2009/11/17

重力ピエロ  映画(絵も)

「アヒルと鴨のコインロッカー」という映画を観て、その原作者の伊坂幸太郎という人を初めて知った。

 それから、本でその原作を読んでみたり、「フィッシュストーリー」を観てその原作を読み、すっかり伊坂幸太郎のファンに。

 今まで日本人の作家で長くいいなと思える人はそんなに無く、ストーリーも大好きだけれど、言葉の選び方がありきたりではなく、すごく上手だなと思う、村上春樹や柴田元幸くらいだった。

 しかし、伊坂幸太郎がそこに加わり、最近アマゾンなどで中古本をだーっと掻き集めた。

 今は、その作者の初期の作品「週末のフール」を、少しずつ読んでいるのだけれど、次に読む本たちが息をひそめて本棚で待っていてくれている状態は、私にとって人生を楽しく歩くコツのひとつなので、とても嬉しい。


 原作が映画化されて、本を読んだ後に映画を観てがっかりするという話をよく聞くからか、私はいつも映画を観てから本を読むことの方が多い。

 今回観た「重力ピエロ」も、まだ原作は読んでいないし、2時間の中に小説のすべてを詰め込むことは不可能だと思うけれど、伊坂節みたいのは充分感じた映画で、後半は少し涙も流すほど感動した。

 映画の中で「深刻なことほど陽気に伝えるべきなんだ」というセリフが、心にずしんと重りを落とした。

 世の中には様々な事件や事故があり、死んでしまいたいくらいに悲しいことを抱えて生きている人も計り知れないほどいるのだろう。でも、チャップリンのように、ピエロのように、悲劇と喜劇の境界線を綱渡りしながら、力強く生きていこうとすることは、すごく大切なんだと、教えられたように思う。

 映画の主人公が言うセリフに、ガンジーの言葉が何度か引用されていた。偉大な人だということと、ほとんど名前ぐらいしか知らない、ガンジーについて、もっと知りたくなった。

 この世の物事は全部つながっていて、影響されあっていると、伊坂幸太郎はよく描いている。この映画を観て、ガンジーに興味を持って、その人の栄養の一部になり、その人が吐き出した何かを見た人へ、新たな栄養へと繋がっていって・・・。

 この世の中の仕組みというか、目に見えない、大きな渦のようなものの在り方というのは、歴代の偉人や影響力を持っている人の言葉を並べてみると、皆内容はほとんど一緒だなと思う。ただ、その表現の仕方が少しずつ違うだけなのかもしれない。

 重要なことや伝えたいことを、そのままの形でぶつけるのもひとつの表現だけれど、ピエロのようにお化粧をほどこし、軽やかに伝えるのもひとつの表現。でも、ピエロの目の奥を覗き込んでみると、深い悲しみに似た川がごうごうと流れているのだろう。

 そんなことを考えさせられた映画でした。

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