2010/3/9

カネミ油症:民主、被害者救済の法制化を検討  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
カネミ油症:民主、被害者救済の法制化を検討

 1968年に西日本一帯で発生した国内最大の食品公害「カネミ油症」の被害者救済問題で、民主党は8日、議員立法も視野に入れて救済の法制化を検討する方針を決めた。高嶋良充・党筆頭副幹事長が同日、陳情のため国会を訪れた被害者に明らかにした。

 高嶋氏は「救済新法を含め、どう対応できるか厚生労働省などと具体的に話し合いたい」と法制化に前向きな姿勢を示し、「政府案が出ないなら最終的に議員立法的なもので出せないか」と述べた。

 救済法案を巡っては、被害者団体が骨子案をまとめ(1)医療費の自己負担分(2)健康管理手当−−を国が支払うことなどを盛り込んだ。政府・民主党はこの骨子案を参考に法案作りを進め、通常国会での成立を目指す。

 だが、政府内には被害に対する国の責任を認めることに難色があり、救済法案の障壁となる可能性がある。高嶋氏は「政府案は調整に時間がかかる。それらを見極めながら対処したい」とも述べた。

 陳情した被害者弁護団の保田行雄弁護士は「公的救済を正面から検討してもらう機会ができたことは大変画期的だ」と評価した。

 カネミ油症は、北九州市の「カネミ倉庫」が製造した米ぬか油に含まれたポリ塩化ビフェニール(PCB)などが原因で発生し、当初約1万4000人が健康被害を届け出た。認定患者は現在1938人(死亡者含む)いるが、医療費などを支給する公的制度はない。【阿部周一】
毎日新聞 2010年3月8日 21時17分


本県被害者ら救済法成立求め陳情 民主筆頭副幹事長と面談
 国内最大規模の食品公害カネミ油症事件の本県被害者らが8日、国会内で、民主党の高嶋良充筆頭副幹事長と面談し、被害者救済の新法実現を陳情した。高嶋副幹事長は「政府提出法案か議員立法か、両方を見極め対処したい」と述べ、今国会での法案提出、成立に前向きな姿勢を示した。
 本県選出で同党の犬塚直史参院議員、福田衣里子衆院議員(長崎2区)らが同席。カネミ油症五島市の会事務局長の宿輪敏子さん(48)が、国の謝罪、被害者の医療費や健康管理手当、特別給付金、遺族給付金の支給、診断基準改正などを求める陳情書を高嶋副幹事長に手渡し、今国会での救済法成立を要請した。
 高嶋副幹事長は、被害者救済が厚生労働省と消費者庁にまたがる問題との認識を示し、「両大臣にどういう形で対応できるか具体的に話し合いをしてもらいたいと思っている」と語った。また「支援団体や労組を含め(救済を求める)署名を集めており、その分は重視しなければいけない」とした。カネミ油症被害者支援センター(東京)によると署名は現在、約15万人分が集まっているという。
 同日、被害者らは厚労省の足立信也政務官とも面談し、同様に陳情した。
2010年3月9日長崎新聞

実現に確かな手応え 厚労省訪問後に被害者ら
 「厚生労働省は具体的な法案の検討に入っているのかもしれない」−。8日、本県のカネミ油症被害者や弁護士、支援者らは公的救済を求め、厚労省で足立信也政務官と面談(非公開)。被害者らは記者会見で、足立政務官が救済法の立法上の障害や国のスタンスなどに関し、幾つもの踏み込んだ質問を投げ掛けたことを明らかにした。
 同行した保田行雄弁護士によると足立政務官は、国の責任のとらえ方、食品衛生法の枠では個人救済が難しいこと、過去の裁判で原告側が国への訴えを取り下げている点、さらに未認定問題やカネミ倉庫への対応などについて被害者側の意見を求めた。特に1968年に油症被害の拡大を防止できなかった国の責任を問うのか、当初は予想し得なかったダイオキシン被害に関して現在の国の救済責任を重視するのかなど、救済法の立法化に当たっての基本的なスタンスについてやりとりがあったという。
 カネミ油症五島市の会事務局長の宿輪敏子さん(48)は「(政務官は)慎重だった」とした上で「本気で複雑な油症問題を理解しようとしている」、五島市出身で新認定訴訟原告の嶽博幸さん(53)も「真剣さが伝わってきた」と確かな手応えを感じた様子。
 厚労省は2008年度に実施した認定患者対象の健康実態調査の結果を今月、公表する予定。保田弁護士は「調査結果で健康被害のひどさを国として確認すれば、責任論はともかく国は救済に向けて動きだすはず。幹事長室、厚労省政務官が油症の本格救済について正式に受け止めたことは大きな前進」と述べた。
2010年3月9日長崎新聞
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