道端に自転車を止め、ふと耳を済ませた。
春のポカポカ陽気の中、沈丁花の香りに誘われて、町中の知らない道へと自転車を走らせていた時の事だ。
にゃーー
何かを呼ぶような猫の声。
高く長く鳴いている。
ふと気になり、近くに有った珈琲屋の軒先に自転車を停め、私は声を頼りに件の猫を捜し始めた。
にゃーー
また、同じ猫の声が聞こえる。
しばらく辺りをキョロキョロ見渡すと、道路の端、駐車場の出入り口であるフェンスの傍らに、声の持ち主であろう白地に黒いブチの有る猫が道路に向かい両手を揃えて座っていた。
『どうかしたのか?』
と、思わず声をかけると、猫は道路に向けていた顔をツイとあげて私を見るや、また一声。
にゃーー
もっと近くに寄ろうと猫に手を延ばし近付くと、猫はおもむろに立ってスタスタと歩き出した。
空振りした手を引っ込め、思わず猫について歩く。
猫は時折振り返り私がいるのを確認していたが、少し距離を離された時、私の方を一度ちらっと見て家と家の間の細い僅かな隙間にスルリと入って行ってしまった。
私は、しばし猫の消えた方を見遣りながら呆然と佇んだ。
(なんだったんだろうか?)
猫の行った先には、どうにも人間は入れそうにない。
猫にからかわれたかな?と、頭を掻きつつ自転車に戻った時、歩いて咽が渇いている事に気付いた。
眼の前には、喫茶店。
店の奥では、マスターがこちらを伺い、会釈していた。
−−−−−−−−−−−−−−−
珈琲のふくよかな香に誘われ眼を上げる。
主人がまた珈琲を煎り始めたらしい。
(さてと、また人間を招きに行かなきゃな…)
いつものカウンター脇の椅子から飛び降りて、大きく伸びをし欠伸をすると、猫は喫茶店のドアからスルリと出て行った。
−−End−−
※すみません

久しぶりに書きました。
慌てて書いたからアレだけど………『また猫かいな』と苦笑いで見逃してくださいね。
道端で鳴いてた猫が先日いたんですよ〜。おっかけて……なんと、話しの途中までは実体験です(笑)

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