東京にある寺社仏閣などのガイドブック、という体裁の本だが、中身はたぶんに風水的というか、オカルト的である。どうやら作者本人も、たぶんにそのような霊感めいたものがあるらしい。
初めて知ったのだが、木などは「気」に敏感なため、それがいいものであれ悪いものであれ、「気」の強い方向には方角に関係なく枝を伸ばしていくらしい。特に桜の木は「気」に敏感で、その咲きぶりを見ればその場所の「気」のよしあしなどもわかる、とも書いてある。
それにしても、江戸から東京へと移ってこの街に、あらためて見ればこれほど多くの宗教的なスポットや、さらにはそれにまつわる逸話があるということに気づく。銀座の街には、一丁目から八丁目までそれぞれ別個の稲荷神社があるのだそうだし、東京の街には六十以上の「富士塚」(富士山を象った塚)があるのだとも言う。祟りといった話も決して昔話だけでもなく、将門の首塚をめぐっての旧・大蔵省の祟り話など、比較的新しい話だってある。
ちなみに一番面白かった挿話は、秋葉原駅の話。秋葉原駅のある場所には以前秋葉神社という神社があったが、それが壊されてそのまま駅舎になった。しかし、その社自体は密かに残っており、それは秋葉原駅の駅長室にあるのだ、と言う。秋葉原というのが、特殊な文化を持った街に育っているだけに、この話はいかにも興味深い。
実際、東京にはさまざまな力を宿した土地と、そしてそれを舞台にした人々の生きてきた力と、そのようなものが複雑に錯綜した街だ。少なくともこの本を読んでいると、東京という街がそのような眼に見えない力が錯綜する街として見えてくる。

0