斎藤美奈子著「紅一点論」ちくま文庫
斎藤さんの本は、結構好きだ。「それを言っては身もふたもない」分析だったりするのだが、でも痛快。
この本は「紅一点の国」「紅の勇者」「紅の偉人」の3つの部分からなる。
「紅一点の国」はアニメ・特撮のヒロインを分析する。それらに登場する女性のキャラクターは4つに分けられるそうだ。
魔法少女(女の子の国のヒロイン−魔法使いサリーちゃんとか)
紅の戦士(男の子の国−友里アンヌ隊員、モモレンジャーとか)
悪の女王(悪の帝国のヒロイン=大人の女)
聖なる母(脇役)
そしてそれぞれの性格を詳しく分析するのだ。
「紅の勇者」は(1)「リボンの騎士」から「セーラームーン」まで少女戦士、(2)「ヤマト」「ガンダム」「エヴァンゲリオン」組織の力学。(3)救国の少女「ナウシカ」など。
ヤマトもガンダムも、ましてエヴァンゲリオンなど全く知らなかったので、初めて、そういう物語だったのか、と知った。でも、あんまり関心なし。どうでもいい。
最後の「紅の偉人」が結構面白かった。つまり女性の伝記の3大有名人、ナイチンゲール、キュリー夫人、へレン・ケラーを取り上げる。子どもの頃からおなじみの面々だ。
でも、ナイチンゲールが90歳まで生きたって知ってました?
ナイチンゲールは「白衣の天使」というより「すご腕実務派ばばあ」だったそうだ。言葉と数字の人、統計学を駆使して、病院の衛生改革につなげた。情報収集力と綿密な調査、解析力こそ称えられるべきものとのこと。
キュリー夫人は必ず「夫人」として描かれるところがミソ。恋愛の人、よき妻よき母であって、ノーベル賞を2度にわたって受賞した偉人。
が、そんなことはありえない。「夫人」を取った「マリア・スクロドフカ」、良き妻良き母でないマリーそのものを描くべきなのだ。
ヘレン・ケラーはサリバン先生との出会いを描いた「奇跡の人」だけで語られることが多い。その枠には収まりきらない人のようだ。
彼女は講演会に飛び回ったが、教会のような辛気臭い場所より、「寄席」のような場所で話すことを好んだという。ウィットに富んだショーガールの趣さえあるそうだ。
伝記でも女性の偉人は魔法少女、紅の戦士、聖なる母、で描かれている。
アニメ、特撮、伝記に現れるステレオタイプの女性像は、もううんざり。もっと多様なもっと個性的な、そして当たり前の、普通の女性像を描いてもらいたいと、つくづく思ったことだった。

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