引っ越し準備を期に、飽和した本やレコードを整理しようと思い、先ずは様子見にレコードを段ボール一箱分積め込んでレコ屋に売りに行った。
すると、思っていたよりもそこそこの金になったので、喜んで店を出て、ひょこひょこと階段を降りつつ、最後はこんなものかと一抹の虚しさを感じた。
もし今、階段の下から十年前の俺が意気揚々と上がってきたなら、「お前、レコードはよう考えて買えよ。半端に集まったら怖いぞお」と忠告するだろう。
もっとも、そんな説教など、狂ったようにレコードを買いまくり、人並みを掻き分け、質素に暮らすスタイルを清貧とし、これもレコードジャンキーの一つの美徳と盲信していた無邪気な餓鬼だった俺には、馬の耳に念仏だろうが。
レコ屋には、レコードを買いに来る人間ばかりではなく、売りに来る人間もいることを改めて知った。

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