谷川健一さんが掲げるテーマのひとつに「“オウ”の地名」があります。“オウ”とは“青”。わたしが今度の週末に行こうと思っている「青ヶ島」はもちろん、有名なところで宮崎県の「青島」、他にも「青梅」「青海」…などなど、国内のさまざまなところに“青”の地名が残されています。
では、これら地名の“青”とは?―
少し話を変えますが、その国の“文化の根っこ”にある色を「基本原色」といいます。日本の場合、それは「赤」「黒」「白」「青」の4色になります。
どういうことかというと、この国では色の認識が分化してゆく過程として、まず昼と夜の「アカるい」と「クラい」があったということです。そこから「赤」と「黒」が誕生しました。(国が違うとこれが「ホワイト」と「ブラック」になります)
その次に分化したのが「白」と「青」です。「白」とはハッキリした明白な色を指します。(「しるし」とか「しらしめる」などもそこから派生したらしい)そして「赤」「黒」「白」以外の、いわば曖昧な色はすべて「青」とされたのです。その証拠に現在でも「空の色」や「海の色」、さらに「山野の色」も「青」で形容されます。
この4色がこの国の“文化の根っこ”からきた古い言葉であることは、例えば語尾に「い」を続ければ、そのまま形容詞になることからも推察されます。「赤い」「黒い」「白い」「青い」。この4色以外で形容詞になるものは、いまでもせいぜい「茶色い」や「黄色い」くらいしかありません。(「茶い」や「黄い」では不自然に感じますし、さらにこれ以外の色では「〜色い」という言葉すら成立しません)それゆえに「基本原色」なのです―
さて、そこで「青ヶ島」。
この島の古名として伝わっているものに、「男(オノ)島」「オフノ島」「鬼ヶ島」「小鬼(オガ)島」「葦(アシガ)島」があります。近藤富蔵は「大海中にあおあおと見えたため」と考えたようですが、わたしは先の基本原色の起こりを踏まえて、「ぼんやりはっきり見えない島」だったからじゃないかなぁ…なんて、いまのところはそう考えています。