「自分なりの「死刑廃止論」の考えを整理してみました」
時事問題
斎藤幸夫氏の訃報に触れて、自分なりの「死刑廃止論」の考えを整理してみました。
「死刑の抑止力の問題について」
死刑は抑止力を持つのかという問題ですが、自分の場合はどうだろうかという憶測で考えると、僕個人は死刑だろうと終身刑だろうとイヤですから、もし仮に人を殺そうと思っても、死刑なり終身刑なりになるならイヤだからやめておこうと考え直すと思うので、死刑でも終身刑でも自分の場合は抑止効果をもつと思います。
つまり、仮に死刑を廃止して終身刑をもうけたとします。
僕の場合は死刑だろうと終身刑だろうと抑止力をもつと思います。
しかし、中には「終身刑ですむなら殺したい奴がいるけど、死刑になるならやめておこう」と考える人もいるかもしれません。そのように考えて、実際に仮に死刑がなくなって、死刑がなくなったので殺人をしようという理由で殺人をする人がいたとしたらじゅうぶんその人は異常者だと思います。
そのような人間に対してはたしかに終身刑ではなく死刑が抑止力をもつとは言えます。
しかし、一方で異常者だったら死刑があることも抑止力にならないのではないかという疑問も沸いて来ます。つまり、異常者というのは死刑になるかもしれないということが分かっていても殺人をしてしまうのではないか? 現に死刑制度がある現在、次々と殺人事件が起こっているわけですから。死刑があることも異常者に対しては抑止力にはなっていないわけです。
このように考えると、普通の人には死刑でも終身刑でも抑止力になるが、異常者にはどちらでも抑止力にならないのではないか?
という風にも考えられるわけで、そうだとすると、死刑を廃止して終身刑をもうけた場合、そのことによって抑止力が急速に失われて殺人事件が一気に増加するということもないのではないか?と思えるのです。
「死刑制度の問題はどこにあるのか」
死刑制度の問題は更生する機会を奪ってしまうということではないでしょうか。
犯罪者に刑罰を与える目的のひとつに、その人間を更生させるということがあるかと思うのですが、死刑にしてしまうということは更生させることを断念してしまうということです。ここに問題があるように思います。
もちろん、その犯罪人が死刑でなければ果たして更生するのかは分からないし、人間は必ず更生するものだなどとは僕も思っていません。
しかし、仮に100人の現法制度で死刑に値する犯罪をおこなった人間がいたとして、その中には更生するに至る人がいるかもしれません。そうした人の出てくる可能性というのを死刑にすることで奪ってしまっているということは言えるのではないでしょうか?
「死刑というのは命を粗末にすることではないのか?」
水俣病患者で両親や兄弟を亡くしている緒方正人氏は「水俣病患者をほめてもらいたいことがある」として、「チッソから何人も殺され、傷つけられたが、患者はチッソの人間を一人も殺さなかった。そして、胎児性患者が生まれていると知っていて産んだ(ことをほめてほしい)」と語っています。
これはつまり、水俣病で命を粗末に扱われた側だからこそ、命の大切さを思い至り、胎児性患者であっても(たとえ一生、重度の障害者としておくる存在であったとしても)大切な命であることに思い至ったということではないでしょうか?
(ちなみに新潟水俣病の場合は水俣とは異なり、新潟市は胎児性患者を堕胎することをすすめ、結果として新潟には胎児性水俣病患者は公式に認定されている者は1人しかいないそうです。)
死刑に値するような犯罪をした人間は更生させる価値はないという意見もあるようですが、それではどうしてその人間はそれほど世間から非難されないといけないのでしょうか?
それは、その人間があまりにも人間の命というものを粗末に扱ったからではないでしょうか?
つまり、あまりにもあいつは人間の命を粗末に扱った、そのような者は生かしておく価値がないという考えではないかと思うのですが、でもそのように「人の命を粗末にしてはいけないのだ」という理屈でその人間を非難するのであれば、死刑にしてしまうということはその犯罪人の「命を粗末にしている」ことであるわけですから、論理的に矛盾していることにはならないでしょうか?
命を粗末にしてはいけないということは、たとえどんな人間であったとしてもその人の命を粗末に扱ってはいけないということですから、凶悪な殺人犯の命であっても粗末には出来ないはずです。従って、凶悪な殺人犯に対して「そのように人間の命を粗末に扱ってはいけない。お前はその点が間違っていたのだから悔い改めなければいけない」ということを説こうとするならば、死刑という「人間の命を粗末に扱う」手段でそれをおこなうことは論理的に矛盾しているように思えます。
しかし、かといって、僕も凶悪犯でもきっと更生するだろうと考える程、楽天的なわけでもないので、やはり終身刑(刑が軽減されることはなく一生、刑務所から出ることができない)をもうけてその前提で死刑を廃止するのがいいのではないか?というのが現状の自分の考えです。再犯がないということなら終身刑でも再犯はないはずですから。
「念のための補足」
以上のように、僕の基本的な考え方は、死刑を廃止して終身刑をもうけたらどうかということですが、これは僕個人の考えであり、現状では死刑制度があるわけで、それを変えるべきだと考える人が多数派になって民主的な手続きを通過し法を変えた以降にはじめて現行の死刑制度が無効になるものと考えます。
ですから、現在、死刑の判決がくだされることを不当だとは思いません。

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