2017/11/23  13:59

投資家の目線647(議員年金復活と補助金問題)  政治
 自民党の竹下総務会長が議員年金復活を訴えている(「議員年金復活、検討も必要、自民総務会長、「元国会議員が生活保護」。」2017/11/15 日本経済新聞 朝刊)。「元国会議員で生活保護を受けたり、ホームレスになったりする方もいると聞いている」(同)ため、必要だというのだ。加計学園の獣医学部開設問題でも、同学園は今治市に96億円の補助金を申請している(「加計問題「第2幕」へ 96億円補助金に今度は“マル暴”の影」2017年8月29日 日刊ゲンダイ)。議員も私立学校ももはや自力で稼ぐ能力がなく、税金に寄生してしか生きていくことができなくなったのではないだろうか?元国会議員にも健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があるため、生活保護を受けることは全く問題ない。しかし、元国会議員だからといって、他の国民より優遇すべき理由が何かあるだろうか?国会議員には何らかの事業を持っている人か、大勢の人から資金提供を受けて財政の安定している組織の専従のような人がなるという方法もあるだろう。地方経済の疲弊で、「高貴なる者の義務」を果たせるような人材が不足しているのかもしれないが…。なお、森友学園の籠池泰典前理事長の容疑も補助金の詐取ということになっている。
 
 税金といえば、「ものづくり補助金」では資金回収できている企業はほとんどなく(「中小向け補助金、「回収」1%未満、財務省調査。」2017/11/23 日本経済新聞 朝刊)、官民ファンド、クールジャパン機構の成績も振るわない(「クールジャパン、戦略なき膨張 投資ありきの危うさ」2017/11/6 日本経済新聞 電子版)。

 ちなみに、モンゴルでは自動車特別税が免税となっていたハイブリッド車も課税対象になった(「通商弘報から」2017/11/2 日経産業新聞)。主要各国でのEVなど排ガスゼロ車導入促進など、ハイブリッド車に強かった日系自動車メーカーも税制の恩恵を受けることが難しくなってきているようだ。
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2017/11/12  13:04

投資家の目線646(巨悪対市民)  
 「巨悪対市民 今治発!加計学園補助金詐欺事件の真相」(黒川敦彦編著)は、先週11月10日に文部科学省大学設置・学校法人審議会が開設を認める答申をした愛媛県今治市の加計学園岡山理科大学獣医学部をめぐる疑惑を追及した本である。

 加計学園の獣医学部の施設は、建築の坪単価が相場の倍ぐらいするとか、細菌やウィルスを扱う先端ライフサイクル研究を行う施設としてはお粗末でバイオハザードが起きると指摘されている。神戸ポートピアアイランドのような人工島なら感染者を「島」に閉じ込めることもできるだろうが、今治新都市開発事業の丘陵地でそれは難しいだろう。テレビアニメ化もされた漫画「がっこうぐらし!」(海法紀光×千葉サドル 芳文社)はバイオハザードが起きて住民がゾンビ化する物語で、主人公の通う高校はバイオハザード発生時には自給自足できる避難施設として設計されていた。今治でも本気で先端研究する気があるのならば、そのような施設も必要ではないだろうか?「がっこうぐらし!」では近所のショッピングモールに出かける回があったが、今治のケースでも近くにイオンモール(第一地区)がある(加計学園の獣医学部は第二地区)。同学部の設立理由として四国の獣医師不足が挙げられていだが、最近になって、韓国でも学生募集していることが報道され、設立理由との矛盾が指摘されている(『認可決定の加計学園が留学生を大量募集! 「四国の獣医師不足」で特区指定受けたのに「韓国で獣医師になれる」とPR』 LITERA 2017/11/7)。

 また、この事件で加計孝太郎加計学園理事長と菅良二今治市長、今治市議13名が贈収賄容疑で松山地検に告発されている。学校法人加計学園と言えば、獣医学部と同じく6年制である薬学部のある千葉科学大学の所在地銚子市では、加計学園に92億円の補助金を提供した影響もあり(うち14.6億円は返還)、財政悪化に苦しんでいる(週刊朝日2017年4月7日号)。2002年に大学誘致を訴えて銚子市長に当選した野平匡邦氏は自治省出身で、加計学園傘下の岡山理科大学の客員教授を務めていた(同)。

 また、加計孝太郎氏は安倍首相と米国留学時代からの友人としても知られ、2013年の第2次安倍政権発足以降だけでも食事やゴルフで14回の接触がある(ハフポスト日本版 2017/7/24)。


 安倍政権の教育問題に関係した事件では、森友学園の問題があった。森友学園事件では、安倍晋三首相夫妻、籠池森友学園理事長の国会証人喚問を要求した竹下亘自民党国会対策委員長、地元が八尾市の松井一郎大阪府知事、冬柴鉄三元公明党幹事長の息子が登場した。

 田中森一(元自民党清和会顧問弁護士)著「反転」(幻冬舎)では、「拓銀をつぶした男」焼鳥屋五えんやグループの中岡信栄氏と親しい政治家として自民党安倍晋太郎氏、竹下登氏、同党で生長の家に関係する玉置和郎氏、村上正邦氏、公明党矢野絢也元委員長(八尾市出身)、民社党春日一幸元委員長が挙げられていた。また、「反転」では五えんやグループには巨額の使途不明金があったこと、同グループの金融会社ECCはメインバンク北海道拓殖銀行から湯水のように融資を引き出していたこと、中岡氏が訪ねてくる客に現金入りの封筒を渡していたこと、上京の時にはホテルオークラのインペリアルスイートルームに滞在し安倍氏や竹下氏らの政治家も訪ねてきたこと、特に安倍氏は国会を抜け出して牛乳風呂を堪能していたことなども書かれている。


 バブル当時、前出の安倍晋三氏は安倍晋太郎氏の秘書を、竹下亘氏は竹下登氏の秘書を務めていた。今の日本は当時と同じことを繰り返しているだけではないか⁈ と思う。

追記:不正で逮捕された望月前山梨市長は、逮捕される前、宮川典子氏(現文部科学政務官)を応援していた。

「反転」によれば、中岡氏から接待を受けたのは近畿財務局長、大阪府、府警、国税局。ECCの顧問弁護士は田村彌太郎元仙台高検検事長(歴代大阪高検検事長が就任時にあいさつに行く慣習があったほど検察内で影響力があった人物)。森友問題関係者と似てる。さらに中岡氏に近かった幹部官僚として、他にも大蔵省主計局次長だった中島義雄氏、東京税関長だった田谷広明氏、国税庁の矢野氏がいる。加計問題に登場する加戸守行元愛媛県知事はリクルート事件に連座して辞職した元文部官僚だが、リクルート事件の時の政界実力者の密会にもホテルオークラのインペリアルスイートルームが使われたという。加戸氏は日本会議の関係者でもある。また、リクルート事件はゴルフ場やスキー場(リクルートの場合は安比高原リゾート)開発に関わる保安林の指定解除という農水省の利権にも関わっていたという。当時、安倍派で農水行政に絶大な影響力を持っていたのが安倍晋太郎氏や加藤六月氏ら。
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2017/11/5  10:33

投資家の目線645(コンビニの話題・7-11鳥取市初出店とローソンの書籍販売)  ショッピング
 鳥取駅のコンビニのハートインが近々セブンイレブン・ハートインに代わるようだ。アルバイト募集中である。セブンイレブンはドミナント戦略をとっているが、初出店の鳥取市で同時に新規開店するのは3店のみである。JR西日本は駅の売店をセブンイレブンに転換するとしていた。これで島根・鳥取のキヨスク、デイリーイン、ハートインでセブンイレブンに転換していない駅は鳥取県中部の倉吉駅のデイリーインだけとなる。

追記:鳥取市への出店は11月17日に決まった(「セブン、鳥取市に初出店 JR鳥取駅などに3店舗」2017/11/6 日本経済新聞中国・四国版)。

 近畿地区でセブンイレブンに転換予定で未だ転換していないキヨスク、ハートインはおおさか東線建設中の放出駅だけである。近くにセブンイレブンのない兵庫県の豊岡駅、和歌山県南部の3駅のキヨスク等は9月下旬にリニューアルされた。倉吉のデイリーインも9月21日に販売機器が交換されている。店舗名はそのままだが、POSシステムなどはセブンイレブンと共通化され、いつでもセブンイレブンに転換できるようになっているのではないだろうか?北陸、岡山、九州3地区ではセブンイレブンへの転換を終えている(広島地区はデイリーサービスネット広島のHPは店舗網の表示がないので不明)。JR西日本の半期決算で、流通業のセグメントは「セブンイレブンに転換した売店が堅調で2%増えた」(「JR西、九州への旅客回復、4〜9月、19%増益、純利益678億円。」2017/10/31 日本経済新聞 地方経済面 兵庫)と、セブンイレブンへの転換は成功しているようだ。

 同じくセブンイレブンへの転換を表明していた四国Kioskも残るは香川県の多度津駅と愛媛県の宇和島駅のみである。宇和島付近にはセブンイレブンがないが、多度津駅付近にはあるので転換しやすい。

 また、「ローソンはコンビニエンスストアで書籍専用の棚の設置を広げる。(中略)書店が減り続けるなか近場で書籍を買いたいという需要を取り込み、来店客の増加につなげる」(「書籍棚の設置拡大、ローソン、2割増3000店に。」2017/9/25 日経MJ)という。セブンイレブンは雑誌コーナーを削減しているので、両者の手法は真逆である。ローソンは雑誌棚を削減したセブンイレブンとの間で差別化を図る戦略なのだろう。ただし、近所に書店がない地域ならありがたいサービスだが、書店があるなら競争が激しくなるだけだろう。
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2017/10/29  7:51

投資家の目線644(内部留保の問題)  政治
 衆議院選で、内部留保課税を提唱する党があった。内部留保は当期純利益から株主に支払う配当の額を差し引いたものであり、内部留保した分を事業に再投資をしたりすることもあるので、必ずしも企業が現預金として保有しているものではない。しかし、部門別資金過不足で90年代後半から企業(民間非金融法人)部門は黒字で、企業全体で見ると投資は稼いだ収益で賄えるようになっており、大和住銀投信投資顧問のチーフエコノミスト柿沼点氏は2020年度に預金超過になるとまで主張している。

2020年度には民間非金融法人も預金超過に? 2016年6月30日
http://www.daiwasbi.co.jp/pdf/market/1538/economist_20160630.pdf

 次の資料P4図2にある通り、企業はそれまで赤字部門で、金融機関などから借入れをしながら事業を行っていた。

資金循環統計からみた日本経済の動き  小清水世津子
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2006pdf/2006062954.pdf

 榊原定征日本経済団体連合会会長が『企業が手元に持つ現預金残高は「企業の運転資金として極めて適正だ」との認識を示した』(『経団連会長、内部留保への課税「受け入れられない」』 2017/10/10 日経QUICKニュース)というが、東芝や日本郵政等の海外での大型M&Aでの損失発生を見ると、日本企業の経営能力では新たに資金調達してまで投資できる先がなくなったのだろうと思う。

 株主と経営者との間のエージェンシー問題では、企業が余剰資金を持ちすぎると経営者が無駄に豪華な本社を建てたり、事業規模を拡大するために正味現在価値がマイナスの投資をしたりして資金を無駄遣いし、株式価値を棄損することがあるとされる。また倒産コストとの見あいだが、負債利子は損金項目なので、借入れがある方が節税効果で企業価値が上がることになる。

 榊原会長は『「これまでは貯蓄から消費にまわらないという課題があった。経済の好循環をまわすためには従業員への配分についてきちんと考えるのが重要だ」とも述べた。』(同)という。経営者が既にこの配分を行っていれば、内部留保課税などというアイデアは出てこなかったと思うが…。
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2017/10/21  6:01

投資家の目線643(大和銀行、VWの不正から考察する神戸製鋼所の今後)  ビジネス
 不正が発覚した神戸製鋼所が米国司法当局から書類提出が要求されている。任意ではなく、従わなければ罰則がつく提出要求とのことである。

「米国司法当局からの書類提出要求について」 2017年10月17日 株式会社神戸製鋼所
http://www.kobelco.co.jp/releases/1197847_15541.html

 不正に対して米当局が関与した例としては、いわゆる大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件が思い出される。日本の大蔵省が巨額損失を知ってから報告が遅れたとされたことが、米国から批判される原因になった(井口俊英著「告白」によれば、ニューヨーク連銀は日本の大蔵省より先に、大和銀行ニューヨーク支店からこの偽装工作を知らされていたようだが)。

 神戸製鋼所は、10月8日の公表以前の9月21日にトヨタやJR東海に報告している(「日本の製造業が揺らぐ… 神戸製鋼所 データ改ざんの波紋」テレビ東京 WBS 2017/10/9)。そのため、かなり前から不正はわかっていたのだろう。大和銀行の事件の例からすると、この遅れは米国から批判される要因となりうる。ちなみに、下関にある神戸製鋼の拠点はアルミ・銅製品のデータを改ざんしてた所で、「神戸製鋼は安倍洋子が工場にあらわれて檄を飛ばすような関係だ」(「安倍陣営は万単位で票減らすか 首相お膝元の選挙区情勢分析」長周新聞 2017/10/14)といい、安倍首相は6月23日に神戸で、かつて所属していた神戸製鋼所を訪問している。

 その後、大和銀行は米国から追放させられることになったが、神戸製鋼は米国での現地生産拡大を迫られるのではないだろうか?貿易赤字を問題視している米トランプ政権にとって、対日貿易赤字を削減することができる。同じく米国に関係したVWの排ガス不正は司法の案件となり、徹底的な処分がなされた。そしてその後、米当局からEVの現地生産を持ちかけられていることが報じられた(「米当局、VWに米国でのEV生産を要請 独紙報道」2016/2/22日本経済新聞Web版)。

 11日には東芝が特設注意市場銘柄から指定解除された。東芝を米原発建設会社に関する有価証券報告書の虚偽記載の疑いで証券取引等監視委員会が調査を検討していると報じられたが・・・(「証券監視委が東芝の原発損失、調査へ 数千億円虚偽記載疑い」2017/10/2 産経新聞)。これも日本に対する不信の対象になるのではないだろうか?


 先頃、サンケン電気では募集人数120人を上回る131人、コンビニエンスストアチェーンのスリーエフでは募集人数180人を少し下回る173人、早期退職に応募した。これでアベノミクスは成功していると言えるのか?
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2017/10/15  14:30

投資家の目線642(日本企業の不正と日米経済対話)  政治
 神戸製鋼所のアルミ・鋼製部材の品質データを改ざんしていたことが公表された。同社のアルミ素材は多くの自動車メーカーや、三菱重工業のロケット、JRの新幹線をはじめとする鉄道車両など約200社に供給されているという。先日は日産自動車が無資格の従業員に完成検査をさせていたという不正が公表された。貿易赤字を問題視している米国政府に日本製品を輸入規制して対日貿易赤字を解消する正当な理由を与えているようなものだ。なお、VWは排ガス不正問題で巨額の和解金を支払っている。

 神戸製鋼所のアルミ等の部材は米国のGMやフォード、欧州のダイムラーやエアバス社にも供給されており、海外で訴訟沙汰になる可能性もある。エアバッグのタカタの経営破たんは米国での訴訟が主因だった。

 また、米国カリフォルニア州で売られている某社の海苔の佃煮のパッケージに、「This product contains chemicals known to the State of California to cause cancer , birth defects or other reproductive harm.」という警告が書かれているのを写真で見た。週刊金曜日2017年4月7日号の「新・買ってはいけない」で『「調味料(アミノ酸等)」が添加されている食品を多食すると、痛風を引き起こす、乳幼児の脳細胞を損傷する、目の損傷、塩分の過剰摂取、食用油との加熱で変異原性物質発生…などの懸念が次々と報告されています』と書かれていた。「調味料(アミノ酸等)」の主成分はMSG(グルタミン酸ナトリウム)で、カリフォルニア州での警告の主因と思われる。また、土壌汚染があることが分っている豊洲市場に移転するのに、その市場で取引された海産物から豊洲由来の汚染物質が検出された場合の訴訟リスクについて考えているのだろうか?こんなことでは米国への食品輸出も難しい。

 カリフォルニア州では、2018年モデルから排ガスゼロ車が販売数量の一定比率を超えないと罰金が科される規制が厳しくなる。トヨタで排ガスゼロ車規制に対応できる車はプリウスPHV(プラグインハイブリッド)ぐらいしかない。トヨタのEV(電気自動車)は小型すぎ、FCV(燃料電池車)を投入するにしても燃料を補充する水素ステーションは、シェルがホンダやトヨタの協力を得て、同州に7か所整備することが報じられた程度である(「シェルが米国で水素ステーションを拡充、トヨタやホンダが支援 カリフォルニア州に7カ所設置」 2017/9/21 日経テクノロジーonline)。日本の自動車産業も窮地に立っている。

 安倍首相は2月の訪米時に、米国に対して約17兆円を投資して70万人の雇用を生み出す計画を約束している。最悪の事態は、米国への輸出ができなくなったうえに、約17兆円の米国投資を要求される場合だろう。日本の雇用にはマイナスだが、日系メーカーは米国で約17兆円の設備投資を行い、現地生産を増加させ、米国での雇用を増やすことで米国への約束を果たす方法が賢明ではないかと思う。
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2017/10/10  7:44

投資家の目線641(希望の党と自民党と日米関係)  政治
 先々週、希望の党が結党した。急な結党の感じがするが、9月25、26日にホノルルで開かれた安全保障関係のシンクタンクEastWest Institute(EWI)による退役した四つ星将軍たちの「日米軍事対話」の影響があるのではないかと思う。

EWI Launches Inaugural U.S.-Japan Military Dialogue
https://www.eastwest.ngo/idea/ewi-launches-inaugural-us-japan-military-dialogue

 民進党から希望の党への移籍希望者には安保法制への賛否の踏み絵があったし、民進党側でふるいをかけていたうちの一人、玄葉光一郎議員は外相時代の2012年にEWIから国際平和構築賞を授与された(外務省HP)。

玄葉外務大臣のEastWest Institute主催夕食会への出席(「EWI国際平和構築賞」の授与) 平成24年9月27日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/unsokai/67_ewi.html

 コンドリーザ・ライス元国務長官の「ライス回顧録」(福井昌子、波多野理彩子、宮崎真紀、三谷武司訳、集英社)に「太平洋軍司令官は昔から植民地総督のような存在で、ハワイの軍司令部を拠点とする四つ星の将軍が発する命令は最もましなときでも外交政策と軍事政策の境界線を曖昧にしてしまい、最悪の場合は両方の政策をぶち壊してしまう傾向があった」とあるとおり、日米関係はアメリカ合衆国の一部に過ぎないアジア太平洋軍に偏っている。ただし、希望の党の代表の小池百合子東京都知事は55日で防衛大臣を辞任しており、安全保障関係の知識は未知数だ。

 また、希望の党は日本維新の会と選挙協力することで合意している。日本維新の会のメンバーである大阪市の『吉村市長は4日、報道陣に「姉妹都市の関係は僕も続けたい。でも今なぜ、あえて慰安婦像を設置する必要があるのか。設置するなら、それ(関係継続)は無理だ」と述べ、姉妹都市解消を検討する考えに変わりはないことを表明した。』(大阪市長に米姉妹都市市長から批判の書簡 慰安婦像巡り(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース )と、米国の地元団体が作成した像のある土地をサンフランシスコの市営公園にすることに反対し、要求を受け入れないなら姉妹都市関係を見直すと、米軍を資金面で支えるアメリカ人民にケンカを売っている。

 一方、稲田朋美議員のような何の知識も持たない人物を、防衛大臣に任命した安倍首相も安全保障問題など理解していないだろう。国会答弁もまともにできず、弁護士なのに自衛隊法を理解しておらず、場違いなかっこうで視察を行って士気を落とすような人物に2プラス2のような会議に出席されても、米国側にとっては時間の無駄に過ぎない。さらに、9月には最重要課題の日米経済対話をすっぽかしている。

 小野寺防衛大臣は、就任以前に敵基地への先制攻撃について言及していた。「対北朝鮮、先制攻撃の無意味」(Newsweek日本版 2017/5/30 フランツシュテファン・ガディ ディプロマット誌記者 イースト・ウエスト研究所 シニアフェロー)で、北朝鮮が米国本土をICBM攻撃できない時点のみ、北朝鮮への軍事行動は可能とする逆デカップリングが指摘されていた。SDI構想の時、米国への核攻撃阻止につながるならソ連にNATO同盟国を先制攻撃させることもありうるとされていたという。それは、同盟国を犠牲にして敵国を攻撃するという意味だろう。

 フォーリン・アフェアーズ日本語版2006年7月号の『北朝鮮の脅威と日米ミサイル防衛』によれば、アマイケル・レビ 米外交問題評議会(CFR) 科学技術担当フェローが、

引用開始

――日米が開発している地上配備型ミサイル防衛構想はどのような段階にあるのか。
(中略)
 こうしたミサイル防衛技術の移転はたんに技術面だけでなく、日本との政治的、軍事的関係を強化する上でも有意義だ。日本政府の閣僚が北朝鮮のミサイルサイトへの先制攻撃の可能性を示唆する発言をし、大きな話題となったが、これは現実には、日本の基地を利用して米軍が北朝鮮のミサイルを先制攻撃することを意味する。この件からも明らかなように、ミサイル防衛の技術移転がたんに技術的なものではなく、政治的なものであることがわかる。

引用終了

 新安保懇の報告書は、将来非核三原則を見直して米軍の核兵器の持ち込みは認めるよう含みを持たせている(2010/8/28 日本経済新聞 朝刊)。核の持ち込みを認めれば、自衛隊と米軍の一体化が進んでいる現在、在日米軍基地や自衛隊基地から核ミサイルを発射することが可能となり、日本は報復攻撃を受けることになるだろうが、そのことを考えているのだろうか?

 また現在の国連安保理の非常任理事国には、以下の国家が含まれている。

 北朝鮮へのICBM技術移転疑惑のウクライナ。2009年12月、バンコクの空港で北朝鮮発の貨物機から大量の兵器が押収されたとき、乗員がウクライナに向かう予定だったと話しているとタイ国営通信が報じていた(「特集「緊迫!朝鮮半島」 北朝鮮から兵器を運搬か」時事ドットコムニュース)。

 1981年、北朝鮮にスカッドミサイル供与したエジプト(「<北朝鮮ICBM>北、エジプトからスカッドB持ち込み弾道ミサイル技術を確保」中央日報 2017/7/5)。昨年8月、エジプト沖で拿捕された船で見つかった兵器の買い手はエジプト企業であった可能性があると報じられている(「北朝鮮製ロケット弾3万発、エジプト企業購入か、米紙報道。」2017/10/2 日本経済新聞 夕刊)。ただし、エジプトの国防相が「北朝鮮とのすべての軍事協力をすでに解消した」ことを明らかにしたと報じられている(「エジプトが北朝鮮との軍事協力を解消 米の圧力受け」2017/9/12 ANN NEWS)。

 北朝鮮から技術支援を受けた兵器工場があったエチオピア(「北朝鮮は本当に孤立しているのか」アフリカ@世界 白戸圭一 2017/8/31)。ただし昨年5月の訪韓時、エチオピアの首相は核開発について北朝鮮を非難している(『エチオピア首相「北朝鮮の核開発は無責任…我々は韓国の味方」』中央日報 2016/5/27)。

 2000年に戦闘機MIG21三十数機を北朝鮮に輸出したカザフスタン。ただし、7月の弾道ミサイル実験については北朝鮮を非難している(「カザフスタン、北朝鮮の弾道ミサイル実験を非難する声明を発表」2017/7/31 TRT)。

 2010年に建造された「アフリカ・ルネサンスの像」という万寿台社(金日成像等を作成しているところ)製の像のあるセネガル。ただし、北朝鮮労働者へのビザ発給は停止しているようだ(「セネガルが北朝鮮労働者へのビザ発給停止 核開発費転用を懸念」2017/5/30 聯合ニュース)。

 また、経済制裁しているはずの米国の飲食店では平壌焼酎も提供されているという。

『米商務省「北との貿易なし」も…ワシントンの飲食店に北朝鮮焼酎』中央日報 2017/10/5
http://japanese.joins.com/article/106/234106.html

 安倍首相は北朝鮮への圧力を口にしているが、この国際環境でそんなことができるか疑問である。
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2017/10/1  10:02

投資家の目線640(ラジオのプロ野球中継)  スポーツ
 TBSラジオがプロ野球中継の撤退を検討している。「聴取者の中心だった中高年のラジオ離れなどで近年、野球中継の聴取率は低下している」(「TBSラジオ、プロ野球中継撤退検討、平日ナイター、若者に受けず…。」2017/9/29 日経MJ)という。プロ野球球団横浜ベイスターズ株式のほとんどをDeNAに売却したため、TBSはプロ野球にしがらみが少なくなったのだろう。

 「同局関係者によると、スポンサーの評価も厳しくなり、さらに、高額な放送権料や解説者の出演料なども考慮すると、コストパフォーマンスは良くないという」(「TBSラジオ、野球ナイター中継撤退「検討」のワケ」日刊スポーツ 2017年9月28日)。ラジオから得られる放送権料がなくなることは、プロ野球球団には減収要因だし、メディアへの露出の減少はパブリシティにもマイナスだろう。

 新聞社はアマチュア野球を含めて野球に依存してきた。特に読売新聞社は読売巨人軍という人気球団を有し、それを新聞の販促などに利用して野球が本業と言われてきた。読売新聞の朝刊販売部数は874万部(2017年8月現在)と、長年言われてきた1,000万部を下回っている(2017年9月15日「新聞発行社レポート」日本ABC協会)。プロ野球が大衆娯楽でなくなることは、読売新聞の販売部数にもマイナスかもしれない。
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2017/9/26  20:44

投資家の目線639(婦人靴卸と加計学園)  ショッピング
 免税店のラオックスが婦人靴卸のオギツを買収する。婦人靴卸の買収は、昨夏の、民事再生手続き中のシンエイの事業に続いて2件目である。

 日経MJの記事に「シンエイは破綻時、数十万足もの膨大な在庫を抱えていたという。百貨店との委託販売取引では、売れ残った商品は卸側が引き取らなければならない。売れ行きが悪いから新ブランドを立ち上げ、それがまた不良在庫になる。その悪循環に陥っていた。」(「ラオックス、婦人靴参入の謎、三大卸の2社を傘下に、再生ビジネスに勝算?」2017/09/25 日経MJ)とあった。売れ行きが悪いから新ブランドを立ち上げたシンエイの悪循環の姿は、倉敷芸術科学大学、千葉科学大学の赤字(2015年度、「文書入手! 加計学園 獣医学部新設に教職員から反対意見続出」週刊文春2017/7/27号)を放置しながら、今治に獣医学部を設立する加計学園に似ている。シンエイの事例は、加計学園のビジネスモデルは持続可能なのだろうか?と思わせる。

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2017/9/17  15:53

投資家の目線638(衆議院解散?)  政治
 今朝、新聞やラジオで衆議院解散のニュースが流れていた。担当する麻生副総理の「ナチス」発言等で先の日米の最優先事項である日米経済対話が流れたが、衆議院解散でまた同会議が先延ばしになるだろう。

 トランプ政権だけでなくアメリカ人民にとっての関心事は、North Koreaの核やミサイル実験ではなく、日々の生活に関わる経済の問題であろう。前主席戦略官のバノン氏の、トランプ米大統領は中国国家主席を他の首脳より尊敬しているという講演での発言が報じられた。米国産の牛肉の輸入再開やコメ輸入で、経済分野で着実にポイントを上げている中国の習主席と、2月に米国に約17兆円投資して約51兆円の市場と70万人の雇用を創出するという大風呂敷を広げながらその後は「ナシのつぶて」の日本の安倍首相では、当然習主席の方が尊敬に値する人物だろう。

トランプ米大統領は中国国家主席を他の首脳より尊敬 Bloomberg 2017年9月13日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-09-12/OW6BA5SYF01S01

 安倍首相は衆議院選勝利の余勢で、米国投資の資金を公的資金等から捻出することを正当化するつもりかもしれない。昨今のNorth Koreaの核・ミサイル実験は米国から高額の兵器を購入することを正当化させる。

 ただし、安倍政権の提案は必ずしも否定されるべきではないと思う。もし代替案がなければ、日系自動車メーカーへの現地生産拡大や部品の現地調達比率の引き上げが要求され、日本経済にはマイナスになるだろうからだ。しかし、約17兆円の投資云々はあまりにも高いハードルを自ら課してしまったと思う。

 元経産官僚の古賀茂明氏によればカリフォルニア州が販売台数の一定比率を排ガスゼロ車にしなければ罰金を取るという規制が施行されるという。しかも日系メーカーが先鞭をつけたハイブリッド車はその対象にならず(プラグイン・ハイブリッド車は対象内)、その動きは他州へも拡大しているという(2017/9/13 IWJインタビュー)。いざとなれば、数少なくなった競争力のある産業である日本からの輸入車を締め出すことを可能とする仕組みは整っているということだろう。他国のメーカーにも当てはまるが、6月20日の日本経済新聞朝刊で「日本車、米でシェア4割、今年度販売、最高の680万台、輸出増、SUVがけん引。」と報じられており、最も標的にされやすいのは目立つ日系メーカーだろう。

 経済重視の米国と、安全保障重視の日本の間には大きな溝がある。日米同盟強化をうたいながらも、安倍政権の経済に対する実行力は乏しい。安倍政権を再任しても日米同盟強化にはつながらないと思う。
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2017/9/10  16:00

投資家の目線637(平和不動産社長のインタビュー)  都市再開発
 9月9日の日本経済新聞朝刊に平和不動産社長のインタビューが掲載されていた(「兜町、2棟目ビル22年にも、再開発、平和不社長に聞く、運用会社を誘致、3棟目宿泊施設。」)。既報の兜町の複合ビルは2021年3月、通りを挟んだ茅場町は22年に完成予定という。それに加えて、計画がスムースに行けば東京証券会館の建て替えが25年に完成するという。

 田町品川間の山手線、京浜東北線を移設するための工事が始まっている。同区間にあった旧JR品川車両基地を縮小し、2024年頃「グローバル ゲートウェイ 品川」として再開発される。品川にはプリンスホテル周辺の再開発計画もある。田町でも2020年春(一部2018年5月)竣工予定で東京ガス、三井不動産、三菱地所共同の再開発が進行中だ。

 浜松町では世界貿易センタービル建て替えを含む駅前再開発のほかに、東急不動産、鹿島やJR東日本が関係する四季劇場等のあった竹芝、東芝の本社機能があった浜松町ビルディングのあるところに野村不動産HLDSの再開発予定がある。

 新橋駅前でも東口、ニュー新橋ビルのある西口で再開発計画がある。

 有楽町では来年3月に三井不動産の東京ミッドタウン日比谷がオープンし、旧都庁跡地のプロジェクトもある。

 東京駅周辺では、三菱地所、三井不動産、三井物産、丸紅、みずほFGなどの丸の内や日本橋口、東京建物や三井不動産の八重洲口で再開発計画がある。少し離れたところでは旧ブリヂストン本社ビル、三井不動産(一部野村不動産)の日本橋、日本橋室町の再開発が進行している。
追記:9月13日の日本経済新聞地方経済面(東京)には、安田不動産の日本橋浜町のホテルやマンション整備計画が記されている。

 追記:神田では住友商事が東京電機大学跡地の再開発を進めている。

 秋葉原では2019年5月の完成を目指して、西側では旧石丸電気跡地などで、東側では神田練塀町で住友不動産の再開発が進行している。

 上野では今秋松坂屋南館が開業する。

 山手線の東側でもこれだけの再開発計画がある。東京のビルディングの供給過剰にならないだろうか?

2017年9月20日追記:茅場町共同ビルのバー「のびお」が閉店していた。これで同ビルのテナントはすべてなくなった。

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2017/9/3  11:43

投資家の目線636(大阪環状線から103系撤退)  ニュース
 10月で大阪環状線から103系撤退し、新型の323系に代わる(「旧国鉄時代からの「大阪の象徴」10月で引退へ」2017/8/31読売新聞)。323系は『国鉄時代の車両よりも消費電力を3割削減して「省エネ化」を図り、電気機器や保安装置などを二重系化し、1つの機器が故障しても運転が継続できるように改良』(『通勤路線で異例、3ドアに減らし統一…JR大阪環状線「323系」正式発表 国鉄車両すべて置換』 - 産経ニュース2014/12/8)されているという。旧型車両の引退で電力消費量が減少する。東日本大震災で関西の電車の運行本数減の原因だった消耗品の直流電動機ブラシ(「鉄道業界が怯える消耗部品の調達難、JR西に続く運行本数削減はあるか【震災関連速報】」2011/3/25東洋経済オンライン)も不要になり、メンテナンスの手間も省ける。

 先の読売の記事で、「10月以降は阪和線や大和路線、JR九州管内の筑肥線など全国で約50編成(約180両)となる」と書かれている。しかし、阪和線の本線は7月末で103系の定期運行はなくなり、残る羽衣支線の3両編成の運行も間もなくホームの4両編成対応工事の完成でなくなるだろう。

 省電力の観点から、新型車両への置き換えは支持される。
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2017/8/27  21:55

投資家の目線635(バンダイナムコがアニメ海外配信撤退)  ビジネス
 バンダイナムコがアニメ海外配信事業から撤退する。このサービスがうまくいかなかった理由は、ネットフリックスなど会員数の多いサービスへの提供を優先し、「参加企業が有力コンテンツを出し渋った」(「バンダイナムコ、アニメ海外配信撤退、作品争奪、米国勢に敗北。」2017/8/23 日本経済新聞 朝刊)ためとされている。

 アニメーションプロデューサーのラジオで、海外市場では日本人ばかりが出演する実写作品よりアニメーション作品の方が売りやすいと聞いた記憶がある。実写作品はアジア市場には通じるかもしれないが、韓流、華流作品との競合が激しくどれだけシェアをとれるか分らない。アニメ以外の分野への訴求も簡単なことではない。

 海外の配信会社も、会員拡大のためにコンテンツに多額の資金を投入しているが、会員数が頭打ちになった時には投入資金は減っていくものと思う。2016年「アニメ制作会社の総売上高は過去10年間で最高となった」(「市場活況も競争激化で…、アニメ制作厳しさ増す、1社当たり売上高、10年で4割減少。」2017/8/25 日経MJ)。しかし、日経MJの同記事では「制作費が安い中国・韓国企業の台頭」も指摘されており、今後日本の制作会社の売上高が減少していく可能性も否めない。
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2017/8/20  7:29

投資家の目線634(グローバルGAP)  政治
 グローバルGAP(Good Agricultural Practice)は、食材の安全性に関する国際認証制度である。グローバル企業が設立した「世界食品安全イニシアチブ(GFSI)」という組織はグローバルGAPを採用しており(「農産品輸出、1兆円へ壁、安全認証、世界に後れ、東京五輪の食材調達懸念。」2017/8/6 日本経済新聞 朝刊)、今後グローバル企業と取引するにはグローバルGAPを取得する必要が出てくるかもしれない。ただし、認証を受けるにはコストがかかり、「認証取得には200万円程度がかかるとされ、更新時には数十万円が追加で必要」(同記事)とされる。

 グローバルGAPを取得できるのはかなり大規模経営の農家だけではないだろうか?日本の農業を大規模農家だけに集約しようとする圧力が強まっていくように思う。そうなれば、農村部の人口は減少し、その分都市部に流入して過密が加速するだろう。農村では人口減少によるインフラストラクチャーが維持困難に、都市部では人口の過密による学校等のインフラストラクチャーが不足するという問題が出てくる。農村、都市ともに地域社会に大きな影響が出ることになるが、それをどう解決するかは政治の問題で、国政、地方政治ともに選挙の争点にすべきことだと思う。
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2017/8/13  5:27

投資家の目線633(亀戸サンストリート解体中)  都市再開発
 亀戸のショッピングモールだったサンストリートが解体されている。まだ決定ではないようだが、跡地には60階建てのツインタワーマンション建設計画がある。亀戸地区では他にもマンションが建設中である。

 総武線沿線では、2022年度をめどにJR平井駅北口で高さ約110mのビルを建てる再開発計画がある。小岩では2028年をめどにJR小岩駅南口で商業棟地下3階地上6階建て、住宅棟28階建てのビルを建てる再開発計画がある。JR新小岩駅南口地区でも再開発推進協議会が立ち上がっている。

 H28年度、総武線の朝の混雑率は錦糸町→両国198%(H28年度国土交通省混雑率データ)。通勤の観点だけから考えると、今でも混雑する総武線だけでは朝のラッシュをこなせないと思う。JR越中島貨物線の活用など、都心への新たな鉄路が必要になるかもしれない。
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