に比べると今ひとつなところがあったと思います。そこで、「CHAOSPHERE」からスピードを大胆に殺し、より芯の太い粘りのあるサウンドで執拗な反復やポリリズムを強調することに取り組むことによって、「NOTHING」は先述のその独特な聴感をもたらすことに成功したのだと思います。
2005年発表の「CATCH THIRTYTHREE」もアルバム全体を50分弱のシームレスな一曲という体裁を取ってはいるものの、基本的な音楽性はこの「NOTHING」のキープ・コンセプトのようなアルバムでした。ゆえに質が高いのは認めるけど、その直前に「ブッ飛んだ」感全開の「I」をリリースしたのも悪く作用したのか、「焼き直し」的新味のなさが刺激の薄さにつながり、ちょっと物足りなさを覚えたものです。ただ、「CATCH THIRTY THREE」の音楽性がキープ・コンセプトだったというのは、このやり方に対するバンドの思い入れとか愛着の大きさがあるのではないのかな?とインディ時代、「CONTRADICTIONS COLLAPES」、「NONE」と来て、「DEI」で確立させたものとは違ったスタイルをまた作り出すことが出来たという自負。それもこのスペシャル・エディション盤のリリースへと繋がったのではないか?などと考えてもみたんですが、いかがでしょうか?
ただし、一番の理由は「NOTHING」の録音への不満ではないかと。「BASTARDS!」Vol.8(2002年発行)掲載のフレドリック・トーデンダルのインタビューによると、「NOTHING」のアイディアの大元には「8弦ギターを使う」というものがあったそうです。しかし、実際にレコーディングで使用されたのは非ロック式のブリッジの7弦ギターで、それに無理やりゲージの太い弦を張って録ったそうです(チューニングが安定せずに大変だったそう)。また時間が足りずミックスへの不満も口にしており、これらのレコーディング時の「制約」を取り払って、このエポック・メイキングなアルバムをより良いクォリティで提供する、このリリースの一番の目的はやはりそこにあるんじゃないでしょうか。
さて、このスペシャル・エディション盤、Disc-1には「NOTHING」全曲のリミックスが収録されています。しかもギター部分は新録のテイクと差し替えられています。あくまで「本来あるべきだった姿」に持っていくのがこのリミックスの意図で、インダストリアル・ミックスみたいな全くの別物になっているわけではありませんが、オリジナル・ミックス盤に慣れた耳にはまず新鮮な違和感が飛び込んでくるはずです。明らかにクォリティが向上したギター・サウンド(「CATCH THIRTY THREE」のそれよりも太くコシがあっていいかも・・・)、細部で微妙に異なるフレージング、曲によっては落とされたテンポなどなど・・・。個人的にはこの違和感は良いものとして受け取ることができたので、このリミックスは大成功と言ってよいと思います。違和感の正体を確かめるための聴き比べも楽しそうですしね(笑)。最近はリリースされた頃に比べるとそんなに聴かなくなっていたんですが、これを機にまた回転数が上がりそうです。
次にCDとセットとはいえ、このバンド初のDVDとなるDisc-2ですが、まず大きな目玉が2005年のダウンロード・フェスティヴァルのライヴ映像。MESHUGGAHがライヴ・バンドとしても空恐ろしい力を兼ね備えているのは、EPなどで小出しにされてきた音源などで広く周知されていると思いますが、ここでも"Straws Pulled At Random"、"In Death Is Death"、"Future Breed Machine"の3曲で(3曲じゃ足りません!)その実力を見せ付けてくれています。恐らく、サブ・ステージ的な場所での演奏だと思いますが、それでも多くの観衆を集め、またそのオーディエンスが盛り上がっている様子を観るにつけ、一日も早く初来日公演が実現することを改めて願わずにはいられません。
そして本DVDにはプロモーション・クリップも収録されており、「NOTHING」から"Rational Gaze"、「CATCH THIRTY THREE」から"Shed"、そして「RARE TRAX」のエンハンスト・ビデオでお馴染み、驚異的におバカなツアー・バスでのエア演奏(笑)を収めた"New Millennium Cyanide Christ"(「CHAOSPHRE」収録)、最後の"Rational Gaze (Mr.Kidman delirium version)" はイェンス・キッドマンのこれまたおバカな自画撮りビデオ(苦笑)。大笑いしてあげましょう。