2010/4/26

匂衣(におい)  

 昨日は夕方まで小金井公園で家族と過ごし、17時から下北沢まで「匂衣(におい)」という芝居を観てきました。

 以前吉祥寺で観た芝居がとても面白くて、その演出家さんのHPをたまに覗いて、次の舞台を気にかけていたので、結局都合がついたのは最終日の最後の舞台でしたが、とても楽しみでした。

 しかし、主演の韓国の女優さんが、前日の上演中にアキレス腱損傷の大怪我を負ってしまったようで、私が観た回は特別公演ということでした。

 どうなるのかなと心配でしたが、足を痛めているなんて聞かなければ全く分からないくらいで、本当に驚きました。椅子に座ってのシーンも違和感無く、シーンが入れ替わるときもうまい演出で、たった1日で演出方法を大きく変えるのは役者さんも演出家さんもとても大変だったと思いますが、逆に、さすがだなあ!!と関心させられるところが多かったように思います。

 盲目の娘が可愛がっていた犬が事故で亡くなってしまい、それを娘に知らせずに犬役を人間にやらせるという、なんともおかしな設定で、劇の前半は思わず笑ってしまうシーンばかりでした。

 しかし、後半へと進むうちに、その少女の心を慰めようとする女性の一生懸命さに心を打たれると同時に、以前飼っていたスズメのチュンコが家を飛び立っていってしまった後の悲しみも蘇ってきて、涙がボロボロこぼれてきてしまいました。

 大好きだった人やペットなど、心を通わせていたものが遠くへ行ってしまう悲しみは、誰もが体験したことがあると思いますが、目の見えない方にとっては、それはもっともっと重たいものなのだと思います。

 また、物心ついたときから目が見えない人というのは、どのような世界を見ているのかということも考えさせられました。

 劇中、盲目の娘が「普通の人は全体を見てから細部を見るでしょ?でも私は細部を見て(触って)全体を想像するの」というようなことを言っていたのが心に残りました。

 その感想を今日絵にしながら、目をつむって物をさわってみたり、かすかにチラチラ揺れる色を感じてみたりしました。そして、なんだかまた涙がにじんできたりもしました。

 韓国の主演の女優さんも、完璧ではない日本語が逆に温かみがあって、かわいらしさの中に力強い演技を見せてくれたし、盲目の娘さんはとても魅力的な方で、グッとこちらの心を引き込むような演技を見せてくれました。

 シンプルなセットの中に、心の奥底まで広がりのある、素敵なお芝居でした。

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タグ: 演劇 芝居 



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