「石綿(アスベスト)被害はいったいどこまで広がっているのか・・」
公害・薬害・環境・医療問題
(ニュース)
<石綿>健康被害救済法認定者の45%が関連職歴なし
6月5日2時31分配信毎日新聞
環境省で会見する患者団体の関係者=2008年6月4日午後7時33分、上野宏人撮影
石綿健康被害救済法の認定を受けた被害者の45%は過去に石綿(アスベスト)を取り扱った職歴がないことが4日、環境省の初の全国調査で判明した。石綿との関連がない職業とみられていた教員も61人含まれていた。回答者の84%は被害の多い石綿健康リスク調査の対象地域に住んだ経験がなく、被害の広がりが明らかとなった。
調査は06年度に認定を受け、医療費給付を受けている被害者本人799人と、弔慰金の給付を受けた被害者の遺族1590人の計2389人が対象で、2049人が回答した。
その結果、職業などから石綿との関連が不明の人は回答者の40%、820人に上り、家庭内などで石綿にさらされたなどは5%、103人だった。
兵庫県尼崎市に居住歴のある人に限ると、原因を特定できない人は75%の189人に達し、全国平均より著しく高率だった。
教員は分類上、石綿関連のない職業とされたが、中皮腫60人、肺がん1人の計61人が認定されていた。学校の校舎の建て替え時に石綿が飛散しやすかったとみられていたが、教員の中皮腫は数人程度しか表面化していなかった。
一方、石綿関連の職業に就いたことのある人は、計1126人で回答者の過半数の55%を占めた。本来、労災認定での補償を受けるべき人たちが含まれている可能性を示している。
検討会委員の三浦溥太郎・横須賀市立うわまち病院副院長は「教師の明らかな多さには驚いた。米国では石綿の危険職種。詳細な調査が必要」と言い、座長の内山巌雄・京都大教授は「どこでも吸い込む可能性があることが明らかになった」と説明している。【山田大輔、大島秀利】
◇「胸膜肥厚斑」が多発
耐火材メーカーのニチアス(旧日本アスベスト、本社・東京都)とその子会社の旧石綿工場から500メートルを超える地点の住民の間で、石綿を大量に吸ったことを示す病変「胸膜肥厚斑(きょうまくひこうはん)」が多発していることが4日、環境省の調査で分かった。同社は、工場周辺の石綿がんの中皮腫患者らに救済金を支払う規定を設けているが、半径400メートル以内に限定しており、規定の根拠が問われそうだ。【大島秀利、足立旬子、上野宏人】
同省は石綿工場があった大阪府泉南など、兵庫県尼崎市、佐賀県鳥栖市、横浜市鶴見区、岐阜県羽島市、奈良県の6地域で、07年度に1814人を対象に胸部の断層撮影などを実施。石綿に特有の胸膜肥厚斑が487人でみられた。
このうち、石綿関連の仕事に就いていた人(計250人)や、家族に関連職歴を持つ人(計60人)がいた一方、関連の工場で働いた経験のない「職歴などなし」の人が145人に上った。
ニチアス関連会社に着目すると、ニチアス王寺工場(奈良県)と子会社の「竜田工業」(同)、ニチアス羽島工場(岐阜県)の周辺住民で、「職歴などなし」の人が計78人と、「なし」全体の半数以上を占めた。居住地を示す資料では、工場から500メートル以上の人が計7人おり、1キロ以上の人も2人いた。
「職歴なし」のケースは、工場の石綿が一般大気を通して影響を与え、病変を起こした可能性が高いと考えられる。
ニチアスと竜田工業は06年、工場から半径400メートル以内の中皮腫患者に1000万〜3000万円の救済金を支払う制度を設けていた。「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会奈良支部」の山本直子事務局員は「救済の範囲を広げ、ニチアスなどが行う健診の範囲も広げるべきだ」と話している。
◇支援者「どうして公害と断定できないか」
環境省の調査を受け、各地域の患者や支援団体の代表が4日夜、同省で記者会見した。「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の古川和子副会長は、石綿関連の工場に本人や家族が勤めた経験のない人の多くに胸膜肥厚斑が出ている点について、「ここまで結果が出ていながら、どうして国は公害と断定できないのか。悔しい気持ちでいっぱい。どこまで犠牲者の数を出せば、公害と認めてくれるのか」と怒りをあらわにした。
また、飯田浩・尼崎労働者安全衛生センター事務局長は「石綿工場を中心に広範囲に被害が広がっていることが分かったが、今後どう対策をとるのか、なぜこのようなことが起きたのかまったく分析がない」と国の姿勢を批判。中皮腫・じん肺・アスベストセンターの名取雄司所長は「過去にどれだけの石綿にさらされたのかが、まったく推計されていない」と調査の方法が不十分と指摘した。【足立旬子】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080605-00000017-mai-soci
石綿工場の周辺住民145人に特有の症状 職歴・立ち入りなし
6月5日7時6分配信産経新聞
兵庫県尼崎市や横浜市などかつてアスベスト(石綿)製品を扱っていた工場の周辺6地域の住民1814人を対象に環境省が行った健康影響調査で、石綿にかかわる職歴や工場への立ち入りがなかったにもかかわらず、145人に石綿を吸った人に見られる「胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)」の所見が見つかったことがわかった。4日に環境省の検討会で報告された。労災ではなく、一般住民が日常生活の中で石綿による被害を受けた可能性を示した。
調査は昨年度、工場が稼働していた時期の近隣住民を対象に各地域の自治会町内会などを通して呼びかけ、胸部エックス線やコンピューター断層撮影(CT)などの検査を実施。そのうち、石綿にかかわる工場などで働いた経験のない804人について分析したところ、6地域で約6割の計509人に石綿との関連が疑われる診断結果が出た。さらに145人には、石綿を吸い込んだことが確実とされる胸膜肥厚斑の所見が見られた。内訳は、岐阜県羽島市41人、奈良県37人、尼崎市32人、大阪府泉南地域20人、横浜市鶴見区12人、佐賀県鳥栖市3人。
胸膜肥厚斑は、石綿を長期間吸い込むことで胸膜が白くなって肥大化し、中皮腫や肺がんなどに進行する可能性がある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080605-00000904-san-soci